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回復役(ヒーラー)なんぞやってられるか!  作者: こしひかり
【第三章】暗黒騎士、引退します
45/50

同類の気配

まだ生きてます。大丈夫です。

アイテムや装備の製作を"する"だけなら難しくはない。

必要な素材を集め、製作に必要な技術値さえ満たしていればオートで誰でも作ることが出来る。

難しいのはクオリティの高いアイテムや装備の製作することだ。

アイテムや装備にはクオリティ値が設定されており、その数値が高ければ高いほど性能が上がる。

それを製作するにはオートではなく、1つ1つの工程を手作業でやるしかないのだ。

そして俺はその作業をすることが出来ない。


いや、だってさ、めんどくさいじゃん?


「ユウキさん…本当にこんなもので作れるんですか?」


アリアンナは疑うような視線で店員が持ってきた素材を見る。

素材は全部で3つ。

上質な糸・水牛の皮・砕けた水晶石。

上質な糸はNPCの店でも売っている。

しかし水牛の皮はモンスターからのドロップ、砕けた水晶石は採掘でしか手に入らない。

といっても、そんなにレアな素材ではないのでマーケットで簡単に手にいれることが出来る代物。


「当然だ。ま、見てなって。」


俺の現在の職業は無職ではなく裁縫師。衣服などを製作出来る職業だ。レベルは勿論上限一杯。装備だって悪くない。


「キュートスカート製作。」


そう口にすると目の前に【素材を選択してください】という文字が表示される。

当然ながら、これは俺だけにしか見えていない。

作業に手慣れているのは一度以前に回復薬を作ったことがあるからだ。

俺は素材を1つ1つ手に取り選択する。

すると今度は【製作をオートで開始しますか?】という文字。勿論答えはYES。


「製作開始。」


言葉が終わると同時に手が"勝手に"動き出し、素材をかき集め1ヶ所に纏める。

そして手元が急に光出す。その光量は何をしているのか全く見えないほど。。

いわゆる『これ以上は見せられないよ!』状態だ。


「ほぅ…これはこれは…。」


「ユ、ユウキさん!?大丈夫なんですか!?」


指は自動運転状態。作業内容は見えないが痛みがあるわけでもない。

なんというか変な感覚だ。勝手に体が動くってのはどうにも気持ち悪い。


「変な気持ちになってはくる。」


「ふむふむ。ユキ様は特殊な性癖の持ち主なのですかにゃ?」


「いや、違うから。アリアンナ、言ってやってくれ。」


「はい。ただのスケベです。」


こいつは困った。否定が出来ないぞ?わはははは。


「ほんとに…もぅ…。」


「お、そろそろだ。」


アリアンナの小声をバッチリと聞いたところでカッと一瞬だけ手元の光が強くなりそして消えていく。

手の中には残っているには一着の可愛らしいスカート。


「キュートスカート完成っと。クオリティは…まぁオートじゃこんなもんか。」


両手で広げ確認する。ほつれも見当たらないし仕上がりは上々

うむ。さっきの店売りと大して差はないな。……むしろ、こっちのほうが出来がいい?


「本当に出来ちゃった…。」


「流石はユキ様。お見事ですにゃ。」


「褒めても何もでないぞ?ほら、アリアンナ。」


出来たばかりのスカートを手渡すと、アリアンナは本物かどうか確かめるように何度も何度もスカートを確かめている。


「ユウキさんて、本当に何者なんですか?」


「実は異世界からきた---」


「はいはい。そうでしたね。」


なんだろう。

俺の扱いが日を増すごとに酷くなっていっている気がする。

ま、いつまでも固い感じで話されるよりマシだけどさ。


「ユキ様はこれ以外にも何かを作ることは可能なのですかにゃ?」


「それはも---。」


そこで俺は言葉を止め、思考する。

ここで自信満々に言うことではない。下手に情報を与えて変なことに巻き込まれてはたまったもんじゃない。

まだケルベロスと戦ったことによって俺の扱いがどうなるかすら聞いてないし。

それに今はジョージの捜索が最優先だ。


よって、ここは見ざる聞かざる言わざるで通す。


「も?」


「も、もーからっきしダメ!自分、不器用ですから。」


「そうですかにゃ。いやはや、実に残念ですにゃ。リーフライトやゴルドバにも負けにゃい商売道具が手に入るかと思ったんですがにゃー。」


「そりゃどういう意味だ?」


「手前、実はルミナスの商工ギルドのまとめ役をやっておりにゃして。ここ最近、他国から流れてくる商品の品質向上に頭を抱えておりましたのにゃ。」


ジルマの話をまとめるとこんな感じだ。


3国の技術は一点に関しては偏りがあったが、他に関してはほぼ平均的だったらしい。

だがここ3ヶ月の間で他の2国から輸入されてくる商品の質が急激に向上したという。

見たことのない食べ物・金属・衣服などがドンドン輸入され、全てが人気商品として売れた。

結果、国内の生産品が売れなくなりほとほと困り果てていた、と。

ちなみに、俺とアリアンナが立ち寄った服屋も本店はゴルドバにあるらしい。


これ、どう考えても俺やサスケ以外のやつが裏で何かやってるだろ。

ラノベでいう"未知の技術でウッハウハ"てやつだ。金!金!金!騎士としてうんぬん!


「ふむ。ユキ様はにゃにかご存知のようですにゃ。」


「ナニヲイッテイルノダネ。」


「ユウキさん、声がうわずってますよ?」


「ユキ様。この通りですにゃ。我々を助けると思って一つ力を貸していただけにゃいでしょうか?」


「って、言われてもな…。まずその輸入品がどの程度のレベルなのか見てみないことには---あっ。」


やばい、つい口が滑った!?


「おぉ!流石はユキ様ですにゃ!しばしお待ちくださいにゃ!すぐに他の者達を集めてきますにゃ!」


そう言うや否や、脱兎の如く・・・いや、本物の脱兎だな。

ジルマは部屋を飛び出していった。


「まいったな…。そんなつもりじゃなかったんだが。」


「いいじゃないですか!なんだか楽しそうです!」


宿屋の娘だけあって商売に関しては敏感なのだろうか?

アリアンナはワクワクした表情で俺を見つめる。


ここで逃げるわけにもいかないよな。とりあえず見るだけ見てみるか。有力な情報も手に入るかもしれないし。



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