10-10. エースの夕食報告
(*瑠飛視点)
風が凍てつくようになってきた。
冬の本格化までもうすぐだ。
俺たちはどれだけ季節が廻ろうと
バレー漬けの生活は変わらない。
うちのバレー部は関東1部リーグの強豪だから、
食生活の管理もクソ厳しい。
専属トレーナーの指導で、毎日『何を食べたか』を
写メで報告させられるルールになってるんだけど
「おい!かげ!昨日、未依沙ちゃんの家で飯食っただろ!リア充自慢かよー!くそー!」
バレー部の仲間たちが定番の茶化しを
繰り広げている。
「俺、それも思った。かげは真面目だからルールに則って 夕食の写メ送ったんだろ?」
「…」
黙ってるってことは、
照れてる証拠。
「…なに?何で黙ってんの?」
俺も茶化しに便乗した。
「いや、俺は写メあげなくていいよって言ったんだけど…」
かげの夕食の写メを部員たちが覗き込んで、
わーわー言っているのを横目に
耳まで真っ赤にしながら、
小さい声で呟くかげが面白くて仕方ない。
「あ〜、そうゆうことか。未依沙が自慢したいのか!」
俺はバシバシかげの背中を叩く。
ずっと二人がくっつくのを
応援してた身としては、
うまく行ってるみたいで嬉しいな。
く〜、顔がニヤけるぜ!
未依沙とかげののろけなら、
どんだけでも聞かせてくれよ。
バレー部員たちも、この二人の恋を
温かく見守り応援していた。
あいつら、口では『羨ましい、くそー!』
なんて言ってるけど、
顔はみんなニヤついてやがる。
本当にいい奴らだ。
くっつくまでが本当に長かった。
まるで子どもの成長を見守る
親のような気分だ。
やっと結ばれた二人だから、
長く…いや、ずっといい関係が
続いてほしいって思ってしまう。
色々あったけど、あの二人ならもう、
何があっても大丈夫だろ。
――吐き出す息が少しずつ
白くなり始めた冬の空の下、
俺の胸の奥は、あいつらの熱に
あてられたみたいにずっと温かった。




