7-1. この胸の高鳴りを君と
いつも応援ありがとうございます!
2日間、投稿が止まってしまいすみません。
本日より第7章 大学生生活が始まります。
引き続き、お楽しみください。
(*未依沙視点)
わたしは高校の卒業式を終え、
いつもの美容室へ行って
新しいことに挑戦していた。
「未依沙ちゃんも、もう大学生か〜。早いね。さ、今日は何がご希望かな?」
「実は、髪を少し短くして、髪色も変えたくて」
合格して同じ大学に行けたら、
髪色を変えてみたいと思ってた。
鏡に映るのは、昨日までの『幼馴染』じゃない、
知らない女の子みたいだった。
可愛くなれた。
新しい自分との出会いに嬉しくなった。
かげちゃんと瑠飛には、
先に合格したことは伝えていた。
でも、直接会って伝えたかった。
『わたしも至誠館大学に行くよ』って。
今日の夜は、瑠飛の家族が合格パーティーを
開いてくれることになっていて、
いつものようにお呼ばれしていた。
私たちは大学生になったら、
親元から離れて一人暮らしを始める。
これからは、お互いの家に行くのに
『約束』が必要になるんだ。
すぐそばに瑠飛がいて、
そこにはかげちゃんもいる。
この当たり前が、もうすぐ終わるんだ。
夕食会も最後になるかも知れない……
次はいつできるのかもわからない……
今日は、瑠飛の家族にいっぱい感謝を伝えよう。
わたしは心に決めたのだった。
✳︎
「瑠飛、かげちゃん!」
瑠飛の家に行こうと外へ出ると、
2人がわたしを待っていた。
気がついた時には、
もう体が動いていた。
カバンを放り出すようにして、
勢いよく二人の胸に飛び込んでいた。
ふわりと鼻をくすぐる、
昔から変わらない柔軟剤の匂い。
だけど、私をしっかりと
受け止めてくれた腕の力強さも、
胸板の厚さも、記憶の中の二人より
ずっと大きくて、逞しかった。
「わたし、合格したよ……っ 」
また3人で、同じ大学へ行ける。
それが嬉しくて、愛おしくて、
もう涙を止めることができなかった。
18歳にもなって、こんなに子供みたいに
号泣するなんて思ってもみなかった
瑠飛とかげちゃんは優しく、
でもぎゅっと抱きしめてくれた。
「未依沙、よく頑張ったな」
瑠飛はいつものようにポンポンしてくれる。
「これからも3人一緒だな」
かげちゃんの声がいつもより明るくて、
わたしの喜びがもっと大きくなった。
まるで、かげちゃんが自分ごとのように
喜んでくれてるのがわかって、
胸がいっぱいになった。
2人から離れて涙を拭っていると、
「新しい髪型、めっちゃ似合ってんじゃん。顔はぐちゃぐちゃだけど」
瑠飛がもう一度頭をポンポンしてくる。
「ちょっと、瑠飛!一言多いんだけど!でも、ありがとう」
泣き笑いになりながらも、
いつものように応える。
「なぁ、かげもそう思うよな?」
え?それ聞いちゃう?
わたしは瑠飛の変化球にドキドキしていた。
かげちゃんは何て答えるのかな…?
「うん、いいと思う!……に、似合ってるよ 」
最後のほうは小声の早口だったけれど、
その言葉が聞けて、わたしは大満足だった。
2人が一足先にスポーツ推薦で受かった時、
わたしはとてつもない焦りを感じていた。
正直、この半年はかなり辛かった。
でも、今、この最高の瞬間を味わうために
日々の努力があったんだ…
この胸の高鳴りを一緒に感じられたのが、
いちばんの宝物だった。




