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第44話 決着――その先に残るもの

膝をついたまま――


空を見上げる。


「……まだ、来るか」


俺――アルクは、小さく呟いた。


視界が揺れる。


呼吸が重い。


限界は、もう近い。


―――


上空。


帝国艦。


その主砲が、ゆっくりと再び開く。


「……嘘だろ」


ロイドの声がかすれる。


「まだ撃つ気か……!」


セリナもさすがに笑えない。


「今のアルクで受けられるか?」


無理だ。


誰が見ても分かる。


―――


「アルク!!」


リナの声。


通信越し。


「もうやめて!」


その声は、震えていた。


「これ以上は……!」


分かってる。


でも。


「止めない」


短く答える。


一拍。


「ここで止めたら」


視線を前に向ける。


「全部、終わる」


―――


都市中枢。


リナが歯を食いしばる。


「……バカ」


小さく呟く。


でも。


その手は止めない。


「だったら」


一拍。


「絶対に落とさない」


流れを維持する。


支える。


繋ぐ。


全部。


「……来い」


その目は、もう逃げていない。


―――


帝国艦。


ヴェルシアが静かに見ている。


「……限界ね」


一拍。


だが。


「それでも立つ」


その姿に。


わずかな笑み。


「いい」


「だからこそ」


手を上げる。


「終わらせる」


―――


主砲、発射。


光。


すべてを飲み込む光。


直撃コース。


回避不能。


防御不能。


「……っ」


俺は立つ。


無理やり。


体を引き上げる。


「まだだ」


術式展開。


だが。


足りない。


圧倒的に。


「……届かない」


その瞬間。


―――


「アルク」


リナの声。


近い。


振り向く。


いつの間にか、そこにいた。


「……来るなって言っただろ」


「聞いてない」


即答。


そのまま。


隣に立つ。


「一人でやらないって言った」


一拍。


「一緒にやる」


その言葉。


真っ直ぐ。


―――


「……無茶だ」


「知ってる」


「死ぬかも」


「知ってる」


一拍。


でも。


「それでもいい」


目が合う。


迷いはない。


完全に。


「……分かった」


少しだけ笑う。


「じゃあ、やるか」


―――


術式、再構築。


今度は――


二人で。


「流れ、全部こっちに回す」


リナが言う。


「頼む」


「任せて」


その瞬間。


都市のすべての流れが――


一点に集まる。


「……来た」


力が満ちる。


さっきとは違う。


完全に。


「……これなら」


一歩踏み出す。


「止められる」


―――


光が迫る。


だが。


「止まれ」


一言。


光が、歪む。


止まる。


今度は――完全に。


「……嘘だろ」


ロイドが呟く。


「今度は……完全に止めた……」


―――


「返す」


一言。


光が圧縮される。


収束。


そして。


「行け」


解放。


―――


光が、帝国艦へ突き刺さる。


直撃。


爆発。


閃光。


衝撃。


空が揺れる。


―――


帝国艦。


内部。


「……直撃」


部下の声。


ヴェルシアは静かに立っている。


揺れの中。


「……いい」


小さく呟く。


一拍。


「認める」


その目が細くなる。


「今回は、あなたたちの勝ちだ」


―――


上空。


帝国艦が、ゆっくりと後退を始める。


「……引いた?」


ロイドが呟く。


セリナが笑う。


「勝ったな」


―――


地上。


俺はそのまま座り込む。


「……終わったか」


「終わった」


リナが隣で言う。


そのまま。


ゆっくりと寄りかかってくる。


「……疲れた」


「だな」


少しだけ笑う。


―――


夜。


温泉。


今日は――


完全に静かだ。


戦いの後の、静寂。


リナが隣に座る。


何も言わず。


ただ寄ってくる。


完全に密着。


「……アルク」


「ん」


「生きてるね」


「生きてるな」


少しだけ笑う。


そのまま。


顔が近づく。


今日は。


言葉がいらない。


自然に。


触れる。


長く。


静かに。


でも。


確かに。


「……好き」


小さな声。


「知ってる」


「もう、絶対離さない」


一拍。


「離れない」


そのまま。


もう一度。


今度は、少しだけ強く。


―――


その頃。


帝国艦。


ヴェルシアは静かに空を見ていた。


「……アルク」


小さく呟く。


「次は」


一拍。


「奪う側で行く」


その目は。


まだ終わっていない。


―――


エルドラは。


帝国に勝った。


だが――


物語は、終わらない。


次は――


「その先」


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