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一番近くて、一番遠いーネット越しの恋を、君とー  作者: りなる あい
第四章:触れた体温、重なる鼓動

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4-6. 幼馴染という名の、優しい境界線

(*未依沙視点)


今日はかげちゃんとお出かけの日。


これは、正真正銘の‘デート’だよね?

かげちゃんの気分転換なのに、

私が一人で舞い上がっちゃって、

しっかりしなきゃと自分を律する。


今日は、かげちゃんに楽しんでもらうことが目的。

よし!出発だ!


10時に駅で待ち合わせすることになっている。

でも、このシチュエーションは、

まるで彼氏彼女の待ち合わせみたいだよね…

一人で妄想が膨らみそうになっていく。


駅に着くと、すでにかげちゃんの姿があった。

いつもは制服か練習着、ユニフォーム姿だから、

私服が新鮮に感じる。

ジーパンにTシャツなんだけど、

シンプルに着こなしているのがカッコいいな。

横顔を見つめながら歩みを進めた。


「おはよう、かげちゃん。待っててくれてありがと」


「未依沙、おはよう。未依沙も時間前に到着だな」


「かげちゃん、待ってそうだなと思って」


考えていることが一緒だったことが嬉しくて、

自然と笑みが溢れた。


今日の行き先は秘密にしている。


「さあ、電車に乗ろうか」


「おう、電車で行くのか」


エスカレーターで上がる時、

かげちゃんはわたしを先に行かせた。


エスカレーターに寄りかかって後ろを振り向くと、

かげちゃんの背より高くなっていた。

いつもと違う視線の高さに不意に心臓が高鳴る。


顔が近い!


わたしは思わず、プイっと

視線を進行方向に向けた。


わたしが急に姿勢を変えたから、

かげちゃんがわたしを支えようと腕を伸ばした。

かげちゃんが触れることはなかったけれど、

まるで熱を感じたみたいで体が熱くなった。


二人で電車に乗り込む。

わたしたちはいつもは自転車通学だから、

電車に乗るのが新鮮だ。


優先席の2つが空いていたから、

そこに二人で腰掛けた。

あれ?電車の席ってこんなに狭かったっけ?

距離が近くてドキドキしてしまう。


かげちゃんはドキドキしてるのかな?


チラッと横を見ると、かげちゃんは

リラックスして外を眺めていた。


今日は運良く快晴だった。

窓から差し込む光が眩しく、

目を細めているかげちゃんの横顔。

細められた目でも、

キラキラ輝いているように見えた。


その優しい瞳の見つめる先に、

わたしがいたらいいのに…

そう思うと胸がキュンとした。


わたしの想いを彼が知ったら、

どう思うんだろう…


幼馴染として近い存在でそばにいられる特別感と、

幼馴染より進むためのリスクを考えると、

その一歩が出ない。


幸せと苦しさがわたしの中にあって、

まだ自分の中で結論は出なさそうだ。


そんなことを頭の中で考えていたら、

不意に声をかけられた。


「未依沙?難しい顔してるけど、大丈夫?」


「ん?わたし、難しい顔してた?」


かげちゃんに言われてドキッとした。

かげちゃんの気分転換なのに、

わたしの心配をさせちゃダメだ。


「ちょっと考え事してた。えへへ。それにしても、楽しみだなぁ〜」


「うん、俺も楽しみ。未依沙、ありがとな。俺のために時間を作ってくれて」


「こちらこそだよ。気分転換の相手に、わたしを選んでくれてありがとう」


‘選んでくれた’という言葉をあえて使った。

かげちゃんは、わたしを選んだんだよ

という意味を込めて。


「未依沙だから頼んだんだ。」


その一言が、胸の奥で何度もこだました。


ねぇかげちゃん、それがどういう意味か、

わかってる?


サラッと何気なく言うところを見ると、

自覚なしなんだろうなこの人と思った。


裏表も損得もなく、ただ素直に

伝えてくれたその言葉が嬉しかった。


かげちゃんは、わたしを喜ばせる天才だ。


「光栄です」


笑顔で目を見て伝えた。

でも恥ずかしさで、つい目を逸らしてしまう。

わたしは幸せ者だと感じた。


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