表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復役(ヒーラー)なんぞやってられるか!  作者: こしひかり
【第三章】暗黒騎士、引退します
49/50

ノーと言える日本人

随分と更新が遅れましたが、まだ生きております。

毎度短い文字数での更新ですが、生暖かく見守ってください。

「この扉の向こうにシャール殿下がいらっしゃる。分かっていると思うが、失礼のないように。」


「やっぱり会うのは日を改めて―――。」


「ではいくぞ。」


あ、はい。

そうですよね。


最後まで聞くこともなくヴィクトリアさんは扉に手を掛ける。なんと男らしい。

そして、俺の気持を表すかのように重苦しい音を立てながら視界は開けた。


部屋で待っていたのは長身の銀髪美青年。

年齢は俺よりも若干下だろうか。

整った顔立ち、モデルのようなスタイル。

だが細すぎるというわけではなくカッチリとした体格をしている。

服装は右肩にマントの付いた軍服っぽいものだが、白で統一されているおかげか威圧感は少ない。

白馬の王子様という言葉これほど似合う人間はいないだろう。


いわゆるジャニー○系だ。

俺やサスケが忌み嫌う人種の一つである。

ちなみに、農業を行う方達は話が別だ。


「早かったね、ヴィクトリア。それで…彼がそうなのかい?」


凛とした声が部屋に響く。

乙女ゲーのメインキャラクターにいても不思議じゃない程のイケメンボイスだ。

イケメンは声までもカッコいいのか。世界は不公平に出来ている。


「はっ。」


ヴィクトリアさんは短く返事をすると同時に片膝をつき、顔を伏せた。


椎名優樹は空気の読める男だ。

失礼の無いよう、即座にヴィクトリアさんの動きを真似をする。ドヤ顔。


「そう畏まらないでくれ。君のことはヴィクトリアから聞いているよ、クウキ君。」


そこまで存在感薄くねぇよ!

と、心でツッコミを入れるのはお決まりなので許してほしい。


「お初にお目に掛かります、殿下。優樹です。」


「あぁすまない。どうにも人の名前を覚えるのが苦手でね、テンキ君。」


ニコニコと笑みを浮かべながら言い間違える王子様。

わざとやってんな、こいつ。


だが椎名優樹は大人の男。

寛大だ。寛大な心で受け流すのだ。右から左へ。


「まずはお礼を言わせてくれ。君のおかげで多くの兵士が死なずにすんだ。ありがとう。」


「いや…別に、おれ…私は出来ることをしたまでです。」


「何か望む物はあるかい?私に可能な範囲であれば用意させよう。」


「お気持ちだけで十分です、殿下。」


ここで何か貰うのは得策ではないと俺の第六感が囁いている。

貰ったら三倍返しなって言葉もあるぐらいだしな。


「そうかい?まぁ、思いついたらでも構わないさ。」


そう言うと王子様はテーブルに両肘を付き、某司令ポーズを取る。

表情は変わらず柔らかいが、目の奥が笑っていない気がするのは俺だけだろうか?


「さて、本題はここからなんだが…。私に仕えてみる気はないかい?ユウキ君。」


チラリと横目でヴィクトリアさんの様子を伺うと、申し訳ないといった表情をしていた。


そりゃ立場上話すしかないよな。

そもそも、あれだけのことをやってバレないほうがおかしいぐらいだし。


「君にとっても悪い話ではないだろう?私の直轄ともなれば、それなりの地位も―――。」


「とても魅力的なお話ではありますが…お断りいたします。」


「…理由を聞いてもいいかな?」


「私には目的があります。具体的な内容はお話しできませんが、今はそれが最優先なのです。」


「それは…私に仕えていては行えない、と?」


「不可能ではないかもしれません。しかし作業効率は落ちます。ですので―――。」


そこで王子様は片手を俺向け、首を横に振った。


「私も少し事を急かし過ぎたかもしれない。返答はまた後日伺うよ。それまでに気持ちが変わるかもしれないからね。まずはゆっくりと休んでくれ。城内はある程度自由に動いてもらって構わない。」


「ありがとうございます。」


「私からは以上だ、下がってくれて構わないよ。あぁ、ヴィクトリアは残ってくれ。」


最後まで笑顔の王子様とヴィクトリアさんを部屋に残し、俺は一人退出する。


しかしなんだろう。

あの王子様、誰かに雰囲気が似ている気がする。

どうにも裏がありそうというか、腹黒いというか―――あっ。


「そうか…あのホスト野郎に似てるのか…。」


◆◆◆◆◆◆◆◆


「彼…ユウキ…と言ったかな。」


「申し訳ございません、殿下。奴には後で私から―――。」


「普通…だね。随分とつまらない男だ。まだソフィアのペットの方が面白みがある。本当に強いのかと疑いたくなるよ。ま、あえてそうしているのかもしれないが。」


シャール殿下は心底つまらなそうにため息をつく。

聖騎士になって3年経つが、私は未だ殿下のこういうところは理解出来ない。


「どうかしたかい、ヴィクトリア。君にしては随分と不服そうに見えるけど。」


「いえ…そんなことは…。」


「まぁいいさ。とりあえず…そうだな。何人か綺麗所を宛がってみるか。使える駒が多いに越したことはないからね。不要なら早々に捨てれば問題もないだろう。」


「色香で引き入れる…と。」


「常套手段ではあるけど、彼になら効果は覿面だろう。手配を任せていいかな?」


「…お言葉ですが殿下。奴にそのような手段が通じるとは思いません。」


嘘だ。


あいつなら鼻の下を伸ばして簡単に、あっさりと、それはもう見事にコロッと転がるだろう。


なんだろう…想像しただけで腹が立ってくる。


「随分と彼を買っているね、ヴィクトリア。彼に特別な感情でもあるのかな?」


「そ、そのようなことは!!」


「それとも―――彼もそうなのかな?」


「…意味が分かりかねます。」


その言葉が指すのは偽りの塔だろう。

人数までは答えたが、参加した者の名前は未だ伏せてある。

それだけは守らねばならない。


「いや、なんでもないよ。そんな都合の良いことが何度も起こるはずもないだろうし。君も下がって構わない。先の件、人選は君に任せる。いいね?」


「はっ。」


短く答え、私は部屋を出る。


しかしどうしたものか。

戦ならいざ知らず。私はこういったことには疎い。

加えて気が進まない。それはもう全く。


「はぁ…困ったものだ…。」


マルコならどうだろうか?

いや、あいつもこういうことには疎かったか?

そうなると相談出来る者がいな―――あっ。


「あいつに聞いてみるか…。」


少々問題はあるが、こういうことを聞けるのはあいつぐらいしかいない。

そうと決まればすぐに探さねば。


◆◆◆◆◆◆◆◆


「何度も起こるはずもない…。だが逆に起これば必然か…。さてさて、これは忙しくなりそうだね。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ