コンテンツ24―ガルシアにとって最高の癒し
「う〜ん、いい匂い。ようやく焼けたわー。」
ルイスは仕込んで有った野菜を用意し、キッチンの椅子に腰掛け、パンの粗熱が覚めるのを待っていた。
(もうそろそろだから、ガルシアに連絡しよう。)
ルイスは外のフローターに駆けて行った。
ドックには、あまり駐機せず、ほとんど使っていない。
「こんにちはガルシア。メインルームにいるかしらー?」
ガルシアから応答無し。
(あら?ミクラットかしら……。)
「こちらルイス。ガルシア聞こえる?」
「あールイス。ごめんね。メインルームに連絡しちゃった?……うん……。そうなの。ミクラットでメンテの部品のチェックしてたところ。」
「これからこっちに来るのね?……うん。それは楽しみ。待ってるー。」
ガルシアは通信を切ると、チェックの続きをしながら考えた。
(プレゼントだって。ルイスがそう知らせる時は大抵食べ物。美味しいスイーツかフルーツでも手に入ったのかしら。)
一方のルイスは通信を切ってから、急いでキッチンに戻り、粗熱が取れているパンと仕込んであった具材を持ってテーブルに立った。
(さて、2、3種類のアレンジでサンドしよ。2人では1度にたべきれないから、残りはガルシアの両親に食べてもらおうかな。)
手際良くパンをカットして野菜やハム、肉を挟んで仕上げのソースをかける。
8つの焼き立てパンをバスケットに詰め、フルーツと一緒に抱えて外に出た。
(紅茶は、ガルシアにご馳走になるかー。さて、貨物室に置いて固縛ね。)
あっという間にフローターが飛び立った。
そして、あっという間にオフェイル邸に到着、建物の脇に着陸。
ドックへのエレベーターを降りると、メインルームにガルシアが見える。
ルイスは固縛を解き、両手に抱えてフローターを出た。
まだパンが暖かいせいか、いい匂いを漂わせ、メインルームに入って来た。
テーブルに両手の荷物を置くと、
「こんにちはガルシア。プレゼントよ。」
「こんにちはルイス。これはもしかして、あなたの焼き立てパンでは?久しぶりのルイスのパンねー。」
「最近、お疲れのガルシアの為に昨日思い付いたのよ。」
「だから夕方早くに帰ったのね。」
「エンジャー市街の市場に行ったら、あれこれ目移りしちゃって。……結局フルーツも大盛りよ。私達で食べきれない分はガルシアの両親に差し上げてくれるかな。」
テーブル一杯に広げたルイスの差入れ。
「ありがとうルイス。ホントに食べきれない。両親にもらってもいいの?」
「もちろんよ。その為に余分に作ったんだもの。さ、パンが美味しい頃合いよ。両親にも渡して来たら私達も食べましょ。」
「うん。渡してくるわ。……あー、なんて幸せなランチかしら。ルイスの焼き立てパンはもう2度と食べられないんじゃないかと思ってたから。」
そう言ってバスケットを抱え、ドックを出て行くガルシア。
「に、2度と⁉︎どういう意味???」
まもなくして、紅茶のセットをトレイに乗せて戻ってきたガルシア。
「ねぇガルシア?さっきの2度とってどういう事?なんか、もう私が作らないみたいな話になってない?」
「だって、ルイスはジックと宇宙船の事ばかりで頭が一杯みたいだから、作ってくれる料理は当分、いえ、2度と無いかもって思ってたのよ。」言いながら紅茶を入れている。
「それは無いわ。食べるのは私の楽しみでもあるし、ガルシアと一緒になら一層美味しく食べられる。今後もずっと有るわ。」
「それを聞いて安心した。私、バーベキューの次にルイスの手料理が好きよ。母の作る料理よりね。」
「それは大袈裟ね。ほんの好みの違いでしょ?」
「それはそうかも知れないけど、ルイスのは私への愛情が沢山こもってるんだわ。だから好きなのよ。」
紅茶をルイスに勧めるガルシア。
「はいはい、それもまた大袈裟だわね。さ、食べましょー。」
2人は、少し遅いランチに舌鼓を打ちつつ、話に花が咲いた。




