8-6. 意味深な関係?
(*未依沙視点)
大学で一人歩いていると、
練習終わりの瑠飛とかげちゃんがいた。
かげちゃんに会えるなんてラッキー!と、
わたしは一人嬉しくなった。
「未依沙、最近忙しいの?」
瑠飛の質問の意図がよくわからなくて
聞き返した。
「忙しいかな? うーん、いつもとそんなに変わらないかも。なんで?」
「前はバレー部に差し入れよく来てくれたじゃん? 最近全然来ないなと思って」
かげちゃんに言われてハッとした。
「あ〜、差し入れね。……たしかに最近してないね。今日もバスケ部に行ってたからなぁ」
友達の恋の応援に一生懸命で、
確かに差し入れしてないな…
苦笑いするしかなかった。
一つのことにいっぱいいっぱいになっちゃう
自分の癖に気づく。
「今度の試合のときはしたいなって思ってる。行ってもいい?」
「そっか。……練習には、来られない感じか」
「え? かげちゃん、練習に来てほしかったの?」
なんだか残念そうに言うかげちゃんを
可愛く思った。
かげちゃん、少しはわたしのことを
気にしてくれてるってこと?と、
一人で舞い上がりそうになる。
「そ、そりゃあ、もちろん。……部員の士気も上がるしさ」
「“部員”のね。――かげちゃんの士気は、どうやったら上がりますか?」
‘部員”’という言葉に
どうしても引っかかってしまった。
わたしはかげちゃんの応援がしたいんだよ。
差し入れだって本当は会う口実。
かげちゃんに会いたいから、
力になりたいからしてるだけ。
「まあまあ、未依沙。そのくらいにしておいてあげて。かげが困ってるだろ」
瑠飛がいつものように
わたしの頭をポンポンしてあしらってくる。
ちょっと攻めてみたら、
かげちゃんはあっちを向いちゃってる。
ふふふ、かげちゃんは可愛いな。
…いつになったら、
わたしの気持ちに気づいてくれますか?
そんなことを思いながら、
かげちゃんの横顔を盗み見る。
「あ、未依沙ちゃん!よかった。まだキャンパスにいた。すぐ終わるからちょっと手伝ってくれない?」
林田先輩が手を振りながら
笑顔でこっちへやってきた。
「また、バスケ部のですか?」
私は自然と笑顔になる。
林田先輩は本当にいい人だから。
「あ、それじゃあ、かげちゃん、瑠飛、またね。試合の場所、メッセージしといて」
わたしは二人と別れて林田先輩と一緒に歩く。
背中に切ない視線が届いてることなんて、
全然気づいていなかった。




