7-7. 一人で焦る朝
本日は2回投稿します。
次回は21時です。
(*未依沙視点)
「かげちゃん、おはよ〜」
一限目の教室に向かう、たくさんの生徒の背中。
その中で、後ろ姿だけで一瞬でわかってしまう。
太陽の光に照らされて、
髪がさらさら揺れている。
「おぉ、未依沙。おはよう」
振り返ったかげちゃんが、
まぶしそうに目を細めた。
その横顔がふわっと輝いて見える。
髪の毛、ほんとにきれいだな。
髪に触りたいな~
──って、頭を撫でたいとか思うなんて、
わたし重症すぎる。
思わず緩みそうな頬を、必死に引き締めた。
「昨日はありがとうね。バイト先に来てくれて。」
「いえいえ。あれ、瑠飛が行こうって言い出したんだけどさ、茶化しに行く感じになりそうで、やめようかなって思ったんだよね。」
……やっぱり優しいな、かげちゃん。
そういうことまで考えてたんだ。
「わたしは、かげちゃんが来てくれて嬉しかったよ。また、いつでも来てね。」
これは本音。
昨日、カフェでかげちゃんを見つけたとき、
“ラッキー”って心の中で叫んでたんだから。
「……あのバイト先の先輩には、いつも送ってもらってるの?」
予想外の質問に、一瞬だけ言葉が詰まる。
「いつもじゃないよ。昨日はたまたまで……」
「そっか。まあ、送ってもらって正解だと思うよ。夜道は危ないからね。」
優しい声で、まっすぐに目を見てくる。
その視線に、心臓がきゅっとなった。
わたしのこと、ちゃんと心配してくれてる。
それが嬉しい。
……けど、他の人と一緒に帰ることを
“正しい”って言われるのは、ちょっと苦しい。
ほんとは――
昨日、かげちゃんと一緒に帰りたかったんだよ。
どう伝えたらいいんだろう。
可愛く甘えられたらいいのにな……。
でも今のわたしたちの関係では、
浮かぶ言葉が見つからなかった。
21時にもう一話投稿します!




