4-1. 守るための距離
(✳︎瑠飛視点)
かげと俺はバレー強豪校へと、
スポーツ推薦で早々に進学を決めていた。
未依沙は中学の中でもいい成績を収めていたから、
きっと高校選びの選択肢は多かったはずだ。
受験間際、どうしてもここ
水流高校に行きたいと言っていた。
しかも、普通科ではなく特進科で。
未依沙がここ、水流高校に
こだわっていた理由を本人から聞いたわけではない。
でも、未依沙がかげに惚れてるのは一目瞭然。
きっと、かげと同じ高校に進みたかったんだと思う。
彼女の人生を左右するくらい、
かげは大きな存在だということだ。
未依沙はあんなに可愛くて優しくて頭も良くて、
しかも一途って最強すぎるだろ…
俺は未依沙の想い人に、
中学の頃から薄々気づいていた。
――たとえば、中学一年の頃。
「上野、また告白されてたらしいぞ」
昼休みの教室で、
そんな声が飛び交っていた。
未依沙は笑ってかわして、
誰とも付き合わなかった。
バスケ部の未依沙は、
横で練習しているバレー部の中で、
かげだけを目で追っていた。
ああ、この人だって中学生の俺は
幼いながらに思った。
未依沙が見てるのは。
――そんなことを思い出すくらいには、
俺はずっと、気づいてた。
かげにトキメク未依沙を見ると、
たまに胸がチクってすんだよな。
だけど、俺が未依沙を
かげから奪おうなんて思えない。
何度も何度も、考えるけれど、
やっぱり俺は2人を応援したいって思うんだよな。
俺が踏み込まないことで、
守られるものもある。
健気に頑張る未依沙も、
不器用で優しい男のかげも、
どっちもいい奴すぎて尊いんだよな。
今、チクッとする痛みも、
二人の幸せを見たらきっと和らぐ。
俺は2人のそばで、
成り行きを見守っていたい。
新しい制服に袖を通し、
春の光の差し込むガレリアに俺は足を踏み入れた。
これから始まる高校生活に胸が高鳴った。
俺たちは3人で、またここから始まるんだ。




