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回復役(ヒーラー)なんぞやってられるか!  作者: こしひかり
【第三章】暗黒騎士、引退します
50/50

今、この気持ちを・・・

誤字脱字チェックはまだです。

やっと話が進みだします。

翌日。


約束の時間にジルマの店を訪ねると、十数人の屈強な男たちが綺麗に並んでいた。

はっきり言って暑苦しい。

今日はアリアンナもいない為、男臭さが数倍跳ね上がっている。


「ややっ!ユウキ様!本日はよろしくお願いいたしますにゃ。」


本日の紅一点であるジルマがペコリと頭を下げると、男達も声を荒げながら俺に一礼。

その声は大きく、歩いていく人々がビクリと肩を震わせていた。勿論俺も右に同じである。


「で、では早速始めましょうか。順番に―――。」


こうして、俺は集まった男たちに天職を与える作業に入った。

元々そっちの仕事で生活をしているのだから俺としてもあまり心が痛まない。

あまり気分が良くないのは否定できないが。


作業は小一時間程で終わり、次のステップへ進むため俺達は街の外へと移動した。


◆◆◆◆◆◆◆◆


「さて、これから採取を行いますが…普段はどうやって作業を?」


そう質問を投げかけると男達は互いに顔を見合わせ、首を傾げた。

美少女がやればとても愛くるしいのだが、彼等では実に暑苦しい。


「どうやってって言われても…なぁ?」


「手ごろな木を見つけて、斧で切り倒すだけだし。」


「俺達は決まった採掘場で掘ってるだけですぜ。」


「なるほど。では皆さん、これからはその考えを捨てて下さい。」


「「「???」」」


百聞は一見になんとやら。

ここは実際に見せたほうが早そうだ。


俺はウィンドウを操作する姿を見せないよう全員に背中を向け、職業を無職から採掘師へ変更。

服装は緑のオーバーオールに黒いシャツ。

手足は毛皮で覆われ、頭には安全第一と書かれた黄色いヘルメット。

最上級素材は不可能だがそれ以外であれば問題なく採取することが出来る。

能力値重視の為、見た目はあまりよくないけがそんなことは二の次だ。


「最初にやるべきことは、¨自分が何を採取したいか¨ということを考えることです。」


お手本を見せる為、俺は目を瞑り入手したい素材を思い浮かべる。

といっても、ここでレア度の高い素材を入手するのはまずい。

そうだな…とりあえずミスリルでいいか。今回のきっかけでもあるし。


心の中でミスリルミスリルと念じる。舌なめずりは三流がうんぬん。


と、瞼の裏に一点の光が差す。

目標目の前!絶対に逃がすな!


「そこっ!!」


カッと目を開き、俺は光の差す方へ走り出す。

そして目的の場所に着くとツルハシを高々と掲げ躊躇することなく振り下ろした。


ガギン!!とツルハシの先端が堅いモノを捉え、俺は何度も振るい続ける。


「お…おぉ!!こ、こいつは!!」


男達は息を飲むように俺の足元を見つめる。

そこには大小様々なサイズの青白い鉱石が散らばっていた。


「ミスリル!ミスリルですにゃ!!」


ジルマはミスリル鉱石を拾い上げると、丸い尻尾をフリフリと揺らしながら瞳を輝かせる。

触れないのが無念で仕方ない。


「純度もかなり高そうですにゃ。これなら…にゃふふ。」


「お、俺達もやってみようぜ!」


「「「おぉ!!」」」


屈強な男達は一斉に目を閉じて集中している。実に不気味な光景だ。

しかし彼等の表情は真剣そのもの。水を差してはいけない。椎名優樹はジェントルマンである。


だが不気味な光景だ。身の危険すら感じる。主に尻が。


◆◆◆◆◆◆◆◆


それから二時間後。

結果は…決して良いものではなかった。


当然だ。

職業を手に入れたとはいえ彼等のレベルは1。取れる素材などたかが知れている。

より良いモノを採取するにはコツコツとレベルを上げ、装備を整えるしかないのだ。


しかし、成果が無かったわけでもない。

稀に珍しい鉱石や宝石の原石を掘り当てては歓喜の声を上げ、効果の高い薬草や質の良い木材を見つけては全速力で駆けた。


今回の採取活動でリーフライトやゴルドバに並ぶ素材が十分手に入ったわけではない。

それでも彼等にとっては大きな一歩になったと思う。


そして俺はこれ以上手を貸すべきではない。

俺はこの世界の住人ではないし、いつかは元の世界に―――。



『考え直した方がいいでござるよユキ氏。こんなチャンス滅多にないどころか、2度とないでござるよ?』



サスケの言葉が脳裏を過る。


本当に俺は帰りたいのか?


命の危険は確かに高い。死ぬのはごめんだ。

だが今の俺なら大抵のことはどうにでもなるんじゃないか?


そもそも異世界転生には憧れていた。

チートの限りを尽くしてウハウハなリア充ライフを過ごしたいと。


今だったらそれは可能だ。

今の俺は膨大な資金に貴重なレアアイテム、専属エルフメイド付きの家だって持っている。

多少の不便はあるとは思うが、それ以上の見返りが―――。


・・・

・・・・・・ん?


ちょっと待て。


付きの家!!


「そうだったぁぁぁ!!」


俺の脊髄に電流が走る。

本能が、煩悩が、リビドーが溢れ出す!!


「ユ、ユウキ様!?」


なぜ忘れていた!


エルフ!

メイド!


元の世界に帰るかどうかはこの際置いておこう。

これだけは確認をしなくてはならない!


そうと決まれば早速行動に移さなくては。


「ジルマさん。大変申し訳ないのですが、急用が出来たので私はこれで。」


「え?あ、はいにゃ。」


茫然とした状態のジルマを置いて俺は街道を走り出す。

専属エルフメイドの我が家へ!!

夢とロマンが待っている!!!


「て、待てよ・・・。」


冷静だ。冷静になれ椎名優樹。


よくよく考えてみれば、マイハウスはリーフライト郊外の森にあるんだった。

ゲームの中では国と国との国境線には巨大な要塞がある。

そこを通過する為のイベントは無駄に長かった。

あまりの長さにムービースキップを押してしまうほどに。


ということは異世界(ここ)でも国境を越えるのは簡単にはいかないんじゃないか?

下手をすれば今以上に厄介ごとを抱える可能性がある。


「何かを得るためには・・・何かを犠牲にしなければ・・・か。」


手っ取り早い手段はある。

あるにはあるが、リスクが未だ不明だ。


まずはそこをクリアしなくては・・・。


「やってやろうじゃないか。見せてやるよ、本気ってやつを。」


グッと右手を握りしめる。

頭の中はフリフリのメイド服を着た美少女エルフで一杯。

元の世界のことなのすっかり忘れてしまうのは、男なら仕方ないだろ?

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