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大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
断章Ⅰ

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第三十三話 だいぶ谷底に慣れてきた【一般公開版】

湯気が、月明かりに白く立ち上っていた。


谷底の一角、聖者が掘り当てた天然の湯が、岩をくり抜いた湯船に満ちている。広さは四人が余裕で手足を伸ばせるほど。湯の縁からは温かい水がさらさらと溢れ、苔むした岩肌を伝って流れ落ちていた。


エヴァは湯船の縁に両腕を広げてもたれかかり、天を仰いでいた。金の髪が湯に浮き、鍛え上げられた裸身が湯気の向こうでゆらめいている。満足げなため息が、白く染まった。


「全員でのプレイもいいな!」


声は上機嫌そのものだった。湯の表面を手のひらで叩き、水しぶきを上げる。


「エヴァ」


隣で湯に浸かっていたシズクが、呆れたような声を出した。黒髪を湯に濡らし、頬はほんのりと上気している。


「お前も堪能したろ」


エヴァがにやりと笑った。


「まぁ」


シズクは湯の中で膝を抱え、口元をわずかに緩めた。


「二人の痴態を観ながらはよかったですし、二人がむちゃくちゃにしたあとの聖者は最高ですね」


遠慮のない物言いに、エヴァが声を上げて笑う。


「うがああっ!」


突然、湯船の反対側から叫び声が上がった。リーゼだった。湯に肩まで浸かり、顔だけを出して、金色の目をぎらつかせている。


「何でこうなってるんだ! おかしいだろ!」


リーゼは湯をばしゃばしゃと叩いた。


「部屋に呼ばれたら、すでにエヴァが聖者と! シズクはエヴァを罵ってるし! 何でそこに小官が混じってるんだ!」


エヴァが声を出さずに笑っている。シズクは顔を半分湯に沈めて、目だけをリーゼに向けていた。


「しかも、シズクに尻を! 聖者にめちゃくちゃにされるし! シズクとキスするし!」


「いいキスでした」


シズクがぽつりと言った。


「うがああっ!」


リーゼは頭まで湯に沈み、ぶくぶくと泡を吹いた。それから勢いよく浮上し、濡れた短髪をかき上げる。


「だいぶ谷底に慣れてきたなー」


エヴァがしみじみと言った。


「そうですねー」


シズクも同じ調子で返す。


「関係ないだろ!」


リーゼの叫びが、湯気の立ち上る夜空に吸い込まれていった。月だけが、四人の入る湯船を静かに見下ろしている。


聖者は少し離れた湯船の端で、金色の目を細めてその光景を眺めていた。何も言わず、ただ穏やかに、三人の騒ぎを聞いている。湯に濡れた黒い角が、月明かりを受けて鈍く光っていた。

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