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大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第七章 教授Ⅰ

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第四十一話 教授は、魔法より学院の方が理解できないと言われる

ティセラが、保存蔵から魔宝石を一つ持ってきた。淡く冷気を放っている。


シズクは、もう知っている。谷底へ落ちてきた翌日、保存蔵を見せてもらった。さらに後にはエヴァから、魔宝石を使った冷蔵庫だと教えられた。


「冷蔵庫の石ですね」


シズクが言った。


ティセラが反応する。


「冷蔵庫?」


ノアが外から答えた。


「僕の前世では、食料を冷やして保存する設備をそう呼んでた」


「なるほど」


ティセラは石を示す。


「低温系魔宝石です」


シズク。


「冷たい石」


「使用するだけなら、その理解で問題ありません」


「どうして冷たくなるかは?」


「説明できます」


シズクの目が少し大きくなる。


「そこまで分かるのですか?」


「それを調べるのが魔法科学です」


内部魔力。固定術式。熱移動。出力。劣化。加工。


しばらくして、シズクがエヴァへ小声で言った。


「冷たい石でよかった気がします」


「俺もだ」


ティセラ。


「聞こえています」


今度はリーゼの番。


電気。蒸気機関。発電機。電線。電動機。内燃機関。


ティセラは、明らかに楽しくなった。


ノアも話へ加わる。


水車。回転。軸。発電。蓄電。


ティセラが、魔宝石側の変換を提案する。すると、ノア、リーゼ、ティセラ、三人だけ突然会話の速度が上がった。


歯車。摩擦。電流。熱。魔力。蓄積。変換効率。


エヴァがシズクを見る。


「分かるか?」


「水車までは」


「俺もだ」


そして、話題がティセラの社会へ移る。


「王立魔法学院」


リーゼが確認する。


「はい」


「学校だな?」


「教育機関であり、研究機関です」


「軍学校でも?」


「部門があります」


「魔物討伐は?」


「実地訓練があります」


「遺跡?」


「調査します」


「政治?」


「王侯貴族の子弟が多数在籍しています」


「外交?」


「当然関係します」


「決闘?」


「あります」


「戦争?」


「学院が動く場合も」


リーゼが止まった。



エヴァ。


「学生も戦うのか?」


「場合によります」


シズク。


「国には兵士がいますよね?」


「います」


「役人も?」


「います」


「冒険をする人も?」


「います」


「では」


シズクは本気で不思議そうだった。


「どうして学院の人が、何でもするのですか?」


ティセラが、止まった。


ノアが小さく言う。


「……学園世界だ」


「何です?」


「僕の前世の物語でね」


ノアは説明する。


学校へ通いながら魔物を倒す。遺跡へ行く。貴族と揉める。決闘する。国を救う。


ティセラが真面目に聞く。


「普通では?」


沈黙。



リーゼ。


「待て」


「はい」


「貴様の社会は、何故それで普通に繁栄している?」


「普通に繁栄していますが?」


「そこが分からん!」


エヴァ。


「学校だろ?」


「学院です」


「同じだ」


「違います」


シズク。


「学生は学ぶ方なのでは?」


「実践も学習です」


リーゼ。


「戦争まで実践するな!」


ティセラは、不思議そうに四人を見る。


「皆さんの教育機関は、ずいぶん役割が狭いのですね」


今度は、四人が黙った。


ノア。


「やっぱり、ティセラの地域は魔法より社会制度の方が不思議だな」


エヴァ。


「ああ」


シズク。


「私もそう思います」


リーゼ。


「全面的に同意する」


ティセラ。


「何故です!?」


そこだけは教授自身にも、うまく説明できなかった。

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