表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復役(ヒーラー)なんぞやってられるか!  作者: こしひかり
【第三章】暗黒騎士、引退します
47/50

王座の間

短めです。そろそろ長くすると思います

2016/12/11 内容を少し修正

「先の魔物襲撃をよく防いでくれた、ヴィクトリア。感謝するぞ。」


「はっ!勿体なきお言葉。」


私は失礼のないよう片膝をつき深く頭を下げる。


城の中心にある王座の間。

その名前の通り、玉座に座るべき者がここにはいる。


カール=ラトゥーナ。


現ルミナス王国国王であり、私が忠誠を誓った君だ。

陛下は今年で73歳になるが年齢とは裏腹に外見は若々しく、国王交代はしばらく先だろうと周りは密かに噂している。


その陛下を挟むように左にはシャール殿下、右にはソフィア様がいらっしゃる。


「しかしヴィクトリア。あれだけの魔物が攻めてきたのだ。こちらにも相当被害が出たのではないか?」


「戦死者の数は37名。負傷者は多数ではありますが、白薔薇騎士団の協力もあり全員が回復に向かっていると連絡を受けております。」


「37名か…事前に分かっていればこのようなことにはならなかったか…。」


「父上、それは違います。37名で済んだのです。」


「シャールよ。言葉が過ぎるぞ。」


陛下の一言に殿下は頭を下げるものの、言葉はそのまま紡いでいく。


「今回の一件。魔物の襲撃は突然でした。しかも姉上の本隊がいない時にです。加えて、情報によれば大型種まで現れたと聞きます。このような状況でも民に被害を出さず、死者の数を37で抑えたことは誇るべきことだと私は思いますが。」


「確かに一理ある。が、仮に一人であろうと自国の民を犠牲にしてはならんのだ。それは理解しておるな?」


「当然です。」


「ならばよい。そういえばソフィア。」


「え?あ、は、はい!なんでしょうかお父様?」


「シャールからも聞いたのだが、新しく騎士を取ったそうだな?」


「え、えぇ。私個人の護衛を任せておりますので、お父様に報告するまでもないかと思いまして…申し訳ありません。」


「よい。責めておるわけではないのだ。その騎士も戦場でかなりの活躍をしたそうではないか?であろう?ヴィクトリア。」


どうやら陛下の耳にはサスケの細かな詳細までは届いていないようだ。

私はホッと胸をなで下ろす。


「はっ。彼はとても優秀な戦士です。此度の勝利も彼の協力があったからこそと言っても過言ではありません。本来、緊急時に傍に置くべき騎士を戦場に出してくださったソフィア様には我々騎士団一同、感謝をしております。」


「と、当然のことをしたまででです。」


こういう場での発言に慣れていないのかソフィア様の口調はかなり慌てた感じだ。


「ソフィアよ。その者、名をなんという?」


「名ですか!?…サ、サスケといいます。」


「サスケか。ソフィア、そのサスケ今連れてまいれ。褒美を―――。」


「お、お父様!今でなくともよろしいかと思いますわ!」


ソフィア様は明らかに動揺している。が―――。


「そうか?ではまた後日にしよう。」


「か、かしこまりました。」


陛下は娘が照れているだけと思ったらしくそれ以上は追及しなかった。

本当にソフィア様には甘い。


サスケに関しては私もソフィア様と同意見だ。あいつを陛下に会わせるべきではない。

おそらく礼儀作法は知らないだろうし、余計なことしか喋りそうにないからな。

会わせるとしても下準備が必要不可欠だ。


「他に報告はないか?」


報告…。

まだ一つだけ残っている。だがこれは言うべきではない。

あいつにも何か事情があるのだからな。


チラリとシャール殿下を横目で見ると…口元に手を当て笑っている?


「そういえば父上。一つ面白い話を聞きまして。」


「ほう、申してみよ。」


「なんでも、戦場にどの騎士団にも所属していない癒し手がいたとかなんとか。」


間違いない。ユキ…ユウキのことだ。

シャール殿下には報告をしていないのに、耳に入っておられたのか!?


「それは先日報告にあった新しい癒し手ではないのか?」


「私も最初はそう思いました、ですが―――どうもその癒し手、性別が男との噂で…。」


「なんと!?既に男の癒し手はいなくなったものかと思っていたが…ヴィクトリアよ。今の話、真か?」


こうなっては私も黙っているわけにはいかない。

すまん、ユウキ。約束は守れそうになさそうだ…。


「はっ。実は―――。」


◆◆◆◆◆◆◆◆



「さて、ヴィクトリア。教えてくれないか?なぜ僕に報告をしなかった?」


王座の間での報告事項が終わった後、シャール殿下に呼ばれた私は、現在殿下の自室にいる。

部屋は人払いをしており、私と殿下以外の者はいない。

つまり、この会話は他の者に聞かれたらまずい内容なのだ。

主に私にとって。


「協力をする条件として口止めをされておりましたので…申し訳ございません。」


「なるほど。では僕を軽んじていたわけではない、と?」


「はっ。」


「まぁいいさ。そういうことにしておこう。僕としても今君を失うのは得策ではないのでね。」


「それは…サスケのことでしょうか?」


「当然だ。彼の戦果は凄まじかったらしいね?なんでも一人で100をあっさりと倒したそうじゃないか。実に優秀な騎士(ペット)だよ。」


「…。」


そう口にする殿下の表情は笑ってはいない。

怒ってもいなければ、悲しんでもいない。


静かに。ただ淡々と言葉を続けるのみだ。


私の経験上、この状態の殿下の機嫌はすこぶる悪い。

さわらぬ神になんとやらだが、そういうわけにもいかない。


「そうそう。さっき父上には言わなかったけど、もう一つ僕に報告すべきことがないかい?」


「と、いいますと?」


「東西南北の城門には君とサスケ、そして癒し手の彼が居たそうだね。」


「その通りです。」


「そして、もう一人いたそうじゃないか。黒い鎧を身に着けた騎士が。君は知らないのかい?」


黒い鎧の騎士?

あの場にそんなやつはいな―――!?


もしかして…。


「相当に腕が立つと君の部下が言っていたよ。男の癒し手は諦めよう。どうせ、姉上に取られるのは目に見えているからね。だが、その黒い騎士なら…後は言わなくてもわかるだろ?ヴィクトリア。」


どう答えたらいいものだろうか。


黒騎士。

これも間違いなくユウキだ。

あいつは確か暗黒騎士にもなれるはずだ。私は聖騎士を勧めたというのに…。

そんなに私と一緒は嫌なのか?と、当時は悩まされた―――そ、そんな話はどうでもいい!


「出来るだけ早く連れてきてくれよ?それで今回の件は無かったことにしようじゃないか。」


「かしこまりました…。」


今の私に拒否権はない。

すまん、ユウキ。約束を守るどころか悪化させてしまった…。

こうなってしまっては私も責任を取らねばならない。


……

………責任を取る?


女が男にということは…やはり、け、けけけけっこ!?


「ん?どうしたんだい、ヴィクトリア。顔が随分と赤い気がするけど。」


「な、なんでもありません!し、失礼します!」


私は作法もそこそこに殿下の部屋を飛び出し、自分の部屋のベッドへと直行した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ