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一番近くて、一番遠いーネット越しの恋を、君とー  作者: りなる あい
第三章: 「幼馴染」の境界線

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3-18. 君たちに話がある

(*景虎視点)


部活の後、吉本監督が

手招きをして俺を呼び寄せた。


「後田、マルセルと一緒にあとで来てくれるか?」


俺が瑠飛にそのことを伝えると、

顔に?が浮かんでいた。


俺も、何のことかわからない。

高校から声がかかることと何か、

関係があるのか?

でも、二人一緒っていうのが、

なぞなんだよな…



「失礼します。」


俺と瑠飛は言われたように監督を訪ねた。

いつもよりにこやかな気がするが、

この監督はあまり顔に出ないから、

何を言われるのかドキドキしていた。


「実は、水流高校から声がかかっている。」


水流高校という名前を聞いた瞬間、

はっと息をのんだ。


水流って…4強の一つじゃん…


吉本監督は俺と瑠飛の目を交互に見ると、

こう続けた。


「今日、なんで二人を呼んだかというと、まあ、気づいてるかもしれないが、水流高校の篠田監督から、お前たちコンビで引き抜きたいと連絡があった。」


「マジですか…」


驚きながらも嬉しさの混じった瑠飛の声が

横から聞こえた。


篠田監督といえば、

バレー界でかなり影響力のある人だ。

俺は、正直、信じられなかった。


「コンビでですか…?」


俺の心の声がポロっと出てしまい、

自分でも驚く。


「そうだ。コンビで声がかかることは、相当珍しいぞ。さ、お前たちはどうしたい?実は、ほかにも声がかかっている高校があるんだが…高校の実力、監督の指導力、そしてどうしても二人が欲しい!という熱量で見ても、悪い話ではないと思う。」


いつもよりゆっくりと

俺たちの目を見ながら監督が話す。


でも、まるでその言葉が自分の中に

入ってこないかのように感じた。

あまりにも驚きすぎて、監督の言っていることが、

わかるようでわからない感覚だった。


俺たちが黙っているから、理解したと思い、

吉本監督はそのまま話を続けた。


「もし、水流高校の篠田監督の話を聞いてみたいというなら、直接話す機会を設けよう。どうする?」

「ぜひ、お願いします。」


瑠飛がすかさず返事をした。

俺もとりあえず続けて声を出した。


「僕も、ぜひお願いします。」


「わかった。じゃあ、日程がわかったら連絡するよ」





俺たちは並んで家までの道を歩く。

最初に口を開いたのは瑠飛だった。


「マジでびっくりだったな。」


そう言って俺に顔を向ける瑠飛は

優しい笑顔をたたえていた。

瑠飛がまぶしい。

まるで幸せオーラが見えるみたいだった。


「ほんとそれな。マジでびびった。コンビで引き抜かれることってあるんだな…」


自分で発した言葉が現実味を帯びていく。


そっか、俺と瑠飛で使いたいから来てほしいと

言ってくれた高校があるのか…


とても有難かった。


瑠飛とはコンビを組んで一番長い。


でも、もし二人に水流高校から声がかからず、

別々のところから声がかかっていた

可能性だってあったんだ…


瑠飛はこのこと、どう思ってるんだろう…

聞きたいけど、少し怖い気もする…


「かげ、俺がどう思ってるか気になるけど、聞きにくいな~って思ってる?」

まさに、俺の心の声じゃん!

とっさに瑠飛の顔を見た。


「やっぱりな。」


そういって、はははと笑っている瑠飛の声が

静かに響く。

俺の反応から図星だとバレたらしい。


「瑠飛はどう思ってるんだろって、ちょうど気になってた。なんでわかったんだよ」


瑠飛は急に口をつぐみ、

真剣な顔で俺に向いた。

俺はなぜか緊張して唾を飲み込んだ。


「俺は、嬉しい。」


ニコっと笑顔を向けながら発せられた言葉は、

あまりにもあたたかくて優しくて、

耳に心地よかった。

と同時に、その言葉が聞けてとても安心した。


あぁ、瑠飛も同じ気持ちだったのか。

そして、瑠飛が嬉しいと言ったあと、

すっと本気の目になるを俺は見逃さなかった。

『やってやるぞ』という覚悟が宿った瞳だった。


「俺も嬉しい。高校でも、瑠飛と一緒にバレーができたら、それ以上に最高のことはないよ」


「なに言ってんだ。最高のことは春高で優勝だろうが」


バシっと叩かれたけれど、

手からあたたかい気持ちを感じた。

叩かれた肩がじんわりと熱い。

その熱が、不安を全部

溶かしていくみたいだった。


スポーツ推薦の話は聞くけれど、

実際どういうものなのかは、

聞いてみないとわからない。


水流高校の篠田監督と話すことを想像すると、

緊張と期待が入り混じる。


帰り道を歩きながら、ふと思う…

俺は身長がやっと170㎝に届いたのに、

瑠飛は185㎝を超えている。

瑠飛ばかり成長しているようだけど、

俺も負けないようについていきたい。


「水流高校か…」


もう一度、高校の名前を呼ぶ。

憧れの場所が、俺の居場所になるのか…


篠田監督は、俺たちのどこを見てくれたんだろう。

俺と瑠飛が二人で並んでいる姿に、

どんな可能性を感じたんだろう…


そんなことを考えると、

少しだけ背筋が伸びた。


そして、俺の相方は身長もバレーも

成長が止まらないヤツだけど、

こいつとなら大丈夫な気がする。


高校でも、このまぶしい存在と

対等に肩を並べる日が待ち遠しいと思った。



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