3-20. 心に火を灯す天才
(*未依沙視点)
夕食会が終わりお礼を告げると、
わたしとかげちゃんは2人外へ出た。
「瑠飛もかげちゃんも水流かぁ〜」
ボソッと呟く。
頬に触れる風から少しだけ秋を感じる。
空には星空が広がっていた。
「未依沙だったら、水流、余裕で受かるんじゃない?」
その優しい声に反応して、
かげちゃんの顔を見る。
かげちゃん、それはどういう意味で言っているの…
真意がわからない。
わたしにも水流に来てほしいってこと…?
何か言わないと。
顔を見つめてたら変に思われちゃう。
「水流か〜。いい高校だよね。新しくて、ガレリアがあって、なんか素敵な高校生活が送れそうだよね。」
本音だった。
正直、水流高校はわたしの
憧れの高校の一つだったから。
「俺たち、小学、中学は同じだったけど、高校からは自分の好きなところ選べるじゃん。幼馴染でいつも一緒にいたけど、もし未依沙が違う高校に行ったら、一緒にいることが当たり前じゃないんだなって思ってさ。」
進路の話になると、なぜかしんみりする。
かげちゃんは、幼馴染のわたしと、
少しでも一緒にいたいって思ってくれてるのかな…
たくさんの想いがわたしの胸の中に溢れる。
「わたしも水流行けたらいいな…」
ポロっと本音が出て、咄嗟に口を覆う。
今の聞こえた?とかげちゃんの方を向くと、
優しい目がわたしを捉えていた。
「未依沙も一緒だったら、絶対楽しいな。もちろん、俺は未依沙の選択を尊重するけど。未依沙なら、行きたいところ行けるよ!」
かげちゃんの言葉がわたしの心の奥に響いた。
あぁ、苦しい…
あまりにも嬉しくて…
かげちゃんの想いが伝わって、
ふいに涙が溢れそうになった。
『未依沙も一緒だったら、絶対楽しいな。』
どうしよう、嬉しくて泣きそう…
かげちゃんは、わたしを本気にする天才だ。
「うん、頑張るね」
震えそうになる声に力を入れた。
大丈夫、バレてないよね?
わたし、頑張るね、かげちゃん。
2人で夏の夜空を見上げながら、
一番星に夢を誓ったのだった。




