8-5. 意味深な関係?
本日は21時に(*未依沙視点)を投稿します!
(*景虎視点)
「未依沙、最近忙しいの?」
練習後、瑠飛と並んで歩いていると、
偶然ひとりで歩いている未依沙に会った。
瑠飛が、俺もずっと気になっていたことを、
何気ない声で聞いてくれる。
「忙しいかな? うーん、いつもとそんなに変わらないかも。なんで?」
「前はバレー部に差し入れよく来てくれたじゃん? 最近全然来ないなと思って」
俺はこの話の流れで思っていることを言ってみた。
「あ〜、差し入れね。……たしかに最近してないね。今日もバスケ部に行ってたからなぁ」
未依沙は少し首をかしげて笑った。
どうやら自分でも気づいていなかったらしい。
その何気ない反応に、
胸の奥がチクリとした。
まるで――俺のことなんて、
もう忘れてしまったようで。
最近一緒によく見かける人も、
バスケ部だって聞いたし…
って、なんでこんなことまで考えてんだ。
俺の思考が一人で走っていくのを、
未依沙の言葉が遮った。
「今度の試合のときはしたいなって思ってる。行ってもいい?」
「そっか。……練習には、来られない感じか」
「え? かげちゃん、練習に来てほしかったの?」
いたずらっぽく目を細めてくる未依沙に、
言葉が詰まった。
この前、たまたま見てしまったんだよ…
そのバスケ部の先輩と未依沙が笑い合っているところを。
なぜかそのシーンが俺の脳内に何度も出てくるんだ。
でも、未依沙はそんな俺のことなんて、
知らないんだよな…
言葉にできない感情が喉元までせり上がって、
熱い塊になる。
本当は、「もっと見に来てほしい」って
言いそうになるのを、必死で飲み込んだ。
「そ、そりゃあ、もちろん。……部員の士気も上がるしさ」
「“部員”のね。――かげちゃんの士気は、どうやったら上がりますか?」
その笑顔は、少しだけ挑発的で。
その無邪気さに、
返す言葉が見つからなかった。
喉が乾いて、視線を逸らす。
「まあまあ、未依沙。そのくらいにしておいてあげて。かげが困ってるだろ」
瑠飛が苦笑しながら、
未依沙の頭を軽くポンポンと叩いた。
二人の距離が自然で、
少しだけうらやましく見えた。
――俺の士気が上がるのは、
どんなときなんだろう。
未依沙が、試合に来てくれるだけで。
俺はそれだけで、
きっと何倍でも頑張れるのに。
少し下を向いていたら、前から声がかかった。
「あ、未依沙ちゃん!よかった。まだキャンパスにいた。すぐ終わるからちょっと手伝ってくれない?」
この前、未依沙と一緒にいた
バスケ部の先輩が歩いてくる。
暗いからあまりはっきり見えないけれど、
髪色が少し茶色で、髪形を整えていて、
オシャレな人だと思った。
「また、バスケ部のですか?」
未依沙の表情はパッと明るくなり、
その先輩に微笑みかけている。
前も思ったけど、未依沙は
この人に心を開いている感じがする。
壁がないというか…
「あ、それじゃあ、かげちゃん、瑠飛、またね。試合の場所、メッセージしといて」
未依沙はそう告げると、
すぐに先輩の横に並んで行ってしまった。
バスケ部の先輩から、高級そうな
香水の匂いが遅れてやってきた。
俺は、なぜか未依沙の遠のく背中から
目をそらせなかった。
「まあまあ、かげ、そんな怖い顔すんな。俺たちはバレーに集中しようぜ。未依沙は大丈夫だから」
俺の心とは正反対の、
なんの心配をする様子もない瑠飛の言葉。
瑠飛はなにか知ってるのか?
なんでこんなに悠長なんだろう。
俺だけが知らず、まるで世界に
一人取り残されているような気持ちになった。
21時の未依沙視点もお見逃しなく!




