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ミリオンクエスト ~魔法使えないのに100万MP渡されて邪神倒してこいと言われました~  作者: 糠酵太
第三章 禄存星 ~茨姫と太陽の騎士~
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第72話 実戦テスト(前編)


 メネ姫から借りた分を合わせ、今現在、裕真が所持している《フォローリング》は五つになった。

 残りはあと二つ。すぐにでも借りに行きたいところだったが、今は船員たちに休暇を取らせているため、出航できない。


 そこでその間、リングの使用テストを行うことにした。



 【 カペラ市近郊 古代都市廃墟群 】



 テスト会場に選んだのは、カペラの街周辺に点在する古代都市の廃墟群だった。

 この一帯は地理的に世界の中心に近いため、太古の昔から戦略的要衝とされ、幾つもの文明が巨大な都市を築いてきた場所である。

 エルフ文明、ドワーフ文明、オーク文明、そして魔法帝国。

 それらの文明はすでに滅び去ったが、当時の最高技術で建造された建築物群はいまだ健在で、『ダンジョン』として残り続けている。


 今では魔物や無法者の巣窟と化しており、非常に危険だ。

 新帝国としては、可能ならばすべて更地にしたいのだが、超技術で築かれた建造物はあまりにも頑丈で、解体には莫大な費用と時間が掛かる。そのため、放置されたままになっているのだった。


 つまり、ここで思いっきり暴れて破壊しても、咎められることはない。

 神器の性能テストには、これ以上ない舞台だった。


 テストに赴いたのは、裕真、イリス、アニー、ラナン、ルナ、モモ、茜の七人。


 裕真はチャージ済みのリング五つを、イリス以外の五人へと手渡した。

 それぞれが指に嵌め終えたのを確認すると、ルナが軽く手を叩き、皆の注意を引く。


「はい、みんな聞いて聞いて!」


 現在のルナは普段の上品な私服ではなく、頭部以外をフルプレートアーマーで覆い、腰にベース(軍用スカート)を装着した勇ましい姿だ。


「リングを使う前に、ひとつ注意するべきことがあります」


 なんだなんだ、と一同がざわつく。


「このリングが最大100万MPまでチャージできるのは知ってるね?」


 はーい、と皆が軽い調子で答える。

 だが、次の一言で空気が変わった。


「でもその100万MPを、一度に使うと死にます」


 えっ!?、と驚きの声が重なる。

 裕真が慌てて身を乗り出した。


「死ぬって、どういうこと?」

「それはね、人体が耐えられる魔力(MP)許容量に限りがあるからだよ。ほら、魔道具もMP注ぎ過ぎると壊れるじゃん?」


 その説明に、全員が「ああ……」と納得の声を漏らす。

 例えるならリングは貯水湖で、人体は水風船。

 限界以上の水を注げば、風船は破裂する。


「人体が耐えられる安全圏は1,000MPまでって言われているね。だからMPを引き出すのは、その範囲に留めて」

「そういえば、そんな話を授業で聞いたような……。忘れてました、お恥ずかしい……」


 アニーが頰を赤らめて俯いた。

 だが忘れるのも無理はない。1,000以上のMPを持つ人間なんて、歴史に名を遺した英雄ぐらいで、アニーのような普通の魔術師にとって現実味のない御伽噺でしかなかった。


「……え? じゃあ最初使った時、オレらが1,000MP以上の魔法撃ってたら死んでたの?」


 ラナンが目を丸くしてルナを見つめる。


「死んでた」

「ちょっとー!」


 あっさりと言い切られ、ラナンが声を荒げる。


「ごめん、お父様も伝え忘れていたみたい。なにしろこのリングが実戦で使われるの、900年ぶりだから」


 七つのフォローリングは、始祖オリオンが婚約指輪として七人の恋人に贈ったものだと伝えられている。

 その由来から、現在ではオリオン直系の血族の者が儀礼的に受け継ぐようになったという。


「あのー、前から気になってたんやけど、そんな貴重な指輪、なんで修行中の姫様に持たせてんの? 万が一なくしたら大変やん」


 茜が首を傾げながら手を挙げる。

 

「その心配はないよ。この指輪には“意思”があるんだって。それで所有者が亡くなったり、うっかり紛失した時には、《マスターリング》の元に戻るようになっている」


 ルナは右手を差し出し、人差し指に嵌めたリングを見せながら答えた。

 へぇ、と皆が感心の声を漏らす。


「それってつまり、姫様たちの生死判定装置になってるってことじゃない? いいの? そんなもの借りちゃって」


 イリスが少し心配そうに言った。

 しかしルナは手をひらひらと振り、あっけらかんと答える。


「いいのいいの。私たちの生死を判定する手段なんて他にいくらでもあるんだから。この神器をそれだけのために使う方がもったいないよ」


 その言葉に、裕真たちは胸を撫で下ろした。オリオン王国に無理をさせていないと知り、ようやく安心できた。


「……あ、ちなみに自分の身を犠牲にするつもりなら、100万MP全て放出することも出来るよ」


 一同、ギョッとする。

 裕真が恐る恐る口を開く。


「そ……それって自爆!?」

「ま、そうなるね。いざという時が来るかもしれないし、覚えておいて」

「いやいや! ダメダメ! そんなの絶対禁止!」


 両手を交差させ、強く否定する裕真。


 だが、他の面々の表情は真剣だった。


 これまで対峙してきた『最悪の七人(ワーストセブン)』は、いずれも常識外れの強敵で、幾度となく追い詰められてきた。

 それでも生き延びることができたのは、幸運に助けられたからに過ぎない。

 もちろん命を捨てたいわけではない。だが、そうも言ってられない状況が訪れる可能性を、誰も否定できなかった。


 そんな重い空気を感じ取ったモモが、明るく声を弾ませて言った。


「そんな事態にならないためにも、訓練して強くならなきゃ……ですね!」



 ◇ ◇ ◇



 テストと言っても、具体的に何をするのか裕真は聞かされてなかった。

 自分が不在の間に、彼女たちだけで決めたらしい。

 今回、裕真とイリスの役目は緊急時のサポート要員。

 基本的には後方で見ているだけで、彼女たちに対処できない問題が発生した時だけ手を貸せばいいとのことだ。


 そんなわけで、古代の街をスタスタと進んでいく。

 そこには、直線的なラインで構成された灰色の建造物が立ち並び、カペラの街とはまるで異なる光景が広がっていた。

 石材ではなくコンクリートのような素材で築かれており、地面もアスファルトのようなもので継ぎ目なく舗装されている。まるで地球のビル街のようだ。

 崩れた壁の断面から鉄骨が覗き、壁面には箱型の機械や配管が張り巡らされている。

 イリスの説明によると、ここはドワーフ文明の遺跡らしい。

 その遺産は以前も目撃したが、改めて高度な文明だったんだなと思い知らされる。


 やがて先頭を歩いていたイリスが、すっと足を止める。振り返りざま、無言で双眼鏡を差し出してきた。

 促されるままにそれを受け取り、彼女が指差す方向を覗く。


 五階建ての廃ビルの屋上に、枯れ木や廃材が積み上げられている。

 その上に数体のレッサードラゴンが寝そべっているのが見えた。

 どうやら、あそこが彼らの巣のようだ。


「それじゃ、さっそく“実戦テスト”をやってみようか」

「おう!」

「はい!」

「やってやりますよ!」


「……え? 実戦?」


 即答する面々とは対照的に、裕真だけが目を丸くした。


「そうよ。ギルドからクエストも受けてきたし」


 そう言って、イリスは懐から一枚の受注書を取り出す。

 記されていた内容を見た瞬間、裕真の表情が固まった。



 【クエスト:レッサードラゴンの群れを討伐せよ】



「ええっ!? いきなり魔物と戦っちゃうの!?」

「そうですよ?」

「なにを当たり前のことを」


 しれっと言い切る一同に、裕真は面食らう。

 まず石とか丸太とか、無機物相手に試し打ちをするものだと思っていたのだ。


「大丈夫!? レッサードラゴンって、けっこう強い魔物だけど」

「だからこそだよ。こいつらの討伐レベルは『50』。Sランクダンジョンの最低水準だ」


  ルナはそう言いながら、いつの間にか手の中に黒い球体を出現させていた。

 ボウリングの球ほどの大きさのそれは、鈍い光を放っている。

 それが、彼女の武器らしい。

 ルナに続くように、他の面々もそれぞれ武器を構える。


 イリスは青白く発光する片手剣。

 ラナンは石製の巨大ハンマー。

 アニーは紫と黒の縞模様の毒々しいキノコ。

 茜は式神のウミネコ。

 モモは黒い三叉の槍。


 いずれも通常の物質ではなく、精霊や魔法の力を実体化したものである。


「さあ、ぶっ放すよ!」


 振りかぶると同時に、黒い球体を巣へ向かって投げ放つ。

 数百メートルは離れているはずの距離を、球体は放物線を描いて飛び、巣の中心に入り込んだ。

 次の瞬間、轟音とともに爆発。瓦礫が吹き飛び、砂煙がビルを覆う。


 ルナが投げたのは爆弾だった。

 彼女は『爆弾の精霊』と契約している。

 普段、頑丈なフルプレートを装備しているのも、敵の攻撃だけではなく、自分の爆弾から身を守るためだ。


 爆炎の中から、怒り狂ったレッサードラゴンたちが飛び出してくる。


 それを迎え撃つように、茜が式神を放った。

 ウミネコの式神は弾丸のような速度で空を裂き、一直線にドラゴンの身体を貫通する。


 おおっと皆が歓声を上げる。

 だが一番驚いたのは、術を使った茜自身だった。

 ほんの牽制のつもりだったのに、まさか一撃で葬れるとは思っていなかったのだ。


 次に動いたのはモモだった。

 黒い三叉槍を振りかぶり、「えいっ」と可愛い声を上げて投げ放つ。


 槍はドラゴンの表皮にぷすりと突き刺さった。

 一見、致命傷にはほど遠いように見えたが――


 その直後、槍は黒い粘液となり、ドラゴンをスッポリ包み込む。

 そしてそのまま収束し、ぱっと姿を消した。

 後には何も残っていない。


 モモが放った槍は『暗黒悪夢槍(ドリミースピア)』。

 刺さった対象を『暗黒悪夢時空(ドリーミーランド)』へと転送する。

 送りこまれた存在は、自力で帰還する手段がない限り、二度と現世に戻ることができないという恐ろしい魔法である。


 裕真は思わず背筋に寒気を覚えた。

 暗黒悪夢時空(ドリーミーランド)とは悪夢そのものが具現化した怪物の巣窟なのだ。

 そんな場所に、もし人間が送り込まれたとしたら……。


 残った魔物たちは、ラナンがハンマーで叩き潰し、アニーがキノコで毒殺し、片づけた。


 戦闘はほんの数分で終わった。

 こちらの被害はゼロ。完勝である。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 【 RESULT 】


 レッサードラゴン 13体 撃破

 (うち1体は暗黒悪夢時空行き)


 クエスト報酬 100万マナ



 【 獲得素材 】


レッサードラゴンの魔石 ×12

 1万マナ相当の価値がある


ドラゴンタスク(劣) ×12

 武器素材 〈耐性貫通〉の魔力が少しある


ドラゴンクロ―(劣) ×12

 武器素材 〈防御貫通〉の魔力が少しある


ドラゴンスケイル(劣) ×12

防具素材  《全属性耐性》の魔力が少しある


ドラゴンミート(劣) ×12

 栄養満点だが、とても硬く調理が難しい


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ニーアから「できれば素材を持ち帰ってください」と言われていたため、その通りに回収していく。


 裕真は散らばった素材を拾い集めながら、先ほどの戦闘を思い返していた。

 みんな強かった。リングの効果がこれほどとは。

 これならSランクダンジョンに挑むのも可能だろう。邪神討伐という目標が現実味を帯びてきたことに、胸の奥が熱くなる。


 それは皆も同じで、いまだ興奮冷めやらぬようだ。


「うおおっ! テンション上がってきたぁぁっ!! 次行きましょう! 次!!」


 アニーが腕をぶんぶん振り回しながら叫ぶ。

 全身で興奮を表現しており、その勢いは止まる気配がない。あまりのテンションの高さに、周囲はやや引いた。

 ルナはそんなアニーを「どうどう」と宥めながら、腰のポーチから四枚の手配書を出した。


「次はね、『賞金首』を狙うよ」


 その言葉に、場の空気がわずかに引き締まる。

 ルナは一枚目の紙を掲げた。そこには、巨大なイノシシの姿が描かれている。

 天を穿つように反り返った牙に、毛皮の上からでも分かる隆起した筋肉。

 ただの魔物とは一線を画す威圧感が、絵越しでも伝わってきた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 神獣属 [エリュマントス]

 討伐Lv75 賞金150万マナ


 巨大な猪の魔物。

 猪の大精霊『パイア』の眷属。

 凄まじい突進力を持ち、立ち塞がるものを粉砕しながら爆進する。

 その威力は、小さな砦程度なら跡形も無く吹き飛ばすほど。

 放置すれば周囲一帯を更地にするため、速やかな駆除を。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ◇ ◇ ◇



 一行はエリュマントスのナワバリへと足を踏み入れる。


 つい先ほどまで遺跡が連なっていた一帯は、まるで嘘のように開けた平原へと変わっていた。

 崩れた建材が無造作に転がる光景が、かつてそこに建造物が存在していたことをかろうじて物語っている。


 すべて、エリュマントスの仕業だ。


 新帝国ですら手を焼くほど頑丈な遺跡を、たった一体の魔物が力任せに破壊し尽くしたのである。

 遺跡だけを壊してくれるのならまだしも、この魔物は時折ナワバリを離れて街道や村落を襲うため、放置するわけにはいかない。

 そんなことを考えていると、ドドドドと腹の底に響くような地鳴りが遠方から迫ってきた。


 土煙を巻き上げながら巨大な猪『エリュマントス』が一直線に突進してくる。

 侵入者である裕真たちを排除するべく、最初から全力で弾き飛ばすつもりらしい。


「よっしゃ! オレの出番だな! まずは動きを止める!!」


 ラナンが一歩前に出てハンマーを構えると、その表面が淡く輝きを帯びた。


「石の精霊よ! 不壊金剛の壁となり、我が敵の道を阻め!! 《ストーンウォール》!!」


 ハンマーを地面に叩きつけた瞬間、大地が隆起し、カペラの市壁にも匹敵するほどの分厚い石壁が一気にせり上がる。

 これならば、いかに突進を得意とする魔物でも突破は不可能――そう確信した直後だった。


 ボガンッという轟音とともに、その石壁が正面から粉砕された!


「なっ!?」


 驚愕する間もなく、石壁を突き破ってきたエリュマントスの突進がラナンを捉える。

 彼女の体は成す術なく弾き飛ばされ、天高く舞い上がった。

 数秒間空中で錐揉み回転した後、ドシャアッという鈍い音を立てて地面に叩きつけられる。


「ラナーーン!! 言わんこっちゃない! ここは俺が――」

「待って ユーマ!」


 杖を構え駆け出そうとした裕真をイリスが制する。


「ラナン! まだ立てるでしょ! 立ちなさい!!」


 イリスが言う通り、ラナンは装備してた《ガードバングル》のおかげで大したダメージを受けていなかった。

 しかし、自分の得意技を破られた事実に呆然とし、立ち上がれずにいたのだ。


「ハンターの基本を忘れたの!? 『敵の舞台で勝負するな』って!!」

「……!!!」


 その一言がラナンの胸に突き刺さる。

 がばっと身を起こし、視線の先で再び突進の体勢に入るエリュマントスを見据えた。


「敵の舞台……奴の得意分野……! そうだ! 奴が一番得意としてるのは、『突進による破壊』!! オレはそれに真っ向勝負を挑んじまった!!」


 それは何百年もの間、語り継がれてきたハンターの教えだった。

 魔物は人類より優れた能力を持っている。その土俵で戦えば敗北は必然であり、勝つためには相手の強みを外した戦い方を選ばなくてはならない。


 再び大地が震え、エリュマントスがこちらへ向かってくる。


「また来たぞ!!」


 思わず声を上げた裕真は、助けに入るべきか迷いを隠せずにいたが、その逡巡を断ち切るようにラナンが叫ぶ。


「今度は間違えない! 石の精霊よ! 大地を引き裂け!! 《アースブレイク》!!」


 ハンマーを打ちつけると、今度は壁ではなく地面そのものに無数の亀裂が走り、さらに地下水が噴き出して一帯の足場を一気にぬかるみへと変えていく。


 突進してきたエリュマントスは足を取られて大きく体勢を崩し、そのまま滑るように転倒した。

 起き上がろうとしても踏ん張りが利かず思うように動けない。


「どうだ! こんなグチャグチャな足場じゃ、自慢の突進は出来ねーだろ!!」


 さらに地面を叩くと、今度はエリュマントスへ向かって石の足場が連続してせり上がる。

 ラナンはそれを踏み台にして一気に距離を詰めた。


「くらえ!! MP1,000!! 《ストーンクラッシュ》!!」


 振り下ろされたハンマーがエリュマントスの頭部に直撃する。

 それは『石の精霊』の力を借りた攻撃スキルであり、対象が硬ければ硬いほど威力を増す。

 その性質が、皮肉なほどこの魔物に噛み合っていた。


 これまで数多の村落と人命を砕いてきた魔猪の頭蓋が、乾いた音とともに砕け散る。

 その巨体がゆっくりと崩れ落ち、動かなくなった。



 『エリュマントス』、討伐完了!!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 【 RESULT 】


獲得賞金 150万マナ (約1億5,000万円)



 【獲得素材】


『エリュマントスの魔石』

 10万マナ相当の価値がある。


『エリュマントスの牙』

 最高の武器素材になるが、硬すぎて加工できる者は少ない。

 〈筋力上昇〉の魔力あり。


『エリュマントスの皮』

 最高の防具素材になるが、やはり非常に硬く、加工は難しい。

 〈防御上昇〉の魔力あり。


『エリュマントスの骨』

 最高の武器防具素材だが、やはり加工は難しい。

 〈耐久上昇〉の魔力あり。


『エリュマントスの肉』

 鉄塊のように硬いので直接食べるのには向かない。

 スープのダシにするといいかも。


『エリュマントスの肝』

 最高品質の解毒剤になる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「いや~、すまない。心配かけちまって……」


 頭を掻きながら、照れくさそうに笑うラナン。

 その顔は泥に塗れながらも輝いて見えた。


「いやいや! ナイスファイト! 相手の強みを潰してからの反撃! これがハンターの戦いなんだな!!」


 裕真は心からの賞賛を送る。

 ただの力押しではなく、ハンターとしての知識と経験を生かした戦いに感動を覚えたのだ。


 テスト初日は上々の結果だった。

 リングの性能確認に加えて、ラナンの成長をはっきりと目にすることができたのだから。





 【 おまけ エリュマントスの所持スキル 】


〈猪突猛進〉 一心不乱の突撃で、あらゆる障害物を粉砕する。


〈筋力上昇(特大)〉 筋力が桁違いに上昇する。


〈防御上昇(特大)〉 防御力が桁違いに上昇する。


〈嗅覚上昇〉 嗅覚が鋭くなる。この魔物は好物のトリュフを探すのに使っていた。



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