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一番近くて、一番遠いーネット越しの恋を、君とー  作者: りなる あい
第五章:越えられない距離と心の熱

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5-6. ステージの上で君は

文化祭、ラストのエピソードです。

さて、未依沙と景虎の距離は縮まるのでしょうか?

(✳︎景虎視点)


「始まるぞ!かげ、いそげ!」


ずんずん進む瑠飛の後ろを

必死に追いかけながら、人混みをかき分けて

ステージの中央へ向かう。


これ、本当に文化祭だよな…?


男子生徒も女子生徒もかなり集まっていて、

まるで本当のアイドルみたいだ。

周りの観客たちからの熱が伝わる。


体育館は黒幕で覆われ、

白い煙も出ていて、本格的で驚いた。

暗闇のステージ上に、人影が映る。


観客のボルテージが上がっていく。


パッと照明が当たった瞬間、

曲がスタートした。

巷で有名な曲らしく、

コールを知っている人たちが声を合わせている。

大きな声援、意気のあった声に正直圧倒された。


これ、そこらのアイドルよりすごいんじゃ…


「未依沙ー!」


「カレンー!」


「のぞみんー!」


センターが変わるたびに、

横で大声を張り上げる男。

こいつ、いつメンバーの名前覚えたんだよ…

リハーサルを見ている俺よりわかってるし、

詳しいってどういうことだ…


俺が若干引いてることなんて知らずに、

盛り上げに徹する瑠飛。

ここまで全力だと清々しいな。


未依沙は笑顔で全力でステージ上で踊っている。

すっごく楽しそうだな。

見ていて嬉しくなった。


それにしても…

フリフリのスカートに

どうしても目が入ってしまう。

ダメだとわかってるし、

下にちゃんと履いてることもわかってる。

だけど、これは男子高校生には良くない気がする…


あ、あのシーンだ。


未依沙が台の上に乗った。

今日は大丈夫だ…よな?

一瞬、恐怖の瞬間が頭をよぎるが、

そのまま問題なく進んでいく。


一瞬音がフッと聞こえなくなった。


あれ?

俺のこと見てる?


バーン。


観客のみんなが未依沙に撃たれた。

しかもウインク付きで。


今の…俺にじゃないよな…?

一瞬、心臓が掴まれたかと思った。

危ない…勘違いするところだった…。


そっか、ファンになる人ってこんな気持ちなのか。

まるで、自分と目が合って、

特別扱いされた気分になるのか!

妙に納得してしまう自分がいた。


でも、結構意外だった。

未依沙はそこまで

目立ちたがりじゃないと思ってた。

今は目の前でこんなにも笑顔を弾けて、

大胆に、ウインクまでしちゃってるんだから…


なんだか、まるで遠い人みたいだ…


明るいステージの上のアイドルと

暗闇の中に立つ観客の1人。

不思議なことに、本物のアイドルと

ファンになったかのような距離を感じてしまった。


「ふぅ〜!可愛いー!」


最後まで盛り上げ続けた

瑠飛の声援が終わった。


瑠飛が「未依沙ー!」と叫ぶたびに、

俺にはあんなに堂々と

名前を呼ぶなんてできないと思った。

喉の奥に言葉が詰まる感覚がした。

拍手で包まれた会場はまるで

一体感が生まれているかのようだった。


7人のメンバーは手を繋いで礼を言うと

ステージを降りていった。


アイドルたちを最後まで見送った観客たちと、

次の発表のために入ってくる人たちとで、

体育館の中がカオスになっている。


「上野、めっちゃ可愛かったな〜。完全に俺の推しだわ」


「俺はカレンちゃん派!ハーフって特別な可愛さがあるよな」


「本物のアイドル並みの顔面偏差値だったよな」


「それな!このグループ結成した人、誰だよ」


男子生徒の興奮した声が

次々と耳に飛び込んできた。


未依沙ってやっぱり人気なんだな。

まあ、普通に可愛いもんな。


「なあ、瑠飛、お前、なんでメンバーの名前、全員知ってんの?」


「未依沙ママから、応援よろしくって数日前に言われてさ。それで覚えてきた」


「は?そうだったのかよ。すご!」


「いや、応援するからには全力でしたほうが楽しいだろ?」


ニコっと笑う瑠飛を見て、

本当にコイツはいいキャラだなと思った。

汗をかくくらい応援してる姿が、

カッコいいなと男から見ても感じるほどだった。



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