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一番近くて、一番遠いーネット越しの恋を、君とー  作者: りなる あい
第十章:近づくほどに、愛しくて

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10-8. 初めての…(未依沙)

今日は21時に投稿します。

未依沙視点&景虎視点をお楽しみください!

(*未依沙視点)


今日は初めてかげちゃんのお家へ行く日。

以前、私の家でご飯を食べた時

『次は俺の家に来てね』と言っていた。

ついに、その夢が今日叶う!


男の子の家に行くのは、初めてじゃない。

大学の集まりで、誰かの家に行くことは

何度かあったから。


でも、彼氏の家に行くという特別な瞬間は

今だけ。


インターホンを押すと、

笑顔のかげちゃんが扉を開けた。

ちょっと安心する。


「どうぞ」


「ありがとう。お邪魔します」


やっぱり緊張してしまう。

自分の家にかげちゃんが来た時よりも。


「未依沙、緊張してる?」


ニヤっとした表情を浮かべながら、

チラッと後ろを向いて私を確認してくる。

なんでこんなに余裕なの…?


「してる…」


私との違いに、少し膨れっ面を見せると


「気楽に、ね?」


と、私の手を取って中へ招き入れた。


「部活から帰ってきてシャワーしたとこなんだ。ちょっと散らかってるけど」


ザ・男の子な部屋が広がっていた。

青を基調とした部屋には

バレーボール関連、大学の授業の教材などが

無造作に置かれていた。

でも、意外と散らかってないと思った。


「全然散らかってないじゃん!綺麗だよ」


「そう言ってもらえて、少し安心した。ここ座って」


私はソファに腰を下ろした。

この部屋にはあるものがないことに驚いた。


「そういえば、テレビないんだね?」


「うん。使わないなと思って。実際、不便も感じないしね」


とても小さなことだけど、

少しずつかげちゃんを知れるのが嬉しい。

たとえ幼馴染でも、知らないことは

いっぱいあるんだと思い知る。


部活が終わってからの集合だったから、

私は夜ご飯を作って持ってきていた。


「夜ご飯の予定、聞いてなかったんだけど、一応作ってきたんだ。」


「本当に?ありがとう!何か頼もうかと思ってたけど、未依沙の手作りの方が好き」


サラッと嬉しいことを言う私の彼氏は、

本当に完璧だ。


……


温めた夕食を一緒に囲み、

食後また2人でソファに戻ってきた。


「お腹いっぱいだね〜」


「今日のご飯も美味しかった。ありがとう」


私の手を握り、伝えてくれるかげちゃん。

ちゃんと言葉で伝えてくれるのが嬉しいと思った。

私の心に熱が溜まっていく。

彼への愛しさがどんどん

大きくなっていくのを感じていた。


あれ?

手を握ったままだ…


ふと見上げると、

熱を宿した瞳が私をとらえていた。

いつも私を優しく見守ってくれる

幼馴染の眼じゃない。

これは…”男の子”の眼だ。

そう直感した瞬間、

体の奥から歓びが湧き上がってきた。



自分だけが引き出した彼のそんな表情に、

独占欲に似た優越感がひしひしと私を支配していく。



「未依沙…」


だんだん近づいてくるかげちゃんの顔。

これは、キスするって流れだよね…?

緊張で私の心臓が暴れている…

ダメだ…恥ずかしすぎる…!


「ちょっと待って…緊張しすぎて…死にそうなの…」


繋いでいた片方の手を解いて、

思わず顔を覆ってしまった。


「かげちゃんは緊張しないの?」


手から目を覗かせて

チラッとかげちゃんを見ると、

さっきの真剣な顔とは違う、

優しいはにかむ笑顔を私に向けていた。


「俺も緊張してる…」


そっか、かげちゃんも緊張してるんだ。

私だけじゃないんだ、と思ったら、

なんだか愛おしさが込み上げてきた。


でも、それでも私の緊張は止まらない。

頭のどこかで、いつかはこういう日が来るって

わかってたつもりだった。

でも、いざその瞬間が目の前に来ると……


みんなどうやってしてるの?!?!


この場から逃げ出したい気持ちになった。

かげちゃんは私が必死に顔を隠していた手をとり、

もう一度手を繋いできた。

わたしの恥ずかしがっている顔があらわになる。


「緊張してるけど、未依沙とキスしたい気持ちの方が強い」


芯があって、力強い声なのに

どこか色っぽくて…

かげちゃんのこんなにギラギラした眼を見たのは

初めてだった。


「ちょっと待って…そんなこと言われたら、もっとドキドキしちゃうじゃん」


私の胸に収まりきらないくらい大きく跳ねる心臓は

全然静かになってくれなかった。


握られた手にグッと力が込められた後、

ソファのきしむ音だけが部屋に響いた。

――気づいた時には、目の前が

かげちゃんの影で覆われていて…

もう逃げられない。

目をつむって少し顔を上げたわたしの唇を

彼の唇が捕まえた。

一瞬だったけれど、その温かさと柔らかさに

くらっとした。

唇が離れ、潤んだ瞳と目が合った。


「もう一回」


かげちゃんはそう言うと目をつむった。

もう一度ちゅっと唇が触れた。

私は沸騰しそうな気持ちが抑えられず、

思わずかげちゃんに抱きついた。


「どうしよう…!恥ずかしい…!でも、すっごく嬉しい!」


どうやってこの想いを表現したらいいのか

わからなかった。

かげちゃんは優しく私を抱きしめ、

頭をなでなでしてくれた。

ずっとこの時間が続きますように…

私は目を閉じながら思いっきり

かげちゃんの匂いを吸い込んだ。

このままずっと、時が止まってしまえばいいのにと、

彼の胸の中で強く強く祈った。


21時の投稿は景虎視点です!

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