5-7. 特性: 鈍感
(*瑠飛目線)
「なぁ、かげ、お前何したの?」
かげに熱い視線を送っている女の子を、
最近よく見かける。
「この前、怪我してたところを助けたんだよね」
「そうなのか。めっちゃ熱い視線をかげに向けてるじゃん」
「そうかな?よくわかんないけど…」
こいつの特性は”鈍感”なのか?!
かげは特に意識することもなく普通にしている。
これだけアピールされたら、
多少は意識してしまうのが普通だと思っていたが…
あの女の子、何か用事あるのかな…?
そう思いながら、俺たちは
部活の開始と共にコートへ向かった。
✳︎
部活が終わって外へ出ると人影があった。
「あの…後田先輩、もう帰りましたか?」
声をかけてきたのは、さっきかげを見つめていた
後輩の女の子だった。
名札を見ると辻口と書いてある。
「いや、まだ部室にいると思うよ。どうした?」
「後田先輩に渡したいものがあって…」
「そうなんだ。もうすぐ出てくると思うけど。ところで、最近、かげのことよく見てるよね」
優しく笑いかけると、少し頬を赤らめて恥ずかしそうに会話を続けた。
「はい…。実は、以前、足を怪我した時に保健室まで運んでもらったんです。後田先輩、とても優しくて…あと…かっこよくて」
最後は早口で小さい声だったが、俺の耳にはしっかりと届いていた。
辻口さんは顔を隠すように少し俯いている。
この子、かげに落ちたな。
あいつの優しさに当てられたか…!
「あいつ、練習中も仲間が倒れたら真っ先に駆け寄るもんな。ほんと、優しいやつだよな」
この子、見る目あるな。
ふと、そんなことを思った。
そして、かげのことが誇らしくなった。
そうなんだよ、あいつは本当にいいやつなんだ。
なんか、俺が嬉しい気持ちになってるじゃん。
ちょっと潤んだ瞳が再び俺に向いた。
まだ何か聞きたいことがあるのか…?
「あの…後田先輩って彼女さん、いるのでしょうか…?」
「うーん…いないと思うけど」
「そうなんですね…よかった」
目をつむり、安堵のため息をついている辻口さん。
ころころ変わる表情を見るのが面白かった。
この子、かなり積極的そうだな。
(未依沙、大丈夫かな…?1人で勝手に焦って自爆したりしないよな?)
かげはどんな対応をするんだろう。
気になるな。
あ、噂をすれば…
「あれ?瑠飛、まだ帰ってなかったの?」
後ろからかげの声がした。
辻口さんはひょこっと俺の後ろから顔を出してかげを見た。




