4-2. テストと一緒に始まったこと
(*瑠飛視点)
高校へ進学して、
初めてのテスト期間が訪れた。
今日からテスト週間に入り、
1週間は部活なし。
スポーツ科は学びがゆっくりだから、
そんなに範囲は広くないだろうと
鷹をくくっていたのに──普通に広い。
スポーツ科にも容赦なしか。
今日は初めてのテスト期間だからと、
中学の頃のなごりで3人で勉強することになっている。
最初に言い出したのは未依沙だった。
「瑠飛、かげちゃん、テスト勉強、一緒にしない?中学の頃みたいに」
「いいよ。じゃあ、安定の瑠飛ん家で」
かげと未依沙が勝手に決めていた。
まあ、別にいいけれど。
3人とも家が近いから学校から一緒に帰る約束をした。
未依沙は玄関で友達とおしゃべりして待っていた。
俺たちの姿を見つけると、
友達に別れを告げてくるっとこちらを向いた。
未依沙…テスト期間なのに、
なんでこんなに嬉しそうなんだ…?
俺の心模様と正反対の光景に、
ハテナがいっぱいだった。
「やべ!問題集忘れた!ちょっと待ってて」
下駄箱のところに来た瞬間、
大事な忘れ物に気づいた。
家に帰る前で良かった。
学校に取りに帰ってくるとか、
めんどくさすぎる。
階段で4階まで上がり、
問題集を手に取り、また戻る。
「マルセル、一緒に勉強しよ」
途中であったクラスメイトの女子に
声をかけられたが、
「かげと勉強するんだ、ごめんね」
と言って、待っている2人の元へ急いだ。
下駄箱の近くへ来ると、
かげと未依沙の笑い声が聞こえる。
なんだ、未依沙、かげといい感じじゃん。
自然と顔が緩んでニヤつく。
何となく2人の邪魔をしたくなくて、
見えないところにしばし立っていた。
まるで盗み聞きしてる自分を
客観的に見るとヤバいやつだと思い、
「お待たせ〜!」
と声をかけながら下駄箱へ行くと、
2人してギョッと俺を見た。
は?なに?
2人してなんかしてたの?
何この空気…
「あれ?もしかして俺、お邪魔だった…?」
「邪魔もなにも、お前を待ってたんだろ。さ、行くぞ」
かげは自転車置き場へ先に歩き出してしまった。
残された未依沙は、
なんで顔が少し赤くなってんの?
俺に意味深な目線を向けて、
すぐに視線を逸らした。
なんだよ、その意味深な目線は!
気になるだろ!!!
かげはこういうことを
教えてくれないタチだから、
未依沙に聞くしかないな。
✳︎
俺の家のリビングでテスト勉強が始まった。
頭のいい未依沙に、わからないところを
教えてもらう。
1時間くらい勉強をした後、
かげがお手洗いに行った。
今しかないと思って、さっきのことを聞いてみた。
「さっき、かげとなんかあったの?下駄箱のところで」
「あ、えっと、それね…」
「ちょい、待て待て、なんだよこの間は!意味深すぎだろ!なんだよ、何があったんだよ〜!」
「かげちゃんが、瑠飛の秘密を教えてくれたんだけど、そのとき耳元でコソッと教えてくれてね…。距離が近くて、パッと目が合って恥ずかしかったの。」
俺の秘密?
俺に秘密なんでないぞ?
そんなことより…
未依沙には、秘密なんかより
もっと大切なことがあったみたいだな。
「何だよ〜!アオハルかよ〜!くそー!」
「あははは、瑠飛、大袈裟だよ」
そう言って誤魔化す未依沙は、
とても初々しかった。
──ああ、これはもう始まってるな。




