表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一番近くて、一番遠いーネット越しの恋を、君とー  作者: りなる あい
最終章:繋ぐ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
134/144

11-6.  一輪の花と、冷たい文字

(*未依沙視点)


あの水族館の時のことを思い出すと、

今でも涙が出そうになる。

あの時は、わたしの心に温かい光が触れて

なにかが外れたかのように涙が止まらなかった。


自分でも、あのとき

何が起きたのかは上手く説明できない。

でも、わたしの心の中で

『確かな変化が始まった』

ということだけは、直感で分かっていた。


『そのままで十分、隣に立っていい女だよ』


という言葉を、わたしはずっと

聞きたかったのかもしれない。


それからというもの、わたしは意識して

力を抜くようにしていた。


そういえば、わたしって、

何が好きなんだっけ…?


1人の時間を作って、自分と向き合う中で

最初に戸惑ったのはこれだった。


今まで頑張っていたこと以外に、

何かしようとしても、何をしたらいいのか

足が止まってしまう…


子どもの頃は、好きなことがあった。

でも、今、それが好きかと言われたら、

そうでもなくて…


仕事が好きではあるけれど、

仕事以外で好きなこと、

夢中になれることを

見つけたいという気持ちがあった。


試しに、1人の時間に

”今まで手を出さずにいたこと”に

挑戦してみた。


早く結果を出さないと!

もっと経験を積まないと!

そんなことばかり考えていたのに

それを考えずにただ自分の心がトキメクものに

出会っていくプロセスは

確実にわたしの癒しになっていた。


その中で一つ、お花屋さんへいくことが

好きだと気づいた。

そういえば高校生の頃、

一輪の花を部屋に飾ることに

憧れていたことを思い出した。


すると、とても面白いことが起きた。

わたしの大学の友達が、

茶道のイベントへいくというのだ。

茶道なんて一度も経験したことがないけれど、

もしかしたら、お花を生ける

美しい一瞬に触れられるかもしれない。

そう思った瞬間、胸がすっと弾んで、

気がつけばそのイベントへの参加を決めていた。


……


早めに就活がしたいと思い動いていたら、

働きたいと思う会社があり面接に進んでいた。


選考は驚くほどトントン拍子に進み、

面接で出会った部長さんは、

思わず憧れてしまうほど素敵な女性だった。

いつもならガチガチに

自分を取り繕うはずなのに、

不思議と自然体で笑って話せて、

胸の奥で確かな手応えを感じていた。


かげちゃんと別れたあと、色々考えて、

これまでの当たり前を疑って、

意識して肩の力を抜くようにしてから、

これまでと違う流れに乗っている感覚があった。


きっと、これまでのわたしだったら、

アピールしないと!と

ガチガチになっていたと思う。


自分の心が変わるだけで、

目の前の景色や出会う人の雰囲気まで

ガラリと変わる。

まるで世界が私の

味方をしてくれているみたいで、

人生ってなんて不思議で面白いんだろう、

と感じるほどだった。



……



『選考結果のご案内』

件名を見た瞬間、

いよいよだ!と胸が高鳴った。


やり切ったから、

どんな結果でも受け入れる。


ポンっと画面をタップしてメールを開いた。

液晶画面の白い光の中に浮かび上がったのは、

『不採用』という冷酷な三文字だった。


その瞬間、世界からすっと音が消え、

頭の中が真っ白になる。

スマホを持つ指先が凍りついたように

動かなくなった。


正直、受かると思ってた。

部長さんもあんなに好意的だったのに…


やっぱり、わたしの人生って

うまくいかないのかな…


いつもと変わらない空なのに、

わたしの目には暗い曇り空に見えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ