10-4. 胸の奥でふくらむ期待
(*景虎視点)
「かげ、昨日急いで帰ったけど何かあったん?夜ご飯の写メも載せてなかったじゃん。」
学校に着くと、
朝イチで声をかけてきたのは瑠飛だった。
「昨日は夜ご飯をご馳走になっててさ」
「それって未依沙ん家で?」
「うん…」
瑠飛って、ほんとこう言うことに
すぐに気づくんだよな。
何でこんなに勘が鋭いんだよ、コイツ。
「やっぱりな!かげ、めっちゃわかりやすかったぞ。多分、部のみんな気づいてる。」
「嘘だろ?なんで?」
「だって、部活終わった瞬間、片付けて帰るまでの集中力がハンパなかったぞ。お前、完全に顔に出てたからな〜 」
と笑いながら瑠飛に言われた。
「マジか、俺ってそんなに見え見えなのか」
「いいじゃん、わかりやすくて。部の公認カップルになっちまえよ」
「いや、それは恥ずかしいから無理」
「未依沙の幼馴染ならわかるだろ?未依沙がじっとしていられると思うか?」
「……確かに、未依沙が大人しく隠してるとは思えないな 」
「だろ?あいつは自慢したくて仕方ないと思うぞ?かげが自分の彼氏だってことを」
「俺を自慢?そうかな…?」
確かに、未依沙は昨日
俺のことをめちゃめちゃ褒めてくれてたな。
会った時からカッコいいって思ってたって。
何だかむず痒かった。
正直、カッコいいなんて俺の人生で
ほぼ言われたことがなかったから。
俺にとって『カッコいい』っていうのは、
瑠飛みたいに生まれつき顔が整っていて、
ユニフォーム姿だろうが何だろうが、
どんな時でも絵になる奴のことだと思ってたから。
「ま、覚悟決めろ、かげ。時間の問題だ。」
「そっか…」
俺が彼氏として成り立つのかな…
なんて少し不安になった。
「公認の方が、何かといいと思うぞ。未依沙はモテるから、かげが彼氏になって牽制しろよ」
「牽制?!」
「そうだって。未依沙、笑顔で男子を全員無力化するタイプだぞ。ちゃんと守ってやれよ」
「う、うん…」
瑠飛は冗談半分のようで、
本気で言ってるのがわかった。
俺は未依沙と付き合うことで
頭がいっぱいだったけど——
そうだよな、未依沙はモテるんだ。
あの笑顔に惹かれたのは、俺だけじゃない。
未依沙を自分のものにしたいなんて、
そんなおこがましいことは思っちゃいけない。
でも、彼女が俺を好きでいてくれる間は、
全力でその気持ちに応えたいと思う。
公認カップルになることへの不安と、
胸の奥で少しずつ膨らむ期待が、
今日の朝日みたいに、静かに俺の中で光っていた。




