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大瀑布の底のハーレム【一般公開版】 (R18版 日間76位ありがとうございます)  作者: 黒瀬 量衡
第二章 谷底Ⅰ

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第十話 谷底で覚える身体のこと【一般公開版】

休憩していると、エヴァが急に言った。


「そうだ。聖者についてもう一つ教えとく」


シズクは警戒した。


「今度は何ですか」


「これは本当に生活上の注意だ」


「その言葉が信用できなくなっています」


「聖者はオーガだ」


「はい」


「オーガは性欲が強い」


シズクは嫌な予感を覚えた。


「聖者の場合、かなりひどい」


「ひどい?」


「ほとんど尽きない」


シズクは瞬きをする。


「尽きない?」


「あいつ自身、自分の身体がどうなってるのか全部分かってない。どれだけしても、また元気になる」


エヴァは少し遠い目をした。


「初めての夜は、俺も聖者も加減を知らなかったからな。本当に溺れるんじゃないかと思った」


シズクは何にとは聞かなかった。


「それほど?」


「どれだけでも出る。本人も困ってる」


「聖者が?」


「ああ」


エヴァの声が少し落ち着いた。


「欲が強いくせに、それを他の女へ向けたくないんだと。身体はオーガでも、誰かを欲のはけ口にするのは嫌らしい。だから、できるだけ女と接する機会も減らしてる」


「私にも?」


「特にな」


「では、エヴァは……」


「基本的に毎晩、俺が相手してる」


「毎晩」


「ああ」


「大丈夫なのですか」


エヴァが吹き出した。


「谷へ落とされる前は、何十匹のオーガを相手にさせられた事もあるんだぞ」


シズクの表情が曇る。


エヴァは肩をすくめる。


「そんな顔するな。楽しかったなんて言ってない。あの頃は俺が選べなかった。それだけだ」


そして、すぐに口元を上げる。


「だからまあ、何十匹相手にしてた頃と比べりゃ、聖者一人くらいどうってことない」


「比べるところがおかしくありませんか」


「そうか?」


「そうです」


「まあ、聖者一人の方が大変な夜もあるけどな」


「聞いていません!」


エヴァは豪快に笑った。


「ただ、オーガにはもう一つ面倒なのがある」


「まだ?」


「ああ。近くにいる女の性欲まで強くすることがある」


シズクは固まった。


「……え?」


「身体が熱くなる。落ち着かない。聖者が妙に気になる。触れたくなる。そんな感じだ」


「聖者が何かしているのですか」


「違う。本人の意思じゃない。オーガの種族的な性質らしい」


シズクは自分の身体を見下ろした。


「では、私も?」


「可能性はある」


「どうすれば」


「俺一人だった時は簡単だった。欲しくなったら聖者とすればよかった」


「エヴァはそうでしょうけれど!」


「だからシズクは別だ」


エヴァは指を一本立てた。


「まず聖者から離れろ」


二本目。


「水を浴びろ」


三本目。


「それでも収まらなきゃ、一人で満足するまでしろ」


シズクの顔が真っ赤になる。


「私はそんなことをしたことがありません!」


「なら覚えろ」


「なぜ谷底でそんなことまで!」


「必要だからだ」


「私は巫女ですよ!」


「身体は巫女でも同じだ」


「そんな……」


「一人でやって、それでも駄目なら俺のところへ来い」


シズクはさらに固まった。


「エヴァ?」


「俺が相手する」


「女性ですよ!」


「知ってる」


エヴァは胸を張った。


「捕虜の時は、女の相手もさせられた。そこらの娼婦ごときとは経験が違う!」


「そこで誇らないでください!」


「男も女も、魔物も、獣も、それなりに経験だけはあるぞ」


「経験という言葉の幅が広すぎます!」


「使えるものは使う。それが俺のやり方だ」


エヴァはさらに指を立てた。


「あと、一人でする時に何か使いたくなったら、勝手に変なものを使うな。俺に聞け」


「どうして!」


「怪我するからだ」


「エヴァは詳しいのですか」


「拷問の時に、嫌ってほど経験がある。安全かどうかには一家言あるぞ!」


「やはり誇らないでください!」


「形、硬さ、表面、欠け、割れるか、抜けなくなるか。馬鹿にするな。怪我すると面倒だ」


そこだけは真面目だった。


「恥ずかしがって傷つくくらいなら聞け」


「……分かりました」


エヴァはシズクの額を指で軽く突いた。その指先は、思いのほか温かかった。


エヴァはシズクの額を指で軽く突いた。


「いいか。無理はイカンぞ」


「……はい」


「よし」


「ですが、私は谷底の暮らしを教わっていたはずです」


「身体の扱いも生活だ」


「範囲が広すぎます!」

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