8-3. タグの向こうの君
本日は21時にも投稿します!
景虎&未依沙視点をお楽しみください!
(*景虎視点)
「最近、未依沙がバレー部に来てないけど、かげ、なにか聞いてる?」
「あ~、そういえば来てないな」
言われるまで気づかなかったけど、
このところ確かに未依沙を見ていない。
瑠飛から言われてからというもの、
ますます気になってしまう。
脳みそって本当に面白いなと思う。
意識した瞬間から、
その対象を探し出すんだからな。
…
今日は他の大学との練習試合。
バレー部のメンバーで集まって、
電車で移動することになっている。
荷物をもって移動していると、
遠くに、男の人と一緒にいる未依沙が見える。
グラウンド脇の小道で、
未依沙がその男の人に
腕を引かれて走っていった。
軽く引っ張られて、
驚いたように笑ってる未依沙。
少し汗ばむような初夏の風が
二人の髪を揺らしていた。
まるで、スローモーションみたいに見えた。
――なんで、そんな顔するんだよ。
胸の奥がざわついて、
視線を外せなかった。
ただ走ってるだけなのに、
痛いくらい苦しかった。
あ、二人が立ち止まった。
俺は二人の動向から目が離せなかった。
すると、先輩が少し屈んで
未依沙の顔によせた。
え…キスしてる…?!
一瞬足が止まり、そのまま転びそうになった。
息をするのも忘れるところだった。
あんな公の場で?未依沙が?!
信じられなかった…
その場面が、俺の脳内で何度も再生されて、
なんだか心が沈んでいくみたいだった。
でも、なんでそう思うんだろう。
未依沙はこれまでもずっと
モテていたじゃないか。
何ら変わらないし、
よく見てきた光景じゃないか。
彼氏ができたって全然おかしくないことなのに…
心臓の奥が冷たく重くなった。
どうしてこんなに気持ちになるんだ…
いつもの笑顔なのに、
俺の知らない世界で笑ってるみたいに見えた。
未依沙はあまり男性と親しくしないイメージがある。
それもあって、その光景が
やけに目に焼き付いた 。
あの人は誰だ…?
✳︎
数日後、たまたまストーリーで
タグ付けされているのが見えた。
どうやらバスケ部のメンバーらしい。
ストーリーのタグをタップすると、
焼き肉屋のテーブルが映っていた。
もう見たのに、それでも何度も
そのストーリーを繰り返し再生してしまう。
笑ってる未依沙の横に、あの男がいる。
「楽しかったね!」の文字と一緒に。
それだけのことなのに、
胸の奥がぎゅっとした。
未依沙がこんなあからさまに
交流をシェアするのはかなり珍しい。
でも、タグ付けだから
未依沙もコントロールできないことだよな、
と思った。
以前、未依沙はバレー部に頻繁に顔を出して
差し入れをしてくれていた。
部員たちが『未依沙ちゃんの目当ては誰だ』
なんて盛り上がってたから、
それが嫌で来なくなっちゃったんだろうか。
……そんな風に、考えても
わからないことばかりが頭を巡る。
普段はこんなこと、あまり気にならないのに…
俺、どうしちゃったんだ?
自分の気持ちがわからない。
これはどういうものなのか…
本日21時は(*未依沙視点)を投稿します!




