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小さな天災(死傷者1名)、大きなうねり  作者: G-20
第二次世界大戦末期
10/15

第十話 総統閣下するトルーマン大統領

 ソ連による日本と満洲国に対する宣戦布告無き侵略の報を受けたトルーマン大統領は当然ブチギレます。

 というのも、アメリカは大日本帝國海軍による真珠湾攻撃を“騙し討ち”として宣伝することによりやる気の無い(モンロー主義による)アメリカ国民の戦意を著しく高揚させたという参戦経緯にもかかわらず、今回ソ連がとった行動(宣戦布告無き侵略)はアメリカ国民を激怒させるような“騙し討ち”そのものですからね。(しかも日ソ不可侵条約を一方的に破っての侵略という)

1945年7月10日、ワシントンD.C.、ホワイトハウス地下会議室

 ホワイトハウス地下会議室に於いて、トルーマン大統領はマーシャル陸軍参謀総長から陸軍参謀本部が数日かけてようやく纏めたソ連による日本と満洲への侵略に関する報告を受けていた。

「Es ist dem Feind gelungen, die Front in breiter Formation zu durchbrechen.

(ソ連軍は戦線を広い範囲にわたって突破し前進しております。)

 Im Süden hat der Gegner Zossen genommen und stösst auf Stahnsdorf vor.

(南側でソ連軍は海拉爾(ハイラル)を奪いそのまま斉斉哈爾(チチハル)に向かって前進を続けています。)

 Der Feind operiert am nördlichen Stadtrand zwischen Frohnau und Pankow, und im Osten, der Feind hat an der Linie Lichtenberg, Mahlsdorf, Karlshorst gelangt.

(ソ連軍は北安と佳木斯(ギャムシ)の北縁で行動しており、東側は勃利、牡丹江、訓戒を結ぶ線まで既に到達しています。)」

 マーシャル陸軍参謀総長が現在の戦況を説明する。


「Mit dem Angriff Steiners wird das alles in Ordnung kommen。

(如何にソ連軍と言えども日本軍を簡単に破ることが出来ないだろう。)」

 トルーマン大統領は予測を口にする。


「Mein Führer…

(大統領…)

 Steiner…

(その件ですが…)」

 マーシャル陸軍参謀総長は報告しようとするも、口籠ってしまう。


 それをスティムソン陸軍長官が引き継ぐ。

「Steiner konnte nicht genügend Kräfte für einen Angriff massieren。

(ソ連は宣戦布告無しに侵略を始めたのです。)

 Der Angriff Steiners ist nicht erfolgt.

(騙し討ちに直面した日本軍は壊滅しました。)」


 トルーマン大統領は報告書を黙読する。


 その光景に、ホワイトハウス地下会議室は沈黙と緊張感に包まれる。


 沈黙を破ったのは、トルーマン大統領だった。

「Es bleiben im Raum: Keitel, Jodl, Krebs und Burgdorf.

(以下の者は部屋に残れ:リーヒ、スティムソン、マーシャル、アンポンタン。)」

 トルーマン大統領は4人に残るよう命じると、指名された4名とキング海軍作戦部長とステティニアス国務長官を除いて退室する。


 そして扉が閉まると、トルーマン大統領はブチギレた。

「Das war ein Befehl!

(騙し討ちだと!)

 Der Angriff Steiners war ein Befehl!

(よりにもよって連合国のソ連が騙し討ちしただと!)

 Wer sind Sie, dass Sie es wagen, sich meinen Befehlen zu widersetzen?

(どこの誰が、連合国でありながら騙し討ちなどという大それたことをしたというのだ!?)

 So weit ist es also gekommen…

(よもやそこまでのことをしようとは…)

 Das Militär hat mich belogen!

(コミー共は私を欺いていた!)

 Jeder hat mich belogen, sogar die SS!

(誰もが私を欺いていた、民主党幹部までもだ!)

 Die gesamte Generalität ist nichts weiter als ein Haufen niederträchtiger, treuloser Feiglinge!

(ニューディーラーのような卑劣で忠誠心の無い卑怯者なんて大っ嫌いだ!)」

 トルーマン大統領は立ち上がり怒鳴り続ける。


「Mein Führer, ich kann nicht zulassen die Soldaten die für Sie verbluten…

(トルーマン大統領、星条旗のために必死で汗を流している人達をそのように言うことは…)」

 トルーマン大統領のあまりの言い様にレイバーン下院議長が反論しようとする。


「Sie sind Feiglinge! Verräter! Versager!

(共産主義なんか大っ嫌いだ!コミー共のバーカ!)」

 トルーマン大統領はレイバーン下院議長の反論を遮る。


「Mein Führer, Was Sie da sagen, ist ungeheuerlich.

(トルーマン大統領、それはあまりにもとんでもないことです。)」

 ブルクドルフ陸軍人事局長は逆ギレ気味に反論する。


「Die Generalität ist das Geschmeiss des deutschen Volkes!

アカ(コミー)どもは人間のクズだ!)」

 トルーマン大統領は一言言うと赤青鉛筆を地図に叩き付けて叫ぶ。

「Sie ist ohne Ehre!

(チクショーメ!)」


「Sie nennen sich Generale, weil Sie Jahre auf Militärakademien zugebracht haben nur um zu lernen, wie man Messer und Gabel hält!

(奴等は前任者の政策の功労者などと偉ぶっているが、あいつらは大学を出ただけだし、そこでは『古代社会』のパクリ(エンゲルスの著作)を読み合わせしていただけだ!)」

「Jahrelang hat das Militär meine Aktionen nur behindert!

(ニューディーラーは長きにわたり私の活動を妨害してきた!)」

「Es hat mir jeden nur erdenklichen Widerstand in den Weg gelegt!

(奴等は私の歩く道に障害を置くことしか考えない!)」

「Ich hätte gut daran getan, vor Jahren alle höheren Offiziere liquidieren zu lassen, wie Stalin!

私も(It's )もっと早く(判断力足らんかった)、ニューディーラーどもを一人残らず粛清しておけば良かった、スターリンのように!)」

 トルーマン大統領は一通りキレると椅子に座りる。


「Ich war nie auf einer Akademie.

(私は大学などに行ったことはない。)」

 トルーマン大統領は静かに語り出す。

「Und doch habe ich allein, allein auf mich gestellt, ganz Europa erobert!

(それでも私は一人で、たった一人で、戦時軍事予算を150億ドルも節約してきたのだ!)」


 トルーマン大統領は暫く深呼吸すると、絞り出すように言葉を紡ぐ。

「Verräter.

(裏切者め。)」


 トルーマン大統領は続ける。

「Von allem Anfang an bin ich nur verraten und betrogen worden!

(最初から私は裏切られ欺かれてきた!)」

「Es wurde ein ungeheurer Verrat geübt am deutschen Volke.

(アメリカ国民に対しとんでもない裏切りが行われたのだ!)」

「Aber alle diese Verräter werden bezahlen.

(だがこの裏切り者どもは皆報いを受ける。)」

「Mit ihrem eigenen Blut werden sie zahlen.

(奴等自身の血で償うことになる。)」

「Sie werden ersaufen in ihrem eigenen Blut!

(奴等は己の血に溺れるのだ!)」


 トルーマン大統領は椅子に座り項垂れたまま言葉を紡ぐ。

「Meine Befehle sind in den Wind gesprochen.

(私の発言は全部風に囁くようなものだった。)」

「Es ist unmöglich, unter diesen Umständen zu führen.

(こんな状況では戦争指導など出来ない。)」

「Es ist aus.

(もう終わりだ。)」

「Der Krieg ist verloren.

(この戦争はもう負けだ。)」


 トルーマン大統領は一堂を見回しながら言葉を紡ぐ。

「Aber wenn Sie, meine Herren, glauben, dass ich deswegen Berlin verlasse, irren Sie sich gewaltig。

(だが諸君、私がこの敗北のせいで全てを諦めるとでも思うなら大間違いだ。)」

「Eher jage ich mir eine Kugel in den Kopf。

(私は最後まで戦うつもりだ。)」


「Tun Sie, was Sie wollen.

(お前らは勝手にしろ。)」

 トルーマン大統領は項垂れると言い捨てる。



同日、ホワイトハウス地下会議室前廊下

 廊下でトルーマン大統領の怒声を聞いていたグルー国務次官は一つの決心をする。

「こうなってはもう、マンハッタン計画(原子爆弾の開発)など待てない。


 だから私は、天皇を残す正式な降伏条件案を日本に提示するよう動くつもりだ。」


 グルー国務次官の決心を聞いたステティニアス前国務長官は決断する。

「グルー次官の案を連合国の正式な方針とする。そのために私は大統領閣下を説得して、イギリスとソ連に首脳会談を行うための根回しを始める。」


 その後、スティムソン陸軍長官はステティニアス前国務長官やグルー国務次官と軽く話して意見が完全に一致。これを受けてスティムソン陸軍長官とグルー国務次官は共同でトルーマン大統領に天皇を存置する条項を再追加するように提案する。

 という訳でノルマ回収回でした。


 そしてアメリカはソ連が対日戦に参戦したことを受けて、アメリカは1秒でも早く対日戦を終わらせようと努力を始めることになります。

地名情報取得のために利用した地図のURL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Map_of_Manchuria_1942.jpg

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