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第60話 そして、世界は動き続ける

朝。


エルドラの街は――変わらず動いていた。


人が行き交い。


商人が声を上げ。


子供が走り回る。


「……平和だな」


城壁の上で、ロイドが呟く。


「つまんねぇか?」


セリナが笑う。


「いや」


ロイドは肩をすくめる。


「悪くねぇ」


―――


都市中枢。


エリシアが資料を整理している。


「各国との関係は安定」


「交易も拡大中」


ミレイアが笑う。


「完全に“中心”ね」


一拍。


「もう誰も逆らえない」


―――


「……それでも」


エリシアが言う。


「選ぶのはこちら」


「ええ」


ミレイアが頷く。


「それがエルドラ」


―――


その頃。


市場。


ユークが忙しそうに動いている。


「そっちはそっちに回せ!」


「流れ止めるな!」


以前とは違う。


迷いのない顔。


その少し後ろで。


家族が笑っている。


―――


「……いい顔してるじゃねぇか」


ロイドが遠くから言う。


「戻ってきたな」


セリナが頷く。


―――


訓練場。


兵たちが動く。


その中心に――


アイゼル。


「そこ、甘い!」


鋭い声。


だが。


以前より柔らかい。


―――


「完全に馴染んでるな」


ロイドが笑う。


「まぁな」


セリナも笑う。


「居場所見つけた感じだ」


―――


昼。


温泉施設。


人で賑わっている。


「これもエルドラの名物ね」


ミレイアが笑う。


「誰が予想した?」


―――


その奥。


少し離れた場所。


静かな湯。


―――


「……落ち着く」


リナが小さく言う。


湯気の中。


ゆっくりと息を吐く。


―――


俺――アルクも隣にいる。


何も言わない。


ただ。


同じ時間を共有している。


―――


「……終わったね」


リナが言う。


「そうだな」


短く答える。


―――


少しだけ間。


―――


「でも」


リナが続ける。


「終わってない」


―――


その言葉に。


少しだけ笑う。


「だろうな」


―――


「だって」


リナが言う。


少しだけ近づく。


「まだやることある」


―――


「例えば?」


―――


少しだけ考えて。


そして。


笑う。


「いっぱい」


―――


「この街」


「もっと良くしたいし」


「外も見たいし」


「新しいこともやりたい」


―――


一拍。


―――


「一緒に」


―――


その言葉。


軽くない。


―――


「当たり前だ」


俺は言う。


―――


そのまま。


手を重ねる。


自然に。


迷いなく。


―――


「アルク」


「ん」


―――


少しだけ顔を上げる。


近い距離。


―――


「好き」


―――


静かな声。


―――


「知ってる」


短く答える。


―――


そのまま。


触れる。


今までで一番。


穏やかで。


自然で。


確かな。


―――


それは。


特別な何かじゃない。


―――


ただの。


日常の延長。


―――


「……これでいい」


リナが小さく言う。


―――


「ああ」


―――


外。


空は広い。


風が流れる。


―――


エルドラは。


変わった。


世界も変わった。


―――


だが。


止まらない。


―――


「……次は何する?」


ロイドが聞く。


「さぁな」


俺は答える。


―――


「面白そうなこと」


―――


セリナが笑う。


「それが一番だな」


―――


ミレイアが言う。


「世界は広い」


一拍。


「まだまだ遊べるわよ」


―――


エリシアが頷く。


「選択は自由」


―――


「……だな」


―――


リナが隣で笑う。


「どこでも行ける」


―――


「行くか?」


―――


「うん」


―――


その瞬間。


風が吹く。


―――


エルドラの上空。


どこまでも広がる空。


―――


その先に。


まだ見ぬ世界。


―――


だが。


焦る必要はない。


―――


「ゆっくりでいい」


リナが言う。


―――


「ああ」


―――


「全部、選べる」


―――


それが。


この世界の答えだった。



――完――


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