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大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
断章Ⅴ

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第百二十三話 電動トウモロコシ

朝食が終わったところで、クロエとティセラが揃ってリーゼの前へ来た。


その組み合わせを見た時点で、リーゼは嫌な予感がした。


クロエだけなら電装関係。


ティセラだけなら植物か魔術。


二人が一緒なら、その両方である。


「報告がある」


クロエが言った。


リーゼは手にしていた茶を置く。


「聞こう」


ティセラが記録板を開いた。


「第五で、新しい植物を確認しました」


リーゼの表情が少しだけ険しくなった。


第五。


正式には第五管理区域。


聖者自己処理池及び周辺生物災害監視区域。


ノアが現在も定期的に利用し、その影響で周辺の植物や動物に異常な反応が生じているため、谷底共同体が公的施設として管理している場所である。


クロエとアスラが初めて立ち入った時には、防護服を着て、風向を確認し、警報器を身につけ、異常を感じたら即座に撤退する訓練まで受けている。


だから。


「第五で新しい植物」


という一言だけで、充分に警戒する理由になった。


リーゼが聞く。


「何をする植物だ」


「発電する」


クロエが答えた。


リーゼはクロエを見る。


「……何を?」


「電気だ」


「それは分かる。何が発電する」


「植物が」


リーゼはティセラを見る。


教授は平然と頷いた。


「太陽光を受け、電気と魔力の双方を蓄積します」


リーゼはしばらく何も言わなかった。


それから。


「第五は、とうとう発電まで始めたのか!」


シズクが振り返った。


「発電?」


ノアも聞いていたらしい。


「太陽の光で?」


クロエが頷く。


「ああ」


ティセラが続ける。


「正確には、光を受けた植物組織内部で何らかの変換が起きています。植物自身の生育にも利用しているようですが、余剰分が電気と魔力の形で蓄えられます」


リーゼが聞く。


「光合成は?」


「しています」


「普通の植物としても育つ?」


「はい」


「そのうえで発電?」


「はい」


リーゼは額を押さえた。


「何故、一つの植物へ機能を詰め込むんだ……」


クロエが言う。


「便利だからいいだろう」


「貴様は性能を見つけると、すぐ利用する側へ回るな!」


「利用できるものを利用して何が悪い」


「第五で見つかったものだぞ!」


ティセラが補足する。


「そのため、第五の管理区域内に試験区画を設けています。区域外へは出していません」


リーゼは少しだけ安心した。


「そこは守っているんだな」


「当然です」


「教授が管理責任者で助かった……いや、研究対象を前にした教授だから、まだ安心できんな」


「失礼ですね」


シズクが尋ねる。


「どのような植物なのです?」


クロエが答えた。


「見れば分かる」


リーゼがすぐ振り向く。


「その言葉は最近ろくな結果にならん!」


         ◇


見学することになった。


ただし第五である。


普通の畑を見に行くのとは違う。


ティセラの指示で、防護服、長靴、手袋、顔面防護具、濾過具を装着する。


警報用の魔術具も一人ずつ持たされた。


ネイラとルヴァナは第五へ入るのが初めてだったため、ティセラから改めて説明を受けている。


「警報が鳴った場合は?」


ティセラが聞く。


ネイラが答えた。


「即時撤退」


「採取途中でも?」


「捨てて撤退」


「あと少しで観察が終わる場合は?」


「撤退」


ティセラが頷く。


「結構です」


ルヴァナが手を上げた。


「気分悪くなったら?」


「警報が鳴っていなくても申告してください。その時点で撤退します」


「はーい」


「勝手に植物へ触れないでください」


「棒なら?」


シズクが横から、自分の長い棒を見せた。


ティセラが頷く。


「まず私へ確認してください。そのうえで棒を使用します」


ルヴァナがシズクを見る。


「本当に棒が正式装備なんだ」


シズクは少し誇らしそうだった。


「便利ですよ」


リーゼが呟く。


「谷底の科学が今日も棒から始まっている……」


外縁へ着くと、赤い杭の前で全員が止まった。


風向確認。


空気採取。


魔力濃度測定。


周辺の植物活動。


動物の痕跡。


以前の立入訓練と同じ手順を、ティセラは一つも省略しなかった。


クロエが聞く。


「今日の目的地は外縁?」


「外縁と中間域の境界近くです。中央へは行きません」


アスラが少し残念そうな顔をする。


「久しぶりに奥も見たかったのだが」


「見学目的で危険を増やしません」


「相変わらず堅いな」


「管理責任者ですので」


リーゼが強く頷いた。


「今日は教授が正しい」


「いつもです」


「そこまでは言っていない」


安全確認が終わり、一行は第五へ入った。


途中では、以前見た蔓もまだ生きている。


動物の通り道へ向かってゆっくり伸びている。


シズクは棒を両手で持ち直した。


ルヴァナがそれを見る。


「シズクさん、めっちゃ構えてるね」


「以前、棒にすぐ巻きつきましたので」


「怖っ」


「だから触らないでくださいね」


「触らない触らない」


少し進んだところで、ティセラが立ち止まった。


「こちらです」


全員が前を見る。


ルヴァナが最初に言った。


「……トウモロコシじゃん」


リーゼも同じ感想だった。


畑である。


背の高い茎。


そこから伸びる細長い葉。


茎の途中についた太い実。


何本も一定の間隔で並んでいる。


どう見てもトウモロコシ畑だった。


違うところがあるとすれば。


「光っているな」


リーゼが呟く。


普通のトウモロコシなら、実を包む葉は閉じている。


こちらは違った。


実を包むはずの葉が、花弁のように大きく外へ開いている。


しかも緑ではない。


葉の表面全体が、細かな金属を薄く延ばしたような光沢を持っていた。


太陽を受けるたび。


きら。


きらきら。


と反射する。


茎も同じ。


露出している実の粒まで、金属のような光を返している。


ルヴァナが言う。


「なんか、メタリックなトウモロコシ」


ネイラはじっと観察する。


「葉が全部、光の方向へ向いているわ」


ティセラが頷いた。


「日中は外側の葉を最大まで開きます。太陽の位置に合わせて角度も少しずつ変わります」


シズクが見上げる。


「向日葵のようですね」


「挙動としては近いですね。ただし葉の面積を最大限、光へ向けるようです」


クロエは畑の横に設置した器具へ向かった。


そこには簡易的な計測器と配線が組まれている。


「今も出ている」


リーゼが覗き込む。


針が動いていた。


「本当に電気なのか」


「ああ」


クロエが一本から伸ばした導線を示す。


植物そのものを切り開いたわけではない。


表皮の一部へ、接点のような器具を固定してある。


「この状態で継続して電位差が出る」


「植物を傷つけずに?」


「今のところは」


ティセラも別の器具を見る。


「魔力蓄積量も上昇しています」


アスラが近づいた。


「電気と魔力を同時に?」


「はい」


「面白いな」


アスラが手をかざす。


すぐにティセラが止めた。


「直接触れないでください」


「測るだけだ」


「こちらの器具で測ります」


「私の方が早いぞ」


「第五では、早さより手順を優先してください」


アスラは少し不満そうだったが、手を引いた。


リーゼが笑う。


「新兵だな」


アスラが睨んだ。


「貴様、以前自分が言われたことを根に持っているだろう」


「非常に気分がいい」


ティセラは二人を無視して説明を続ける。


「現在、十二株を試験的に管理しています」


リーゼが周囲を見る。


確かにまとまっている。


「試験的な発電施設というわけか」


クロエが頷く。


「そうなる」


リーゼは目の前を見る。


トウモロコシ畑。


その横には計測器。


配線。


魔力測定具。


「……どう見ても畑なんだが」


「植物だからな」


「しかし役目は発電所」


「そうだ」


「畑なのか発電所なのか、どちらかにしろ!」


ネイラが言った。


「発電畑でいいのでは?」


リーゼが止まる。


「……それで済ませると負けた気がする」


         ◇


シズクが棒を一本取り出した。


「触れてみても?」


ティセラは警報値を確認する。


「葉の端だけなら。直接は触れないでください」


「はい」


シズクは長い棒で。


つん。


葉を軽く突いた。


かつん。


植物とは思えない硬い音がした。


ルヴァナが目を丸くする。


「硬っ」


シズクも少し驚いた。


「葉ですよね?」


「植物組織です」


ティセラが答える。


「ただし表層に金属に近い成分を集積しています」


ネイラが興味深そうに見る。


「導電経路として使っている?」


クロエが頷いた。


「その可能性が高い」


「じゃあ、葉そのものが集光板と導線を兼ねているの?」


「今の仮説では」


リーゼが二人を見る。


「娘まで完全に工作側へ行ったな」


ネイラが聞く。


「リーゼ大尉は興味ありません?」


「あるに決まっている!」


リーゼは金属光沢の葉を見る。


「水車も水槌ポンプも設置場所を選ぶ。これが本当に日光だけで発電し、しかも内部へ蓄電するなら価値は大きい」


クロエが少し笑った。


「やっと認めたか」


「安全性を確認してからだ!」


ルヴァナが実を棒で軽くつついた。


かつ。


こちらも硬い。


「これ食べられるの?」


ティセラが即答する。


「まだ食用試験はしていません」


エヴァが言った。


「焼けば?」


リーゼが振り返る。


「焼くな!」


「トウモロコシだろ?」


「発電設備だ!」


「でも植物だろ?」


「だから困っているんだ!」


ノアが苦笑する。


「食べる方は、もう少し調べてからにしよう」


エヴァは残念そうだった。


         ◇


昼の間。


植物はほとんど動かなかった。


正確には。


ゆっくりと太陽を追っていた。


葉の角度。


実を囲む外葉。


茎そのもの。


どれもごくわずかに動き、できるだけ広い面積へ陽光を受けている。


電気は少しずつ蓄積する。


魔力も増える。


ティセラが一株ごとの数値を記録する。


クロエは取り出せる電流を測る。


ネイラも横で構造を観察している。


リーゼは最初こそ警戒していたが、次第に技術者の顔になっていた。


「個体差があるな」


クロエが答える。


「ある」


「大きい株が必ず出力も高いわけではない?」


「今のところは」


「葉の向きか?」


「表面組織の密度かもしれない」


ティセラが加える。


「魔力蓄積量との相関も調べる必要があります」


リーゼが記録を見る。


「これが安定して増やせるなら、館の近くへ持ち出したいところだが」


ティセラが即答する。


「まだ駄目です」


「分かっている」


「第五の外へ出すには、繁殖方法、周辺生物への影響、夜間挙動、枯死後の挙動まで確認します」


「そこまで必要だな」


ルヴァナが言った。


「枯れた後まで?」


リーゼが頷く。


「発電している植物だぞ。枯れた途端に溜めた電気を全部吐き出したら危険だろう」


「なるほど」


クロエも言う。


「焼いた時に放電する可能性もある」


エヴァが聞いた。


「じゃあ焼くのはまだ駄目か」


「まだ諦めていなかったのか!」


         ◇


夕方になった。


ティセラは全員へ帰還を指示しなかった。


代わりに。


「もう少し見ていきましょう」


リーゼが教授を見る。


「夜に何かあるのか」


「あります」


「先に言え」


「見た方が早いです」


リーゼの眉間に皺が寄った。


「その言葉は本当に嫌いになってきたぞ」


太陽が落ちていく。


第五の試験区画へ届く光が弱くなる。


すると。


開いていた葉が動き始めた。


一枚。


また一枚。


昼間は太陽へ向かって大きく広がっていた外葉が、中央の実へ向かって閉じていく。


ルヴァナが指差した。


「閉じてる」


ネイラも観察する。


「日射量に反応しているのね」


ティセラが頷く。


「一定以下になると閉鎖を始めます」


シズクが言う。


「眠るようですね」


「その可能性もありますが、蓄積したエネルギーを保持するための形態変化とも考えられます」


やがて外葉は完全に閉じた。


昼間は大きく広がっていた金属光沢の葉が。


今は実の周囲へぴったり沿っている。


細長い。


丸い先端。


滑らかな金属光沢。


ルヴァナがじっと見た。


ネイラも見る。


リーゼも。


何となく。


誰も感想を言わなかった。


夜になった。


第五へ持ち込んだ灯りの中で、閉じた植物が並んでいる。


リーゼが聞く。


「これで終わりか?」


クロエが答える。


「まだだ」


「まだあるのか」


「少し待て」


しばらくした。


ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙。


リーゼの顔が止まった。


「……何だ、今の音は」


ルヴァナも周囲を見る。


「今なんか震えなかった?」


もう一度。


ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙。


目の前の一本が震えていた。


閉じた外葉全体が細かく振動している。


さらに。


表面へ透明な液体が滲んできた。


ぬらり。


ゆっくり外側を伝う。


シズクが棒を握り直した。


「粘液が出ています」


ティセラは記録する。


「はい。夜間になると確認されます」


リーゼが聞く。


「何のための粘液だ」


「まだ分かりません」


「振動は?」


「こちらも不明です」


クロエが計測器を見る。


「振動中も電気は保持している」


ティセラも別の値を確認する。


「魔力も大きくは減っていません」


次の一本が。


ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙。


震え始めた。


その隣も。


ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙。


さらに。


ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙。


金属光沢。


細長い形。


表面を伝う粘液。


規則的な振動。


ルヴァナが黙った。


ネイラも黙った。


リーゼは何も言わない。


シズクだけが、皆の反応を見て首を傾げる。


「どうされたのです?」


ルヴァナが口を開いた。


「これさ」


リーゼがすぐ振り向く。


「言うな」


「まだ何も言ってないよ」


「分かる!」


「でも絶対みんな思ってるって」


「思っていても口に出さなければいい!」


エヴァが大笑いした。


「電動ディルドだな!」


リーゼが叫んだ。


「言ったああああっ!」


ルヴァナも笑い出す。


「やっぱそう見えるよね!」


ネイラは額へ手を当てていた。


「否定はできないわ」


アスラは震えている植物を眺める。


「見た目だけなら、確かにな」


「貴様まで冷静に認めるな!」


シズクが尋ねる。


「電動ディルドとは何です?」


リーゼが止まった。


「知らなくていい!」


ルヴァナが説明しようとする。


「えっとね――」


「ルヴァナも説明するな!」


シズクはますます気になったようだった。


「ですが、皆さん同じものを想像しているようですし」


「この場では必要のない知識だ!」


クロエだけは、相変わらず計測器を見ていた。


「形はどうでもいい」


リーゼがクロエを見る。


「貴様は本当に何も思わないのか」


「発電できればいい」


「強いな」


「それより、この粘液だ」


ティセラも採取器具を取り出した。


「私も気になっています」


リーゼは二人を見る。


「見た目の問題を完全に無視して研究へ戻るな!」


クロエは粘液へ器具を近づける。


直接触れず、先端だけで採取する。


「導電性がある可能性が高い」


ティセラが別の試料容器を用意する。


「魔力伝導性も確認しましょう」


アスラが言う。


「つまり、自分で発電して、自分で魔力を溜めて、夜は震えながら導電性の粘液まで出す?」


「現状では」


リーゼが頭を抱えた。


「何故、その性能をその見た目へまとめた!」


ルヴァナが笑う。


「第五だからじゃない?」


リーゼが止まった。


それ以上に強い説明が思いつかなかった。


第五である。


植物が動物を追う。


蔓が勝手に移動する。


繁殖対象の認識までおかしくなっている。


その場所で生えた植物が。


昼は太陽へ葉を広げて電気と魔力を溜め。


夜になると葉を閉じ。


粘液を垂らしながら。


ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙。


と震える。


リーゼは遠い目をした。


「……第五だったな」


ティセラが頷く。


「第五です」


「なら、もう少しおかしくても驚くべきではなかったか」


「慣れすぎるのも危険ですよ」


「教授に言われたくない!」


         ◇


夜間観察を終えると、全員は来た道を戻った。


もちろん第五なので、出たところですぐ防護具を脱ぐわけではない。


準備していた水で洗浄。


長靴。


手袋。


防護服。


顔面防護具。


使用した棒。


採取器具。


最後に付着物を確認し、問題がないことを確かめてから装備を外す。


ルヴァナが防護服を脱ぎながら言った。


「でも、あれ普通に便利じゃない?」


リーゼも認める。


「安全ならな」


クロエが答える。


「出力はまだ小さい。だが株数を増やせるなら使い道はある」


「水力と競合させる必要はない」


リーゼも続ける。


「水車を置けない場所や、独立した設備の補助電源には向くかもしれん」


ネイラが言う。


「魔力も取れるなら、アバター設備にも?」


アスラが反応した。


「そこは面白いな」


ティセラがすぐ止める。


「まだ第五の外へ出しません」


全員が教授を見る。


「安全性を確認するまで試験区画限定です。繁殖方法も分かっていません」


リーゼが頷いた。


「それが正しい」


ルヴァナが笑う。


「でも増やすなら、あの畑もっとすごいことになるよね」


リーゼは嫌な予感がした。


「何がだ」


「百本くらい並んで、夜に全部一斉に」


ルヴァナが両手を小刻みに震わせる。


「ゔぅ゙ぅ゙ゔぅ゙ぅ゙って」


リーゼの顔が引きつった。


「想像させるな!」


エヴァが大笑いする。


「見物だな!」


「観光施設ではない!」


クロエは淡々と言った。


「百株あれば出力も百倍に近づく」


「貴様はそこで現実的な計算を始めるな!」


ティセラまで記録板を見る。


「単純比例するかは試験が必要ですね」


「教授も!」


その日の第五管理記録には、新しい項目が追加された。


昼間の発電量。


魔力蓄積量。


日射量。


葉の開閉時刻。


夜間振動の開始時刻。


粘液量。


そして、区域外への持ち出し禁止。


ティセラは最後まで真面目に記録した。


リーゼも内容そのものには異論がなかった。


問題は。


翌朝。


クロエが試験区画の図面へ、


『光電・魔力複合試験区』


と書き込んでいる横で、ルヴァナが小さく、


『電動トウモロコシ畑』


と書き足していたことである。


リーゼは見つけた瞬間、紙を指差した。


「消せ!」


「分かりやすいじゃん」


「分かりやすすぎる!」


ティセラが二つの名称を見比べる。


「正式な記録にはクロエの名称を使用します」


「当然だ!」


「ただ、現場で識別するにはルヴァナの名称も――」


「教授!」


第五にはまた一つ。


利用価値は高そうなのに。


どうしても見た目と挙動へ余計な問題を抱えた植物が増えた。

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