演劇シナリオ エドムーラ2世 序幕 理想郷を追い求めて
「清水寺くぅん?
演劇部の顧問だった歴史の先生が妊娠して産休するので
君が代わりに顧問をやってもらえるかなぁ?
いいよねぇ? 今の所、週一回の授業だけだしぃ
では、よろしくねぇ。」
というわけで、またしても、無茶振りです・・・やれやれ
思わず反射的に断り文句を言ってしまいそうな指示ですが
そこは、職員の中では圧倒的に若輩な身の上
それに決定事項なので従うしかありません
何を、やらなきゃならないんだろ?と思いながら
前任の産休に入る先生から引き継ぎです
「今の所、目先の作業としては
演劇部の年末定期公演のために
生徒が書いた舞台台本のチェックです
PTAの皆様方から問題だと悪評を言われるような
内容が無い事の確認作業を顧問がする事になってます
シナリオと言っても叩き台です
実際は演出や出演をする生徒とかが
セリフとかは変えてしまうので
おおまかな、あらすじとナレーションが
書かれたくらいの
”シナリオのようなもの” です
基本、生徒の自主性に任せる事になっています
よっぽど非常識だとか、社会通念に反している
とかじゃない場合は、表現の自由という事で
指摘とか書き直し指示とか、しなくていいので
ただ形式上、チェックしましたっていう
報告書を書くだけに近いので
たいした作業じゃありません
メールで文書ファイルでシナリオを送りますので
報告書は、この書類になります
後、定型行事とかについては
学年主任とかから説明があると思います。」
というような挨拶から始めて
だーっっと、一通り、捲くし立てるように語り
簡略化した引継ぎが終了しました。
というワケで、シナリオ確認作業開始です
ああ、面倒くっさーい。
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演劇シナリオ エドムーラ2世
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序幕 理想郷を追いかけて
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帝国皇帝 エドムーラ2世は
偉大なる近代国家建国の父と呼ばれたエドムーラ1世の
第一皇子としてとなった帝国に生まれました
帝国内では近代国家制度が1世により制定され
2世が成人して皇帝に即位した時には
皇族は毎年の恒例儀式などを行うだけで
実際の政務は議会によって回っていました
なので1世が構築した近代国家を維持発展させれば
良かったのですが・・・2世は
1世のように、いや1世より素晴らしい実績を挙げ
偉大な皇帝として後世に語り継がれたい
という想いを、心の中で膨らましていました。
もう、それは毎日のように、時間さえあれば、何度も何度も
その願望を語られ、根負けした側近は
国内内政では余計な事をして混乱を招くと問題だから
恒例儀式参加などの公務以外に2世が担当する事業を
なんか始めるしかない
2世が偉大さを誇示できるからと納得してくれて
もし失敗したとしても帝国全体に影響が無い事業
・・・そうだ植民地の統治開拓事業にしよう
という事になりました。
外務省役人、通商担当役人
中央アフリコとを行き来する貿易商人などへ指示して
原始的生活をする先住民生活を近代的なものに改善し
近代化のために人道的な事業を成功させ
国内どころか国際世論でも賛美される偉大な皇帝物語
を書き上げさせます
事実上は、植民地統治開拓事業案である物語を
皇帝に提案すると皇帝は諸手を挙げて大喜びして
側近に、今すぐに物語を始めようと言います
まず最初に、優秀なメンバーを召集、
親密通商国の政府支援の確約を得て
アフリコ近代化協会、略号AIAを組織し
中央アフリコ近代化計画を推進する国際慈善活動団体
として国際社会に公表
エドムーラ2世は、AIAの初代会長に就任します
ただし、AIAはエドムーラ2世の独裁組織じゃありません
AIAは当初、人道的な会議として考えられていて
国際法研究所メンバーも参加していましたので
AIAが最優先で取り組む課題として
最初に検討されたのは暗躍する奴隷商人撲滅計画でした
国際法研究所が掲げる奴隷貿易廃止という
国際世論で良識として解釈される理念が流用されたのです。
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セリフ : エドムーラ2世とAIAメンバーとの会話
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1年後、AIAは参加国間の意見相違により分裂しました
奴隷階級、労働者階級、保守支配階級といった
社会格差を無くし平等で平和な国家群形成を
優先事案にしたい派閥
近代化で経済的に潤わせての富国を
優先事案にしたい派閥
富国派閥だった2世と側近達は、国際法研究所メンバーと袂を分かち
「ザイスタン近代化委員会」という組織を立ち上げました
委員会は、国際的な商業、科学、人道団体と表向きはなっていたが、
実際にはザイスタン債権を保有して配当金を受け取っている
資本家や貴族などの保守支配層のグループで構成されており、
2世は彼等の代理として
大きな利権構造を所有するようになっていました。
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セリフ : ザイスタン近代化委員会 会議
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ザイスタン南部盆地をエドムーラ2世が統治するべき
という国際協会への主張は、
2世がザイスタン全体を統治する統治能力が
不十分であることが判明し
アフリコ近代化協会が統治権譲渡を決定した場合
帝国国営銀行がその領土を購入する優先権を得て
統治権を担い、様々な問題を解決する
ということを条件に
大国の集合体であるアメカ連合により承認されます
2世の指示で数名がアメカでロビー活動を行い
現地で農産物取引をするアメカ商人たちと
アフリコ近代化協会の目的のために協力をすれば
正式な統治権を獲得した場合には
最恵商人待遇地位を与えると密約を交わしたからです。
概念的に独立したザイスタン盆地が
協会長のエドムーラ2世により地域統治される事を公式に発表
多数の小さな先住民部族長により統治された領土を
1つの主権国家に統合して近代化すべく国家運営を開始しました。
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セリフ : エドムーラ2世と保守支配層との会議
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14先進国が参加する国際標準決定会議
通称、14先進国議会の議長は
アメカ保守支配層が支持するアメカ政治家でした
その会議は、ザイスタン問題などを国際的な管理下に置き
アフリコ大陸の植民地分割を最終決定
14先進国がアフリコの領土を獲得したときに
行動すべき方法を管理する国際標準を起草したのです。
国際標準決定会議は、ザイスタンを公式に国家承認します
植民地国家という位置付けではなく
ザイスタン近代化委員会長、エドムーラ2世の善意による
統治管理下、つまりパーソナル・ユニオン統治であり
14先進国の国民もザイスタンで商業活動を行える
という事が国際条約として明記されました。
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セリフ : 国際標準決定会議でのザイスタン国家承認式典
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ザイスタン盆地を巡るエドムーラ2世の努力は
ザイスタン自由国、略称CFSの建国という事で国際的に認知され
14先進国議会で可決された決議により、
2世は、CFSの絶対的な支配権を獲得
CFSは我が国の法律上、2世の私有不動産となり
住民は2世の巨大な別荘の使用人といえる動産になり
エドムーラ2世は
歴史に残る偉大な皇帝として語られるための
栄光と繁栄に向けて最初の一歩を歩み始めたのだ
と側近に語り、それを国民に公表しました。
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セリフ : エドムーラ2世と側近の会話
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しかし、中央アフリコのザイスタン盆地を全て獲得したわけではなく
エドムーラ協会長が統治する地域はザイスタン盆地の6割ほどで
残りは14先進国議会に参加する他国の統治でした
あまり、統治しても旨味の無い地域を押し付けられ
住民も統治しやすく、資源なども豊富で、農作地としても有望
といった地域は、アメカなどの14先進国が抑えてしまったので
帝国首都の貴族からの評価は偉大な1世に比べ小さなままでした。
だが、しかし
近代繁栄地域を勃興した偉大なる皇帝として
未来永劫に語り継がれる物語が始まる
と言える眩いばかりに輝く美しい夢が
エドムーラ2世の心の中には、あったのでしょう
少なくとも、この時は。




