ダンジョンというもの
どうやらここは日本じゃないようだ。外国か?ってことはすり抜けて来たってことは南アメリカの方か?
と考えていたが南アメリカの方の国とかには見えなかった。なんというか本能が否定していた。とりあえず歩いてみよう。なにかわかるかもしれないし。
目に見えるのは緑が広がっている。人が全くいなく静かだった。人が居なく人が苦手な私には好都合があった。
「おいおい。どこなんだよここは」
そう”もう1人の私”が言ってくる。
「知らないよ。とりあえず散策するしかない」
「そうだよな」
会話が続かない。別に会話をしようとは思わないけど。
「お前、顔ちゃんと洗えよ」
そういえば顔、ピエロのままだった。
「気づかなったよ。水があるところ探さないとな…」
いつものように指を触っている。
周りを見渡し探す。
喉も乾いてきたな。
トコトコと歩みを進める。やがて湖が見えてくる。
すぐに駆け寄り、バシャバシャと顔を洗う。
「結構取れたんじゃね?」
「うん。そうだね」
素っ気ない反応だった。
顔を洗えたら水を飲むことにした。幸い、水は綺麗そうだった。しかし、ろ過しないとダメだと思われるが私には関係がない。水を飲みたいときに飲めるのなら気にしない。そういうスタンスだ。
ある程度水が飲めたら立ち上がり進もうとするが——
「なんだこれは」
目の前には明らかに塔のような人工物のようなもの。ゲームでいう”ダンジョン”のようだった。
「入ってみようぜ」
まるで新しいおもちゃを見つけたような声で言う。
「えー。嫌だよ。怖そうだし」
明らかに嫌そうな反応をした。
「なんだよ。そういうところだぞ」
「別にいいよ」
「入れよ。ここのことなにか分かるかもしれないぞ」
「しれないだろ?危険なら行かないよ」
できるだけ自分の身を守ることをしないといけない。もっともどこかわからない場所ならなおさらだ。
「俺だったら興味が沸くぞ。行けよ」
「誰しも君みたいな人じゃないんだよ。危険なら行かないんだよ私は。少なくとも安全とわかるまで行かない」
落ち着かない様子で言う。
「安全ってわかればいいんだな?ならこのダンジョンの周りだけでもを見てみようぜ。安全ってわかったなら入ればいいし」
「それなら…」
少し不安の気持ちがあるが、しょうがないし歩いてダンジョンの周り確認をする。
ダンジョンの壁を確認する。
「レンガのようだ」
壁はレンガで作られていて、上を見るとそびえたった塔は果てしなく続いていく。
「レンガだが未知のレンガって感じだな」
たしかに見たことがあるレンガの感じではない。なにか作られている素材が違う気がする。
しかしこのダンジョンの中が安全という理由にはならない。むしろ危険な雰囲気が増えた。危ない奴が出てくるかもしれない。
「ん?なにか看板があるな」
入口らしき場所のとなりに看板があった。
そこには日本語ではない文字が書かれていた。読めない文字だ。なにか英語やアラビア語のようなもんじゃない。見たことがないんだ。1度でも見たことがない文字だ。
「読めればなにかわかるかもしれないが」
「読めないんじゃなー」
諦めのような声で言う。
私も諦めかけたとき、ダンジョンの中から1人の人が出てくる。その人はロボットのような見た目をしていた。
その人は私を見るなり声を発してくる。
「お待ちしていました。”転移者”」
「プレイヤー?」
ゲームのやつか?なにしろなにのことを指しているんだ?
「まずこの世界の説明をします」
淡々と話すこの人は次の瞬間、衝撃の言葉を放つ。
「この世界はオープンワールドゲームのような世界です。というかゲームと言ってもいい世界です」
たしかにそれなら見たことがない景色、文字の説明がつく。
落ち着かない動きとは裏腹に冷静な判断ができていた。
「でなんで私はここに連れられたのですか?」
一番の疑問であることを聞く。なんで私はここに来たのか。なぜここに来る必要があったのか。
「それはあなたがこの世界に耐えられる器があったからです。そういった人を神は転移者としてこの世界に転移させるのです」
「要は私が器があったからですね。なぜかは知らないですが。私はそんなに強くないですし…」
本当になぜ川上勇気に器があるのか、それは川上自身は知らないふりではなく、自分を卑下しているから気付いていなかっただけであった。自分の力に。
「ではこのダンジョンの中に入りましょう。ここは転移者用のダンジョン。それも初心者救済のダンジョンです」
「え?ちょ待ってください」
話が進みすぎだ。まだ私は行くとは言っていない。
「その前に翻訳スキルを譲渡します」
それはありがたいが、これを受け取るとダンジョンの中に入ってしまう。気持ちは下向きだった。
・・・・翻訳スキルを取得しました。
「!?」
突然、声がしたので驚く。
「世界の声です。転移者のみが聞こえます。そういえば1つ言うことを忘れていました」
思い出したように言う。
「なんですか?」
「固有スキルについてです。固有スキルとは1人1つの自分特有のスキルです。固有スキルはその人の性格を表します」
「えーと。では私にもあるということですね」
「そのうち使えるようになりますので覚えておいてください。では入りましょう」
私はなにも言えずにただ従うのだった。
少し進むと説明は終わったようでさっきの人は帰っていった。最後に階段を探し、上の階層を目指すようにと言われたが不安であった。
猫背の体を1歩1歩進めていく。手は不安を表しているかのようにあごを触っていた。
そして周りをキョロキョロと見ていた。
「なんだよ。落ち着きがないな。俺なんてワクワクしているぞ」
明らかに気持ちが昂っていた。
「それは君がおかしいのであって…。その…。私は不安なんだよ」
声はちょっと弱かった。
「それになんでワクワクしているのかわからない」
「え?モンスターが出そうでワクワクしないのか?」
まるで当たり前のように言う。
「さっきも言ったがみんながみんな君のような考えをしないってことを覚えたほうがいい」
「ふーん」
反応は薄く、まるで理解しようとしていなかった。
その後は静寂が流れる。だが話すことがないなら話さなくてもいい。むしろ話すことが苦手だから極力話さないことが望ましい。
少し歩い先にとあるものが出てくる。
宝箱である。
「おお。こういうダンジョンの1階層には大体、あれが入っているんだよな」
あれとはなにを言っているのかあまりわからなかったがとりあえず開けてみることにした。
「たらららー」
ともう1人の私が言う。
出てきたのは
「地図」
この地図はこのダンジョンの中の場所を表すものだと思われる。
だがしかし、所々白紙のところがある。
「これは白紙の付近を行ったことがないから白紙なのか」
ゲームでマップを広げるような感じなのだろうか。
「多分、白紙のところ付近に階段があると思うから行ってみようぜ」
たしかにそのところには階段があるのかもしれない。だが私は乗り気ではなかった。なにか嫌な予感がするのである。カンかもしれないがそれでもいい。嫌な予感がするなら引き返せばいい。
「おいどこ行くんだよ。逆だぞ」
流石にバレる。
「嫌な予感がする」
「お!いいじゃん。なら行こうぜ」
「私はそんなに嫌な予感がする場所には行こうとは思えない」
「いいじゃん。お前強いんだから。それになにかあったらさっきあいつが言っていたスキルを使えばいいんだから」
「スキルもなにもどうやって使えばいいのさ!!」
「それにどんなスキルなのかわかってないって言うのに」
「いいじゃねぇか」
呑気にそう言う。
私は落ち着かない。指を触る速度はいつもより2倍速かった。心拍数はドクドクと上昇していく。汗のかく量は尋常じゃなかった。
心臓がうるさい。ドッドッドッド…と1秒に2回鳴ってそうだった。
それに対し深呼吸をする。
「ふぅー」
落ち着いて心臓の音が静かになり始める。
だが静まり返った後、ある事を脳裏に浮かぶ。
「”俺”なら大丈夫。いつものようにすればいいんだ。なにが出てきても大丈夫だ。全部倒してやる」と
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