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えーと。ラミさん、どうもです。

「君、名前は?」

と落ち着かない私に言ってくる。


そういえばゲームのような世界なら日本のような名前はこの世界には不自然なのではないだろうかと思った。どうすればいいのだろうか。とりあえず、下の名前を言っておくか。


「あ…えーと。ユウキと申します」


「なるほど。ユウキか。私はラミ。よろしく」


「あ。はい。えーと。ラミさん、よろしくお願いします」

ちょっと肩が上がっており、緊張が伺える。


「ところで珍しい服だね」


やべ。気づいていなかったがずっとパーカーのままだった。


「えっと。ちょっといい服屋がありまして…」

ユニクルのやつだけど。


ユニクルとは大手の服屋である。最近は海外進出もしている大手企業である。


「へぇー。いいね」


「はは…」

何とかごまかせたようだ。


「でどこ行くの?」


「ええと。この付近の街にで行こうかなと…」

声が小さくなってしまったようだ。


「じゃあドラの街か…。ちょうどいい。そこに行く予定だったんだ。私もついていくよ」


「え?」

ちょっと驚いた。目的地が一緒なんて。多分、場所知ってそうだし心強い。場所を知らない私が適当に歩いたって着かないだろう。ラッキーだ。


「どうしたの?」


「いやなんでもないです。ありがたいです。ありがとうございます」


「そっか。じゃあ行こうか」

並んで歩く。



「ユウキはなんであの街に?」

困ったな。どう返答しようか…


「ええと。その…。なんとなくっていうか…。なんというか…」

元々怪しいのに余計怪しい感じになってしまった。


「まあ理由がなくても不思議じゃないよね」

一瞬黙ったがそう言ってくれた。


そう言ってくれたのはなんでだろう。優しさなのだろうか。だとしたら少しうれしいな。


ポケットに手を突っ込む。手が物に当たる。


スマホだ。スマホがあったのを忘れていた。あとで使えるか調べておこう。


「そうだ。ユウキはどこから来たの?」


「え?ああ。はい。なんだろう。海があって寺がいっぱいある街です」


「おお!!海か!憧れるなー」

と何故かテンションが上がっていた。


「え?」


「私、ずっと内地で育ったからさ。ずっと憧れているんだよね」


「他には?」

ともっと聞きたそうでなにも言わないのはちょっと酷なので言うことにした。


「ええと。有名なのはやっぱり寺ですかね」


「寺?さっきも言っていたけどなにそれ」


「え?寺ないんですか?」

少し驚いた。寺がないのかこの世界。じゃあなんて言おうか。いまさら誤魔化したって不自然だ。


「ないもなにも初耳だよ」


「そうですか。ええと。まあざっくり言うとですね。仏像ってのを信仰する場所ですよ」

誤魔化さず言った。


「おお。仏像がなにかは知らないが信仰する心は素晴らしいよ」


「そうですよね…」

やっぱり人と話すのは慣れない。ちょっと緊張してしまう。


「しかし興味が沸いた。ユウキの故郷ってのに行きたくなってきた」


「まあその時は紹介しますよ」

行けたらだけどな。


日本に帰れたら帰りたい気持ちもあり、帰りたくない気持ちもある。それは日本で私に居場所がないと思うからだ。毎回、思うことがある。私はなんのために生まれたのかを。そこら辺が曖昧だから自分が生きるための居場所をわからなくなってしまった。だから居場所がないと思うのだろうか。



「今すぐにでも行きたいよー」


「それは…。その難しいっていうか。その…」

帰る方法がわからないからなんとも言えない。そして見つかったとして日本にラミさんを連れていけるだろうか?答えがわからないものは難しいな。


「事情があるんだな?喧嘩別れしたって感じ?」


どうやら喧嘩別れして帰りづらいと思っているようだ。本当は別の世界から来ただけなんだけどな。


「どうでしょうか…。ええと。まあでも今は言えないです。喧嘩別れって感じじゃないですけど」


「そうだよな。言いづらい話はあるよね。じゃあそん時は聞かせてくれ」

ニコッと微笑む。


少し暖かさを感じた。その暖かさは多分、日本で感じたことない優しさだった。


「時が来たら絶対言います」

その時は日本から来たこと、そして”自分自身のこと”について言ってみようと思う。


「うん!」

また微笑む。



今日は今までの自分では考えられない程会話が弾んだ。こんなに楽しいと思うことはなかったんじゃないか?


「ユウキは武具持っている?持ってなさそうだけど」


「武具ですか?」

持ってないと不自然だろうか?


「もしかして魔法を使って戦うからいらないってこと?」

話が飛びすぎだ。私は魔法を使ったことがないし、戦えない。


「ただの平民ですよ。武器はもちろん魔法すら使えませんって」


「なら武器は持ってたほうがいいよ。一人でなにかあったときに武器があった方が対応しやすいよ」


「親切だな。この人」

今まで黙っていたもう1人の私が言ってくる。


「そうですね。護身用になにか買おうと思います」

ポイント交換で買っとこうか。



「いや。こういうのは店で買わない方がいいよ。ダンジョンで探したほうがいい。その方が高品質なやつが出てきたりするよ」


「でも…私、戦えませんよ…」

情けない声で言う。


「ちょっと待って」

何かを感じたように立ち止まる。


「え?え?え?」

私は困惑していた。


木影から出てきたのはゴブリンだった。


「うわぁ!」

戦闘経験のない人だったら驚くだろう。それと同じである。情けない声で驚き、足が動かなくなる。


「ちょっと下がって」

そう言った瞬間、ゴブリンは真っ先に私に攻撃してくる。


「ひぃ」

目をつぶる。



数秒経ってもなかなか、攻撃が当たらないので目を開けると、ゴブリンは倒されていた。


「え?」


「大丈夫か?」

心配していた。


「すいません。2回も助けられちゃって」


「いいよ。立てる?」

手を差し伸べてくれる。


「はい。ありがとうございます」

差し伸ばしてくれた手を掴み立ち上がる。


「よし。じゃあ行こうか」


「あ…はい」


やはり自信がない雰囲気というか、なにかぎこちない。


対照的に彼女はどこか自信に満ちており、動きにそれが出ている。猫背の川上、姿勢がいいラミ、対照的であった。



再び歩き始める。


川上はウインドウを開く。ポイントで貴金属などと交換できないかと調べていた。


それはなにかお礼したいという気持ちからだった。しかしなにをあげればいいかわからない川上は貴金属を加工したものとかがないかと見たが、あるのは貴金属自体だけ。もちろん川上に加工する技術はない。どうすればいいのだろうか?と考えていた。


「何考えているの?」


「うわぁ!」

急に言われるからびっくりしてしまった。


「どうしたの?」


「な…なんでもないです…」

勇気を出してどんなものが好みか聞こうと思ったのだが…。そんな勇気はなかった。


「そうなのか?まあいいや」


「ははは…」

苦笑いを浮かべていた。


自分自身、そんな私が嫌になる。勇気がないし、自信もない。なにかあるかと言われれば特にない。どうすればいいのだろうか。自信を持てるようにとか勇気を出せるとか、どうやればそういうものが持てるのだろうか。


考える…が答えは出ない。


「どうやったら自信とか持てるのだろうか?」


「ん?なんか言った?」

やばい。声に出ていたのか?


「その…考え事していて声に出てしまったようです。気にしないでください」


「考え事か…。聞かせて」


「え?」


「一人で悩むよりいいでしょ」

ラミさんに頼りっぱなしでいいのだろうか。


「ね?ね?」


私は押しに弱いところがある。こうやって押されると言ってしまうことがある。


「実は…」

言ってしまったようだ。



「なるほどね。別に気にしなくてもいいんじゃない?そのままでいいと思うよ」


「え?」


「自信がない?勇気が持てない?大いに結構。重要なのは自分自身を認めることだよ。自信がない自分を認める。勇気がない自分を認める。理想にならなくていいから」


私に少し視野が増えた気がした。自信や勇気がなくていいんだ。むしろ認めろと。


「ありがとうございます」

見てくれてありがとうございます。

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