表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第二章 谷底Ⅰ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/193

第八話 谷底では液体は消えるが、便は残る

洗濯場からさらに離れたところに、便所がある。


その裏には、大きな蓋付きの肥溜め。


「糞と小便はここへ集める」


「肥料にするのですね」


「分かるなら早い。しばらく寝かせてから畑へ戻す」


囲いの柱には淡い緑色の魔宝石が埋め込まれている。


「これは虫除け。蝿なんかを寄せにくくする。それと、聖者の話じゃ悪い菌が増えるのも抑えるらしい」


「菌?」


「俺もよく分からん。目に見えないくらい小さい生き物がいるんだと。腐らせたり、腹を壊させたり、病気にしたりする」


「そんなものがどこに?」


「どこにでも」


エヴァがシズクの手を指した。


「手にもいる」


シズクは自分の手を見る。


「今も?」


「たぶんな」


袖で拭こうとすると、エヴァが笑った。


「全部悪いわけじゃない。食べ物を作るのに必要なのもいるらしい」


「聖者は医者だったのですか」


「違う」


「学者?」


「それも違う」


「では、なぜそんなことまで」


「昔の世界じゃ割と普通に知られてた知識らしい」


シズクは黙った。


自分の国なら、神官や医師が秘伝として扱っていてもおかしくない知識だった。


「水場を上から飲み水、調理、洗濯の順にしたのも、便所を下流側へ離したのも聖者だ。俺は菌なんぞ見えんが、腹を壊すことは減った。なら役に立ってるんだろ」


エヴァは肥溜めの蓋を確認してから、ふと思い出したように言った。


「あと、シズク」


「はい」


「昨日覗いてたから分かると思うが」


「その前置きはやめてください」


「俺は結構、そこら中を汚す」


シズクは嫌な予感がした。


「何で?」


「よだれを垂らす。鼻水も垂らす。潮を吹く。失禁もする。むしろ聖者が喜ぶから、放尿してる。あとは聖者が、腹や尻の穴に出した精液が、いちばん量が多い。まあ、身体から出る液体一式だと思っとけ」


「思いたくありません」


エヴァは館の方を指した。


「この家の木、妙なんだよ。濡れてもすぐ乾くし、臭いもほとんど残らない」


「そうなのですか」


「ああ。水も、小便も、精液も、朝にはだいたい綺麗に消えてる。木が吸ってるのか、分解してるのか、聖者にも分からんらしい」


「そんな性質まで」


「だから小便なら、本当に便所まで間に合わん時は館の中でも何とかなる」


シズクは耳を疑った。


「……家の中で?」


「ああ」


「嫌です!」


「嫌なら便所へ来い」


「来ます!」


「なら問題ない」


エヴァは指を一本立てた。


「ただし便は駄目だ」


「するつもりありません!」


「これは本当に駄目だぞ」


「なぜ念を押すのですか」


「何回かやった」


シズクが止まった。


「……なぜ?」


「試しに便のある時に、かん腸プレイというのをしてだな、わざと便を漏らしてみた。あと、聖者がひたすら尻の穴に出し続けて、同じように便を漏らした。ほか、いろいろだ」


「いろいろで済ませないでください!」


「液体は綺麗に消えるのに、固形物だけは残る」


エヴァは腕を組んだ。


「本当に不思議な家だ。何を基準に消してるんだろうな」


「それを確かめるために、便を使わないでください!」


「身をもって分かったから、シズクには先に教えてる」


「学ばなくても分かります!」


「なら結論は一つだ」


「何でしょう」


「便は便所でしろ」


「最初からそれだけでよかったです!」


エヴァの笑い声が便所の裏まで響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ