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一番近くて、一番遠いーネット越しの恋を、君とー  作者: りなる あい
第九章:重なる鼓動、月明かりの誓い

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9-8. 我に返った二人 

(*景虎視点)


俺ははっと我に返った。

——そうだ、練習中だった。

未依沙の声も、距離も、さっきの空気も、

全部一瞬で現実に引き戻される。


それは未依沙も同じみたいだった。

二人で慌てて平然を装う。


互いに目が合い、くすくすと笑った。

俺たち、コートの隅で何してんだろうな。

きっと未依沙も同じ気持ちだと思う。


俺は急いで練習に合流した。


その後のメニューでは、不思議と集中ができた。

俺の気持ちを受け止めてもらえた。

それだけで、胸の奥が静かになった気がした。


俺が未依沙にああやって想いを伝えて

未依沙も嬉しいと言ってくれて…


(――待てよ。俺、ただ『好き』って言っただけじゃないか!?)


スパイカーへトスを上げようとジャンプした瞬間、

とんでもない事実に気づいて

心臓が変な跳ね方をした。


付き合ってくださいって言ってないぞ、俺!


一番大事な言葉を忘れてた…



……



部活中、頭の中が告白でいっぱいだった。


言わなきゃ!

でも、今からは無理だよな…


21時を過ぎてるし、汗もかいてるし、

今から会うのは正直言って現実的ではない。


でも、この状態をうやむやにしたままなのは、

よくない気がする…


家に帰ってシャワーを浴びて、

急いででたら、結局また汗をかくよな…


未依沙に来てもらうか…?


いやいや、夜道に女の子を

歩かせるわけにはいかない。


やっぱり俺が会いに行くか。


ダメ元で『今から少しだけ会える?』

とメッセージを送ると、未依沙はすぐに

『いいよ』と返してくれた。

こんな夜遅くに呼び出すなんて

男としてどうなんだと思うけど、

今日だけは、この溢れそうな想いを

特別に許してほしい。


部活の疲れなど何も感じずに、

早々と帰宅してシャワーを浴びた。


どんな言葉をいうかなんて、

正直考える余裕はなくて…

ただ今は、未依沙に会いたい。

俺から言わなきゃ。



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