4-4. 保健室で秘密の時間
(*未依沙視点)
保健室へ着くと、かげちゃんはさっとわたしを
ベンチの上に座らせてくれた。
「大丈夫?未依沙」
かげちゃんはしゃがんで、
わたしの顔を心配そうに見上げている。
「動かすとちょっと痛いかも」
あれだけ強く打ったから、
何も起きてなくても痛いと思う。
「困ったな。もし、今日帰るときに助けがいるんだったら、ちゃんと言ってね?じゃあ、俺は大掃除に戻るわ」
保健室の先生に一礼して、
そのまま行ってしまった。
ここまでの一連の流れが、
あまりにも躊躇いなく行われたから、
正直とても驚いた。
かげちゃん、無自覚だよね…?
自分がどんなにすごいことをやってのけたのか
きっとわかってないよね…?
嬉しい気持ち反面、他の人にも
きっと自然にするんだろうな…
と思うと、胸がチクッとした。
わたしだけが特別って思いたい。
きっと、優しいかげちゃんは
他の子が同じ状況だったら、助けていたと思う。
わたしの想像で勝手に落ち込んでいて、
馬鹿みたいだなって思う。
嬉しくてドキドキして、
まるでドラマのワンシーンのようなことが起きたのに、
同時にわたしはそのマイナスの思考が
ぐるぐるするのを止めることはできなかった。
✳︎
(✳︎景虎視点)
何も考えてなかったけど、上裸ってヤバいな…
体育館へ続く廊下を歩きながら足を早めた。
体育館へ行くと、瑠飛が
俺の石鹸まみれのTシャツを抱えて待っていた。
「かげ、お前さっきのお姫様抱っこ、あれマジで無意識?」
豆鉄砲を喰らったかのように、
一瞬固まってしまった。
そうだ、俺、お姫様抱っこした…
「無意識ってか、何も考えてなかったかも…」
「いやいや、それを世間一般では無意識っていうんだよ。」
呆れたような声を出す
瑠飛の意図がよくわからない。
「はぁ、未依沙も大変だな…」
横でそんな呟く声が聞こえたけど、
俺は着替えのことで頭がいっぱいだった。
瑠飛から服を受け取り、
滑らないように、でも足早に部室へ急いだ。




