5-1. 文化祭で抱きとめていた
今日は2話投稿です。
(✳︎景虎視点)
俺たちは2年生になった。
そして、駆け抜けるかのように、
いつの間にか夏休みが過ぎていた。
学校の登下校に、肌寒さを感じ始める頃、
校内は次の行事――文化祭に向けて、
一気に慌ただしくなっていた。
文化祭準備に明け暮れ、
学校中を走り回っていたら
見覚えのある後ろ姿があった。
掲示板に飾りを貼るために
手を伸ばしている未依沙。
ちょっと、それは反則だろ…
スカートの下に、何か履いてるのは
わかるけどさ…
高いところに登っているから、
足が露わになっていて
見えそうな角度にドキッとしてしまう。
「代わろうか?」
俺が声をかけると
「キャッ」
驚いて体勢を崩し、転びそうになる。
俺はそっさに未依沙の腰に手を当てた。
後ろから急に声をかけたのが
良くなかったか…
未依沙を驚かせてしまった。
手から伝わる温もりと、
とても細い腰回りを感じて
サッと両腕を引っ込めた。
「ありがと、かげちゃん。でも、後ろから急に声をかけるのはダメだよ」
未依沙から見下ろされて、
少し怒られて…
なんなんだ、この構図?
あれ?でも、なんだか顔が赤いような…?
俺の気のせいか…
「あと一つだから貼っちゃうね」
くるっと向きを変えて再び手を伸ばす。
セロテープを持たされた俺は、
未依沙が必要なタイミングで差し出す。
「手伝ってくれてありがとう。おかげで、無事に全部貼れました。」
ニコッと笑顔を向けて、
脚立からそのまま降りようとする。
「ちょ、未依沙。脚立は後ろ向きで降りないとだろ。」
俺は手を出して未依沙を捕まらせた。
ガシっと俺を腕を掴んでくれて、
とりあえず一安心。
自分の服の上から掴まれた手に意識がいく。
あれ?未依沙ってあんなに力強かったっけ?
まあ、転ばなくてよかった。
「あ…ほんとだね。ほんの数段だからって油断してた。」
こんなだから、世の中の男子は
ほっとかないんだよな…
これが無自覚か…
ちょっと呆れた顔で未依沙を見ると、
未依沙も俺のことを見ていた。
目が何かを訴えている…?
「どした?」
「かげちゃん、いつも優しいなって思って」
なんだか少し元気がないみたいで
なんでだろ?と不思議だった。
「優しいというか、未依沙が危なっかしいから」
「うん…よく言われる。わたしは一生懸命なだけなんだけど…」
「まあ、それが未依沙なんだから。それでいいじゃん。みんなが助けてくれるだろ?」
「そうだね?」
未依沙の挑発的な?意味深な?視線の意図が
俺にはわからなかった。
未依沙と別れて、自分の用事のために
歩き出すけれど…
心の中は少しぐるぐるしてて、
でも、同時になんだか温かかった。
次は*未依沙視点*を夜の9時に投稿します。




