6-4. なんでお前なんだ
(✳︎瑠飛目線)
昼休み、スポーツ科の教室は
最高にざわついていた。
なんでお前なんだ――という声が
あちこちから聞こえる。
「おい、かげ〜、お昼、誰とどこで何してたのかな〜?」
まあ、そうなるよな。
未依沙がかげを呼び出して
お昼に二人で消えたんだから。
スポーツ科は男が多いから、
注目の眼差しの熱いことといったら
すごかった。
当の本人たちは背中を向けてたから
全く気づいてなかったけど。
「未依沙がお弁当作ってきてくれたから一緒に食べた」
かげが恥ずかしがるでもなく、
普通に応えていて、周りの男子たちが
理由を知ってビックリしてる。
「なんでだ、なんで上野にお弁当作ってもらってんだよ!」
「球技大会でバレー出るらしくて、教えたらそのお礼だって。」
「お弁当の中身、何だった?」
「上野って料理うまいの?」
男子の質問攻撃に合っているかげは
「そんなの、別にいいだろ、知らなくて」
と、周りの男子たちを
テキトーにあしらっていた。
答える気がないのか、
”答えたくない”のかは知らんが
その光景は見ていて面白かった。
「俺だってバレー部なのに。なんでかげだけ…」
バレー部のやつが泣くフリをしてる。
「未依沙、優しいからな」
「てかさ、なんで上野のこと未依沙呼びなんだよ。瑠飛は近所だからわかるけどよ」
「俺とかげと未依沙は幼馴染だよ。まあ、俺たちの強い絆は誰にも越えられないけどな」
かげから幼馴染と言わなそうだと思って、
俺は助け舟を出して、ついでに煽ってみた。
「あんな可愛くて勉強もできる子が幼馴染かよ!うらやま!」
「でも、幼馴染でもお弁当作るって、相当だよな」
俺も内心そう思ってた。
「未依沙、律儀だよな」
周りの茶化しには動じず、
発言するかげの鈍感さが目立つ。
それだけじゃないと思うぜ、かげ。
俺は、これは脈アリととっても
いいと思うのだが…
「未依沙とは幼馴染だけど、俺とは釣り合うと思ってないし、お礼もたまたまだよ」
かげの発言で、納得したり
安心したりする男子がいたが、
俺はいつもその手の発言にモヤっとする。
釣り合うどうこうって、
気にしすぎだろとちょこちょこ思う。
未依沙はそんなこと1ミリも思ってないのに。
バレーのコートではあんなに堂々としてるのに、
ふとした瞬間に自信がないところが出るよな。
バレーの才能があって、努力の天才でもあって、
ユースに選ばれたりしてて、
かげもめっちゃ凄いヤツなんだけどな。
謙虚なんだか、自覚してないんだか…
かげ、未依沙の横に並んでも、
お前は胸張ってられるぞ。
俺は心の中で親友にエールを送った。
いつか、その言葉を本人にも言えるといいな。




