↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第七章 教授Ⅰ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/193

第四十話 教授は、太陽と大地について五人へ聞く

「世界は、どんな形をしていますか?」


ティセラの最初の質問に、エヴァは即答した。


「でかい」


リーゼが机を叩く。


「形を聞かれている!」


「知らん」


「少しは考えろ!」


「戦争に必要なかった」


「貴様の世界は何でも戦争基準だな!」


シズクは少し考えた。


「大地があって」


「はい」


「その上に天があります」


リーゼが眉間を押さえる。


「平らなのか?」


「地面は平らですよ?」


「世界全体だ!」


「世界全体?」


シズクには、問いの意味そのものが、いまひとつ分からない。村がある。山がある。川がある。国がある。そして神の大瀑布。世界の果て。それで十分だった。


リーゼが立ち上がる。


「世界は球体だ!」


シズクが目を瞬かせた。


「丸い?」


「ああ」


「でも地面は平らです」


「大きすぎて丸みが分からないだけだ!」


「下側にいる人は落ちませんか?」


「落ちない!」


「なぜ?」


「重力が――」


リーゼが止まった。


シズクには、その言葉そのものがない。


ノアが外から助ける。


「物は大地の中心へ引っ張られる、と思えばいいかな」


「大地の中心?」


「うん」


「その下へ?」


「……今は、世界は丸いという考え方があるくらいでいいよ」


「はい」


シズクは、素直に諦めた。


ティセラが聞く。


「太陽は?」


リーゼは即答。


「恒星だ」


「世界は?」


「太陽の周囲を回っている」


エヴァが立った。


「待て」


「何だ」


「太陽が回ってるだろ」


「違う!」


「朝に向こうから出る」


「ああ」


「夕方に反対へ沈む」


「ああ」


「なら太陽が動いてる」


「世界が回っているんだ!」


エヴァはシズクを見る。


シズクもエヴァを見る。


二人。


頷く。


「太陽が動いていますね」


「ああ」


リーゼ。


「うがあああっ!」


ノアが笑う。


「僕の前世も、昔は天動説だったよ」


エヴァが指を差す。


「ほら!」


「昔はね」


「裏切ったな!」


「その後、観測が進んで地動説になった」


リーゼの顔が、ぱっと明るくなる。


「聖者!」


「何?」


「貴様の世界にも地動説が!」


「僕の時代では普通の知識だったよ」


「そうか!」


妙に嬉しそうだ。


ティセラが記録する。


「独立した二つの文化で、ほぼ同型の宇宙モデル」


リーゼ。


「同じ世界の証拠になるか?」


「なりません」


「なら何故書く」


「一致した資料だからです」


「教授は面倒だな」


「ありがとうございます」


今度はリーゼが聞く。


「教授は?」


「天球座標を使います」


ノアが反応する。


「ああ、天球」


ティセラが振り向く。


「聖者の世界にも?」


「実際に球があるというより、空を巨大な球面として扱う座標モデルだけど」


ティセラの目が輝いた。


「同じです!」


「同じ?」


「少なくとも私の学派では」


リーゼ。


「学派?」


「天球が物理的に存在すると主張する学派もあります」


「まだ決着していないのか?」


ティセラが眼鏡を押し上げる。


「学者だから決着していないのです」


「何だそれは」


「証明できないことを、分かったことにしてはいけません」


ノア。


「それは正しいね」


リーゼも渋々。


「……そうだな」


エヴァがシズクへ小声で聞く。


「俺たちは?」


シズクは窓の外を見る。


「明日も太陽が出れば十分では?」


「俺もそう思う」


リーゼ。


「少しは興味を持て!」


ティセラは最後に、一行書いた。


『宇宙観の違いは、別世界の証明にならない』


ノアが言う。


「僕の前世一つだけでも、時代によって世界の理解は変わったからね」


シズク。


「では、私が知らないだけかもしれない」


「はい」


ティセラは頷いた。


「ただし」


「?」


「シズクさんの地域には、天文学より説明しにくいものがあります」


シズク。


「何でしょう」


「鬼です」


「ああ」


普通に頷いた。


リーゼが嫌な顔をした。


「そこからか……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。