第六十三話 電脳忍術と魔術忍術は、似ているのに全部が逆だった
翌日、ティセラの希望で、クロエとアスラの能力を改めて調べることになった。
場所は館から少し離れた広場である。館の中で試せば何を壊されるか分からないという、リーゼの強い主張によるものだった。
最初はクロエ。
銀髪の一本をリーゼが用意した機械へ挿すと、計器の針が勝手に動いた。
「髪を接続線として使う」
クロエが説明する。
「機械なら内部の制御系統へ、人間や生物なら神経へ接続できる」
リーゼが腕を組む。
「勝手に人へ繋ぐな」
「まだ昨日のことを言っているのか」
「当たり前だ!」
ティセラは別の点へ興味を持った。
「衣装も同じ系統の技術ですか?」
「これは皮膚表面へ形成する専用膜だ」
クロエが操作すると、紫色の忍装束が形を変える。
町娘。侍女。旅人。少し上等な服。
形は確かに大きく変わった。
だが。
シズクが首を傾げる。
「やはり乳房は一房ずつ包まれています」
リーゼも見る。
何故か乳房は一房ずつ包まれ、乳輪と乳首とヘソと尻と股間の線も分かりやすい。
「何故、変装してもそこだけ残る!」
「何がだ?」
クロエの方が不思議そうだった。
「胸とヘソと尻と股だ!」
「昔からこうだぞ」
「理由を聞いている!」
「知らん」
次はアスラ。
こちらは紫髪そのものが身体へ広がり、衣服の形を作っている。
町娘。侍女。神官。旅人。
やはり形は変わる。
そして、やはり何故か乳房は一房ずつ包まれ、乳輪と乳首とヘソと尻と股間の線も分かりやすい。
リーゼが顔を引きつらせる。
「貴様もか!」
「何がだ?」
「何故そこだけ同じなんだ!」
「忍装束とはこういうものだろう」
クロエも横から頷いた。
「そういうものだ」
二人だけは、一切疑問に思っていない。
能力を並べていくと、さらに対になっていた。
クロエは電力を使う。
アスラは魔力を使う。
クロエは電脳や神経へ潜る。
アスラは魔法陣を高速で展開する。
クロエは電力切れで充電モードへ入り、全裸になって銀髪を広げ、太陽光から電気を得る。
アスラは魔力切れで全裸になり、腹の前へ回復魔法陣を出して魔力を戻す。
クロエが切断されれば、断面から神経ケーブルが伸びる。
アスラが切断されれば、断面から肉触手が伸びる。
クロエの武器は背中の太刀。
アスラは両手の鉤爪。
ティセラが記録を見ながら呟く。
「本当に対ですね」
ノアも頷いた。
「同じ役割を、全く違う方法で作っている感じだね」
クロエが嫌そうな顔をする。
「こいつと同じにするな」
アスラも同じ顔をする。
「私も同感だ」
ノアが苦笑した。
「そこまで同じ反応なんだよなあ」
「黙れ」
また二人の声が揃った。




