第46話 世界が集まる場所
エルドラに――
人が溢れていた。
「……増えすぎだろ」
ロイドが中央広場を見下ろしながら呟く。
商人。
技術者。
外交官。
そして――
「軍も混ざってるな」
セリナが笑う。
「分かりやすい」
完全に“様子見”と“探り”だ。
「全部受け入れるのか?」
ロイドが聞く。
「選ぶ」
俺――アルクは短く答える。
一拍。
「全部は要らない」
その言葉に。
ミレイアが楽しそうに笑う。
「いいわね」
「選ばれる側から、選ぶ側へ」
―――
その日の昼。
大広間。
エルドラ初の“国際会議”。
長いテーブル。
各国の代表が並ぶ。
北方連邦。
王国側(エリシア補佐)。
商人連合。
そして――
「……見ない顔だな」
ロイドが小さく言う。
黒いローブ。
顔を半分隠した男。
「南方同盟、特使」
低い声。
だが。
妙に“軽い”。
ミレイアが小さく呟く。
「……あれ、気をつけなさい」
一拍。
「ただの外交官じゃない」
―――
会議が始まる。
「まず確認する」
俺は静かに言う。
「エルドラは独立している」
一拍。
「どこにも属さない」
空気が張り詰める。
「その上で」
「協力はする」
「だが」
「支配は受けない」
明確なライン。
―――
商人連合が口を開く。
「交易優先権を――」
「却下」
即答。
「条件を出せ」
ロイドが横から言う。
主導権は完全にこちらだ。
―――
次に。
アイゼルが口を開く。
「北方は防衛と資源供給を継続する」
一拍。
「その代わり」
「技術の運用権を一部共有したい」
前より踏み込んできた。
「範囲は?」
「都市外インフラ」
考える。
「限定的なら可」
アイゼルがわずかに頷く。
―――
そして。
黒ローブの男が笑う。
「では我々は」
「“別の提案”を」
空気が変わる。
「エルドラの“中枢”に関与したい」
沈黙。
完全にアウトだ。
「却下だ」
即答。
男は笑う。
「理由は?」
「信用できない」
「……率直だ」
一拍。
「では」
「試させてもらおう」
その瞬間。
空気が歪む。
「……!」
ミレイアが動く。
セリナも反応。
だが――
「遅い」
男の声。
影が伸びる。
直接――
アルクへ。
―――
その瞬間。
「……させない」
リナの声。
前に出る。
そのまま。
術式を展開。
流れを切る。
「……っ!?」
影が止まる。
完全に。
「止めた……?」
ロイドが呟く。
ミレイアが笑う。
「やるじゃない」
―――
俺は一歩前に出る。
「ここでやるか」
低く言う。
空気が一変する。
「外交の場だ」
一拍。
「壊すなら」
「外でやれ」
沈黙。
男は数秒黙り――
そして。
笑った。
「……いい」
一歩下がる。
「今回はやめておこう」
だが。
その目は笑っていない。
「面白いな、エルドラ」
―――
会議は続く。
だが。
全員が理解した。
ここはもう――
「普通の場じゃない」
―――
夕方。
会議終了後。
「……疲れた」
ロイドが椅子に沈む。
「戦闘よりキツいな」
セリナが笑う。
ミレイアが言う。
「当たり前よ」
一拍。
「ここは“世界の戦場”」
―――
その時。
リナが少し離れた場所で立っている。
少しだけ息を整えている。
「……大丈夫か」
俺が近づく。
「うん」
少しだけ笑う。
「ちゃんとやれた」
「やれてた」
一拍。
「助かった」
その言葉で。
リナは少しだけ照れる。
「……へへ」
でも。
そのまま。
自然に隣に来る。
完全に“そこが定位置”。
「さっき」
「かっこよかった」
「そうか?」
「うん」
そのまま。
少しだけ近づく。
周りに人がいる。
でも。
気にしない。
「……ご褒美」
小さく呟く。
そして。
軽く触れる。
一瞬。
でも。
確かに。
「……おい」
「いいでしょ」
少しだけ笑う。
「頑張ったし」
その顔。
完全に余裕が戻っている。
―――
その頃。
黒ローブの男は外で呟いていた。
「……なるほど」
一拍。
「これは面白い」
その目は。
完全に“敵”だった。
―――
エルドラは。
ついに世界の中心に立った。
次は――
「選ばせる側」




