3-10. 変化に気づいてくれた
(*未依沙視点)
もうすぐ夏休み。
朝から真夏の日差しが照りつける。
登校するだけで汗だくになる季節になっていた。
「おはよ〜」
「おはよ〜未依沙。あれ、髪切った?」
挨拶をしたあと、すぐに
気づいてくれたかげちゃん。
中学に入ってから初めて前髪を作ったから、
似合ってるかどうか、実は心配だった。
しかも、今は汗をかいてるから、
前髪、変なことになってないといいな…。
わたしは手で前髪を急いで整えた。
かげちゃんは指でハサミを作って
前髪を切る仕草をしながら笑顔を向けてきた。
「似合う?」
前髪を押さえながらかげちゃんの目を見て聞いた。
「うん、いいんじゃない?」
かげちゃんが少し照れくさそうに答えた。
その笑顔に前髪ありは変ではないんだなって、
ちょっとホッとした。
瑠飛も後からやってきて
「おぉ!未依沙、髪切ったな。前髪ありも似合うじゃん」
瑠飛はいつも褒める言葉を伝えてくれる。
恥ずかしげなく伝えてくれるところがすごいと思う。
でも、わたしはかげちゃんが気づいてくれたことが
とてつもなく嬉しい。
好きな人がすぐに気づいてくれるって
こんなに嬉しいんだな…
昨日の夜、鏡の前で格闘した30分は
無駄じゃなかった。
好きな人に認めてもらえたみたいで、
また一つ自分のことが好きになれた気がした。




