9-6. 見てしまった俺は…
本日は2回投稿します。
21時のエピソードは大切&重要な回です!
(*景虎視点)
バレー部内の空気が一瞬で変わったのを、
きっと誰もが感じていた。
だって、あの未依沙が――
マルコと手を繋いで体育館を出ていったんだから。
なんなんだよ、一体。
マルコは外国人だからって、
みんなが見てるところであんなことするのか?
……あっちの国じゃ、それが普通なのかよ。
喉の奥が詰まるようでどうにも落ち着かない。
「おい、見たか?未依沙ちゃん、恋人繋ぎしてたよな?」
「うそ、マジかよ!」
「みんなのアイドル未依沙ちゃん、イタリア人に持ってかれたな〜」
コートの隅でボールを拾い上げながら、
そんな声が嫌でも耳に飛び込んでくる。
バウンドするボールの音が、
やけに遠く感じられた。
練習に集中したいのに、
頭の中は未依沙とマルコの後ろ姿でいっぱいだ。
焦りと不安、
そして――あいつらの後ろ姿に
一歩も動けなかった自分への苛立ちが、
一気に押し寄せる。
結局、信じきれてないのは
未依沙の気持ちじゃなくて、俺自身なんだ。
そのとき、背後から声がした。
「かげ〜暗い顔すんな〜」
振り返ると、瑠飛が笑っていた。
いつもの調子に、少しだけ救われる。
「……そんなに表に出てたか? 」
「うん、めっちゃあからさまに」
「……マジか」
「まあ、そんな心配すんなって。未依沙なら大丈夫だと思うぜ」
「え……?」
(未依沙のことなんて言ってないのに、やっぱりバレてるのかよ)
図星を突かれて、思わず目を逸らす。
「一人で勝手に落ち込む暇あったら、本人に聞いてみろよ」
バシッと背中を叩かれた。
「いってーな!」
瑠飛は笑いながらコートに戻っていく。
その背中を見て、俺も息を吸い込んだ。
――本人に聞いてみる。
それが怖い。
でも、逃げたくはない。
瑠飛の言葉が、
胸の奥に残った熱のように響いていた。
21時にお会いしましょう!




