↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第五章 世界壁Ⅱ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/193

第三十話 世界壁の底で聖者本人に相談した

リーゼはノアと水車の改修をしていた。


屋外。十分な距離。作業時間も決めてある。


リーゼ自身が提案した安全手順だった。


「そこ、もう少し右」


ノアが言う。


「ここか」


「そう」


リーゼが金属部品を固定する。二人で作業を始めてから。思った以上に快適だった。


ノアの説明は通じる。圧力。回転。摩擦。熱。水量。力の伝達。知らない言葉もある。しかし概念を説明されれば理解できる。


ノアも自分が説明するたび、少し嬉しそうにする。それが、困る。


「リーゼ?」


「何だ」


「そこ締めすぎ」


「あ」


力を緩める。


集中しろ。帝国航空隊大尉だ。機械整備中に雑念を抱くな。


「疲れた?」


「問題ない」


「少し休もうか」


「必要ない」


「でも顔赤いよ」


リーゼが工具を落とした。


「これは暑いからだ!」


「今日は涼しいけど」


「うるさい!」


ノアが驚く。


リーゼは頭を抱えた。


違う。この男は何もしていない。距離も守る。必要以上に近づかない。触らない。目線すら気を使う。それなのに。だからこそ、余計に意識する。


「聖者」


「うん」


「質問がある」


「何?」


「貴様は」


止まる。言うのか。言わないのか。


「……エヴァ以外とも関係を持つつもりがあるのか」


ノアが固まった。


リーゼも固まった。


言ってしまった。


「いや、今のは一般論だ!」


「一般論?」


「共同生活上の確認だ!」


「そうなんだ」


「そうだ!」


沈黙。


リーゼの顔がさらに熱くなる。


「……シズクとは?」


「そういう関係じゃないよ」


「だが、あいつは覗いているぞ!」


「知ってる」


ノアは困ったような顔になる。


リーゼは耐えきれなくなった。


「では小官も貴様と関係を持てばいいのか!?」


沈黙。


水車だけが回った。


からからから。


リーゼは自分の口を両手で塞いだ。


ノアがゆっくり言う。


「……そうしたいの?」


「知らん!」


「リーゼ」


「分からんから聞いているんだ!」


完全に小官も消えていた。


「エヴァは好きにしている! シズクは見ている! 私は夜中に偶然見た! 昼間にも見た! 貴様は普段は紳士のように距離を取る! なのにあの女といる時だけ全然違う!」


「うん」


「うん、ではない!」


「ごめん」


「謝るな!」


「じゃあどうすれば」


「私が聞いている!」


「うーん」


ノアは真面目に考えた。


「何もしなくていいと思う」


リーゼが止まる。


「……何?」


「リーゼがしたいと思うまで、何もしなくていい」


「だが身体への影響があるのだろう」


「ある」


「なら、その結果なのかもしれん」


「だからこそ急がない方がいい」


リーゼは黙った。


ノアは続ける。


「僕の近くでそう思うのと、離れている時にもそう思うのか。それを確かめてからでいいよ」


「……貴様は」


リーゼは顔を背ける。


「そういうところが卑怯だ」


「え?」


「何でもない!」


その日の作業は。


予定より早く終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。