3-21. JOC選抜に選ばれて
(*未依沙視点)
学校が終わり、玄関へ向かう。
9月の終わりになり、暑さが和らぎ
秋の風が吹き始めていた。
そして、今日は雨…
いつもより肌寒く感じる。
傘をもって出口へ向かうと、
瑠飛とかげちゃんの姿があった。
「やほ!」
「おお!未依沙!おつかれ!」
なんで二人で玄関に立ってるんだろう…?
「二人とも、お楽しみ様!二人はここで何してるの?何か待ってるの?」
「瑠飛の母さんを待ってるんだ。これから県選抜の練習があって。」
「県選抜選ばれたの?すごい!」
わたしはパチパチたたいて拍手をした。
夏休みの大会の後にそのまま
部活を引退したと思っていたのに…
瑠飛とかげちゃんはまだバレーを続けてるんだ…!
スポーツ推薦だから、むしろバレーが続けられて
二人にとってもいいことだよね。
その一方で、わたしは受験に一直線。
「二人一緒に選ばれたのが、めっちゃ嬉しかったよな」
かげちゃんは笑顔で瑠飛を見上げる。
そう…瑠飛は中三だけど、
もう身長が180㎝くらいある。
かげちゃんもきっと170㎝くらいあるはず、
知らないけど…
「ほんと、二人ともおめでとう!雨じゃない時は二人で自転車で練習に行ってるの?」
「いや、いつも車で行ってる。JOC(県選抜)のメンバーが南側に集まっててさ…俺たちも、そっちの方でいつも練習してるんだ。いつも送り迎えしてくれる瑠飛の母さんには、ほんと感謝だよ」
「瑠飛のお母さん、バレーに熱心で、協力的で有難いね。練習は毎日あるの?」
「週2,3回くらいと、土日は練習試合をしてるよ」
「そっか、大会まで頑張ってね。応援、行けそうだったら行くね。」
「未依沙は受験で忙しい時期だから、無理すんなよ」
うん、そう…
瑠飛の言う通り。
きっと選抜の大会があるときは、
受験真っ盛りだ。
受験する人は絶対勉強できないじゃん…
でも、県選抜に選ばれるほどだったら、
そもそも高校受験なんてしないのかな…?
「あ、車来た。じゃ、俺たち行くわ!またな!」
迷いなく駆け出していく瑠飛。
「じゃあな、未依沙!」
そのまま後を追うのかと思ったら、
かげちゃんはもう一度私に振り向いた。
「未依沙のことだから、もう十分頑張ってるよな。ま、頑張りすぎんなよ!」
急いでいたから早口だったけど、
かげちゃんのその一言の気遣いに
胸が一気に温かくなる。
二人は雨の中、傘を差さずに車まで走っていった。
アスリートの二人は、この時も全力だった。
あまりにも本気で走って、
素早く車に乗り込むから、
つい笑ってしまった。
二人が車に乗り込んだ後、
瑠飛のお母さんがわたしに手を振ってくれた。
わたしは笑顔で手を振り返した。
まるで、寂しさを紛らわすかのように…
車の停車の赤い光が
雨の中に溶けて見えなくなるまで、
わたしはその場に立っていた。
あまりにも違う世界を生きている二人が
とにかくまぶしい。
秋のどんよりした雨空との違いがありすぎて、
つい少し足が止まってしまう。
あ…そうだった。
わたしにとって二人は刺激をくれる存在だった。
わたしがバスケ部に入ったのは、
二人が一生懸命部活に向き合ってる姿を見ると、
わたしもそうしよう!って思えるからだったよね。
懐かしいな…
この大切な気持ちを忘れちゃいけない。
比較して落ち込むために、
二人の傍にいるんじゃない。
これからも二人から刺激をもらうためにも、
わたしも精一杯やるだけだ。
雨の中帰るのは、いつもより気合がいる。
私は深呼吸をすると、傘を広げ、
雨の中に一歩を踏み出した。
次から第四章です!




