↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第十章 谷底Ⅲ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/193

第六十七話 文明の高さより、伸びた方向がおかしい

翌日は、作業場で流れ着いた品を仕分けることになった。金属片、布、革、歯車、軸、壊れた器具、用途の分からない部品。その中には、リーゼにとって見慣れた構造のものもあった。


「これは軸だ。こっちが軸受けだな。かなり摩耗しているが、寸法を取り直して作れば使える」


リーゼが部品を並べると、クロエが横から覗き込んだ。


「精度が低い」


「貴様らの機械と比較するな」


「事実だ」


「事実だから腹が立つ!」


ティセラは別の歯車を手に取った。歯の形を見て、回転方向を確かめる。


「これは回転速度と力を変換するためのものですか?」


「そうだ。大きさを変えれば回転数も変わる」


「私の世界なら、その部分は魔術式で制御できますね」


「教授までそちらへ行くのか!」


アスラも歯車を眺めた。


「その程度なら術で直接回せばいい」


「貴様もだ!」


ノアは少し離れたところで作業しながら笑っていた。


「でも、文明全体の高さというより、何を重点的に伸ばしたかの違いなんだと思うよ」


ティセラが頷く。


「私の世界では、魔法を測定し、再現し、教育できる形へ整えました。医療や都市設備にも魔術が普通に組み込まれています」


「私の側は、情報、機械、神経接続だ」


クロエが続けた。


「私の側は、魔術を身体、移動、戦闘、通信、生活へ直接組み込んでいる」


アスラも言う。


ノアは最後に自分の前世を説明した。


「僕の前世は魔法なしで、科学や工学、医学、情報技術を広く伸ばした。だから、ティセラたちの世界や忍者世界とは、生活水準そのものならかなり近いと思う」


リーゼは腕を組んだ。


「小官のところは?」


ノアは少し考えた。


「方向としては僕の前世に近い。でも、年代としては少し前かな。蒸気、電気、電話、鉄道、飛行機があるところまで来ている」


「少し前、か」


リーゼは少し複雑そうだった。しかし、ティセラはむしろ別の点に興味を持ったらしい。


「ですが、大尉の世界は非常に比較しやすいですね」


「何がだ」


「文明全体が、極端に一方向へ偏っていません」


リーゼが眉を寄せる。


「戦争は続いているぞ」


「ええ。それはかなり大きな問題です。ただ、生活文化や社会制度まで極端というわけではない」


クロエも頷く。


「機械を見せれば、ある程度は理解する」


アスラも続ける。


「軍事の話も通じる」


ノアは笑った。


「僕の前世の技術も、かなり想像してもらいやすい」


シズクも加わる。


「私より、新しい道具にもずっとお詳しいです」


最後にエヴァが言った。


「俺の戦争話も通じるしな」


リーゼの表情が止まった。


「待て」


ティセラは穏やかな顔で続ける。


「つまり、皆の世界の説明を最も理解しやすい立場です」


「嫌な予感しかしない」


「異文化間の比較役として、とても優秀ですね」


「小官の負担を考えろ!」


クロエが不思議そうに首を傾げる。


「理解できるならいいだろう」


「理解するたびに疲れているんだ!」


アスラも頷いた。


「だが、毎回ちゃんと理解している」


「そこを褒めるな!」


エヴァが笑う。


「じゃあ、リーゼんところが一番普通ってことでいいんじゃねえか」


リーゼは一瞬だけ黙った。それから、少し胸を張る。


「……相対的に、だな」


「戦争中だが」


「相対的にだ!」


ティセラが頷いた。


「少なくとも、今ここにいる人々の中では、かなり基準にしやすいと思います」


リーゼの顔に、ほんの少しだけ安堵が浮かんだ。


その直後、ノアが言った。


「だから、これからも一番いろいろ説明することになりそうだね」


リーゼの顔から安堵が消えた。


「うがあああっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。