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大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第七章 教授Ⅰ

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第五十話 教授は、神と悪魔と世界の果てを同じ表へ書く

「宗教について」


ティセラが言うと、シズクの姿勢が少しだけ変わった。


神社。巫女。祭り。穢れ。祟り。供物。生贄。


シズクの地域では、信仰が日常と切り離されていない。


ティセラ。


「神は観測されたことがありますか?」


シズクが固まる。


「……神様を?」


「はい」


「観測?」


「魔力反応。物理的顕現。神託の再現性――」


シズクが明らかに引いた。


「神様を、そんなふうに調べるのですか?」


「研究対象であれば」


リーゼ。


「教授」


「はい」


「そこは小官も少し怖い」


「何故です?」


エヴァ。


「俺は面白そうだと思う」


シズク。


「エヴァは黙っていてください」



ノアの前世。多数の宗教。神を信じる人。信じない人。だが、神が科学的に確認されていたわけではない。


リーゼの地域。教会。宗教。信仰。倫理。だが、航空機の設計に神託は使わない。砲撃計算にも。


ティセラの地域。神学。魔法科学。精霊学。異界研究。全部、研究対象。神と呼ばれる存在が、本当に神か、高位魔法生命か、精霊か、異界存在か、学者同士で普通に揉める。



シズク。


「神様を疑ってよいのですか?」


ティセラ。


「分からないことを分かったことにする方が問題です」


シズク。


「……やはり教授の世界は怖いです」



エヴァの地域。神も、悪魔もいると考えられている。


エヴァ本人は。


「出てきたら殴ってみれば分かる」


リーゼ。


「神を殴るな!」



ティセラは整理した。


同じ「神」という言葉でも、同じ存在を指すとは限らない。


逆に。


ノア。


「同じものを、地域ごとに別の神として呼んでる可能性もある」


ティセラ。


「あります」



次。


世界の果て。


シズク。神の大瀑布。神聖。禁忌。


エヴァ。魔界大穴。近づかない。背を向ける。


リーゼ。世界壁ヴェルテンヴァント。国家事業で越える。


ティセラ。牙塔。研究する。登る。そして落ちる。


ノアの前世。世界に物理的な端はない。球体だから。


ティセラが、四つを並べる。


「もし同じ巨大地形なら」


指を動かす。


「シズクさんの地域は神聖視した」


「はい」


「エヴァさんの地域は恐れて避けた」


「ああ」


「リーゼさんの地域は国家の力で越えようとした」


「当然だ」


「私たちは観測しようとした」



ノア。


「社会の性格がそのまま出てるね」



エヴァ。


「俺のところが一番賢かったな」


リーゼ。


「何故だ!」


「近づかなかった」


シズクが考える。


「結果だけなら」


リーゼ。


「認めるな!」


ティセラ。


「私は登って落ちました」


ノア。


「リーゼは飛んで落ちた」


シズク。


「私は落とされました」


エヴァ。


「俺は捨てられた」


沈黙。


リーゼ。


「……誰一人、まともな方法で谷底へ来ていないな」


それだけは、五人とも、否定できなかった。

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