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譜久島ちゃん 変態との遭遇 (橋田視点)


 何故かストーカー気質な男子にだけ大人気な譜久島(ふくしま)ちゃんですが

 夏休みに入っての部活動中に様子がおかしくなりました

 精神的強者な彼女も、か弱い女の子だったのでしょうか


 ストーカーキャッチャーな日常を過ごしているのに

 警察に通報しない譜久島ちゃんは慈愛の人と言えるでしょう

 まるで聖女のような人格です。


 確かに勘違いさせる態度を知らず知らずの内にしていて

 客観的に見ると色々と問題がある行動をしています

(自分の事を好きになりそうな男の視界内で)


 自分が情熱的な恋をしたいという願望があるからか

 第一高へ進学した小学校の元同級生を

 いまだに追いかけているのですが

 振り向かせるための練習なのでしょう、たぶん


 ですが


 その一途で健気な姿に応えて近寄ってくるのは・・・


 何故かストーカー気質な自分の思い込みで行動する

 相手の気持ちとか考えないで猪のように突進してくる男


 長年、恋焦がれる相手は、こっちを向いてくれない


 という状況が繰り広げられています

 本人は不思議でしょう、何故なのか悩んでいるのでしょう。


 そんな状況である高校1年の1学期中の

 譜久島ちゃんとの日常が、今回の物語です。


・・・


「なにか悪いことをしたのかなぁ!」


 高校生になってから、またしても新しく出現した

 猪のように突進してくるストーカーに悩む譜久島ちゃんは

 頭を抱えながらつぶやきました。


 悪いとか悪くないじゃなくて、

 同じような生き物を誘き寄せる何かがあるんだと思われます


 それが何かは、レズでもバイでも無い橋田には

 理解できませんが。


「で、でも、パパに頼んで強制排除したら

 今度は、ストーカー以外にも嫌われちゃうし……ブツブツ……」


  だよねー、ひゃっはー、やっちまぇええ!

  強制排除されるアフォの、トホホ顔 視ったーい!!


 私の心の中に棲む悪魔が叫びます

 第三高在籍のストーカーを強制排除して

 事件だとか問題だとか騒ぐゴシップ雑誌記者が取材に来たら

 あることないことを面白半分に無責任に言ってあげましょう。


 あ、御菓子食べますか?

 譜久島ちゃんを慰めるのも照れくさいので

 黙って菓子を渡しました。


「ありがとう……」


 まあよくあることです。善意でもなんでもありません

 助け合って生きていかなければならないというだけです。





 数日後の日曜日、一人で暇つぶしに街歩きをしてました。


 同じ学校で一年中、同じ集団に所属する

 誰かと一緒にいて依存しすぎてしまう事で


 自分なりに考える

 といった部分が壊れるのが嫌だからしている

 恒例の単独行動です。


 ところで……先ほどから

 誰かが後をついてきているようです


 まあ、いいや。気にせず行きましょう。


 目指すのは軍需産業大学の学園都市内である

 この町にある市立図書館です。


 昔は飲食は不可だったのですが、私が物心つく数年前に

 大金持ちな軍需企業オーナー一族の御嬢様が

 市立図書館に寄付をしてカフェコーナーを作ったので

 そこで飲食しながら読書できるようになってます


 そこでランチを食べたり

 食後のコーヒーを飲んだりしながら

 休日を過ごすのがルーチンとなっていました。


 カフェコーナーに入ると雑誌が置いてあります

 普通の時事を扱った週刊紙、情報誌などは

 他の図書館でもあるかもしれません。


 ですが、ここには

 そのジャンルで何かが一番な雑誌だけですが

 国内で出版されている全ジャンルの雑誌がありました。


 さて、御嬢様 御用達な雑誌もあります。


 橋田のような一般庶民には理解できない内容や用語で書かれ

 誰もが御嬢様を連想するキャラが表紙を飾る雑誌です

 読み込む人は、それなりにいるのか最新号がヨレてます。


 なぜ? と思うような専門誌なんかも置いてあります

 軍用品の販売カタログとかも・・・

 どんな人間が選択しているのでしょう。


 というわけで、休日のランチです。


 性別は同じ女だけど

 御嬢様の着ぐるみを着ないでいい学校に在籍する

 同年代の女学生も存在している事を

 ここに来ると思い出します


 この地域に住んでいる住人が通う

 一般公立学校の女学生です。


「なにコイツ、気取りやがって

 ぶりやがって、キモーい。キショーい。」


 というような事を小声で言ってます

 キモキモ キショキショと鳴く

 不思議な生き物と思う事にしました。


 が、どうせ部外者には理解されない軍需産業関係者一族の

 御嬢様の内輪で生きていくつもりなので

 こういう所で、たまたま顔を合わせる部外者が

 何を考えようが言おうが、実は、どうでも、いいです。


 その内輪での評判だけが全てな身の上ですので・・・


・・・


 ランチタイムとなりました


 いつものメニューを食べようとした時

 私の目の前に、ドアップで顔面が出現しました


 つか 近い 近い 近い


「譜久島ちゃん……なぜ? いるのですか……?」


 距離感が壊れた女が出現します


 ふと気づいたらいきなり目の前にいます


 御前は忍者か?

 わからないように接近する術でも習得したのか?


 そんなツッコミが浮かぶように出現します。



「一緒に、お昼を食べようと思って……」



 そうですか。特に話すこともないので黙々と食べました

 食べたらとっとと勉強しようと思ったのです


  マジメで勤勉な必要な事だけを語る委員長キグルミ


 を校内と同じように着込んでいるので愛想が悪いです

 そんな態度にもめげず譜久島ちゃんは

 コミュニケーションを取ろうとしてくれました。



「あのね。男子にモテたくない?」



「いっやー、そう思う事はありますがねー」



 私は仄暗い笑みを浮かべました。当たり前です。


 譜久島ちゃんに寄ってくる第三高のストーカーは

 人語を解さず、喧嘩とセックスの話しかできず

 すぐに暴力を振るう人種です


 そういう男に、つきまとわれ、根負けして関わり、

 人生を罰ゲームにするような女には成りたくありません


 学年主任の先生が生活指導で何度も言っています


「強姦される可能性が高いので第三高生には近寄るな

 接触しそうな場所に行かないように

 なるべくなら奴等の視界に入らない行動範囲にしろよ」と


 よっぽどな事件が発生したのでしょう。


 譜久島ちゃんが、片想いの相手を振り向かせるためのトレーニング

 ・・いや、モテるために行っていると語る場所は

 接触する可能性が市内で一番高い所です

 スリル・ジャンキーなのでしょうか?


「あたし、モテるんだよぉ!」


 譜久島ちゃんが、自分で自分に言い聞かせるかのように言います

 私は何も言いませんでした

 心に浮かんだツッコミを口にしてはダメな感じがしたからです。


「そう……と、ところで昨日のテレビアニメだけど」


 とりあえず、露骨に話を変えました


「アニメ!」


 あ、ヤベ。 私は失敗に気づきます

 実は中学時代の終盤、両親にアニメ見すぎを咎められ、

 ニュース番組以外の一切を禁止されていたのです

 最新アニメの話をされても何一つわかりません

 ところが譜久島ちゃんの食いつきは凄かったのです。


「XXXがXXXでXXXだからXXXでXXXだと思うんだけど」


 まずい! わかりません。未知の外国語を聞いているみたいです

 人気作のタイトルや主人公の名前らしい単語くらいしかわかりません。


「雑誌コーナーにアニメ雑誌あるよ。取ってこようか?」


 しばし、自分が言いたい事を言いまくって

 相手が理解できないけど、一応は聞いているフリをする

 という片想いのような一方通行会話が発射されます

 譜久島ちゃんも橋田も、互いに言いたくなった事を言うだけです。


 会話が途切れたので

 橋田は勉強をはじめようと筆記用具を出しました。


「どこの大学を受けるの? やっぱ軍需産業大学?」


 ……ん? んん?


 そう言えばなにも考えてませんでした。



「ボクは、親を卒業までに説得して声優になるんだ」


「そう、なれるといいですね」


 このときの私は譜久島ちゃんという人間を理解していませんでした


 落ち込んだ時に菓子を御裾分けしただけで

 休日・・突撃友達ビックリな行動をするような人間です


 無責任な背中押し発言だったかなあ、と今は想います。


 ですが当時、無責任な背中押し発言に気をよくして

 満面の笑みを浮かべる譜久島ちゃんに


  夢は夢のまま終わるから夢なんだよ

  夢を食べて生きていけないから現実を見ろ


 というような水かけセリフは言えませんでした。


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