3-13. 運動会は恋の予感?!
(*未依沙視点)
夏休みが終わったのも束の間、
わたしたちは運動会に向けて忙しなくしている。
応援団になることも考えたけれど、
他にやりたい人がいたので譲った。
ここのところ、自分のことで
いっぱいいっぱいだから。
もうすぐ新人戦も始まるし、
勉強にも力を入れたいし。
放課後に運動会の応援練習で
団ごとに集まって練習もある。
3学年合わせて、全部で6クラスある青団。
さすが、マンモス校なだけあって、応援も大迫力。
2年生の青団は私たち5組と7組。
7組って誰がいたっけ…?
さーっと7組を見渡すと、パチっと目が合った。
そうだ!
男子バスケ部の坂口がいるじゃん!
坂口はバスケ部の中でも上手で目立つ存在。
運動神経も良さそうだし、
運動会は活躍しそうだななんて思った。
運動会練習が2週間続き…
いよいよ当日がやってきた。
✳︎
運動会の午前の部で、
注目を浴びる競技の一つ、
2年男子の借り物競走が始まった。
毎回笑いが起こる、楽しい競技だから、
応援はそこそこにみんなが競技を見守っている。
同じ団の人の助けになるべく、
2年女子はいつでも反応できるように
最前列で待ち構えている。
あ、男バスの坂口の番だ…
一番手に走っていき紙を取った姿が見えた。
すると、一直線にこちらに走ってくる。
「上野!来てくれ!」
わたしは急いで坂口に駆け寄った。
2人でゴールに向かって走り出す瞬間、
ぐっと手を繋がれた。
必死に走ったが、私たちは2位だった。
坂口は足が速いから、
わたしが足を引っ張っちゃったよね…
借り物競走で人を借りるとは!
一番重くて走りにくいやつじゃん…
「上野、すぐにきてくれてありがとう!おかげで2位になれたな!」
すっと手を出す坂口に、
「やったね!」
とハイタッチで応えた。
「ところで、紙にはなんて書いてあったの?」
「同じ部活の人って書いてあった。青団なら上野だ!と思って」
「へぇ〜そんなお題だったんだ。」
「好きな人ってお題もあるらしいぞ。毎年、ドラマが生まれるらしい」
ニヤっと笑う坂口につられて、
わたしもくすっと笑ってしまう。
青春だな〜。
そんなことを思いながら、
わたしはすぐに自分の席へ戻った。
借り物競走はまだ終わってない。
かげちゃん、瑠飛はまだかな?
席に戻ると、クラスの女子の何人かが
ヒューヒューとわたしを見てきた。
「上野さん、坂口と手を繋いでたー!きゃー!」
「バスケ部の美男美女ペアで走ってたじゃん」
「お題、なんだったの?」
クラスの女子が一気に騒がしくなり始める。
「お題は『同じ部活の人』だって。」
と、私が答えると
「なーんだ、てっきり『好きな人』がお題だと思ったのに」
男子がいないタイミングでもあって、
女子トークが炸裂していた。
もし、かげちゃんに名前を呼ばれたら。
こんなふうに冷やかされるのかな。
嬉しいような、恥ずかしいような。
——呼ばれたい。
でも、呼ばれたくない。
心の中が、やけに落ち着かなかった。
あ、かげちゃんの番だ…
盛り上がっている女子たちを横目に、
わたしは『かげちゃん頑張って!』と
心の中で応援した。
紙を取ったかげちゃんは
青団の方にすぐに駆けてくる。
「未依沙!」
名前を呼ばれた瞬間、目が合った。
ドキっと胸が高鳴った。
慌ててかげちゃんの元へ行った。
かげちゃんの腕が伸びて、ぐっと手を繋がれた瞬間、
走る前に、胸の奥が一拍遅れた。
「1位、狙うぞ」
かげちゃんの声にわたしも走ることに集中する。
2人でぐんぐんスピードを上げて、
1位でゴールを切った。




