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回復役(ヒーラー)なんぞやってられるか!  作者: こしひかり
【第二章】格闘家(モンク)、引退します
34/50

駆け抜ける暗黒

まだ見直しが終わっていませんが、投下します。誤字脱字あれば報告下さい。

この世界の住民は、たとえ騎士と呼ばれていても初心者レベルのステータスしかない。

しかも、騎士と呼ばれているだけで基本職【ナイト】ではない。つまりスキルを1つも覚えていないのだ。


対して迫ってくる魔物は序盤には絶対に出てこない死霊系。強いか強くないかでいえば後者だが、初心者が基本職も取っていない状態で簡単に勝てる相手ではない。

だが、そんなことなどお構い無しで兵士達は突撃をかけていく。…頭が痛い。

彼等のメンツも立てつつ、戦況を好転させ勝利を掴む手段なんてあるんですか!?Coogle先生!!


……あるんです!


「なんて、呑気にノリツッコミしてる場合じゃないな!」


剣を鞘から引き抜き俺は駆ける。勿論、ただ前にいっても仕方がない。

今の俺は暗黒騎士。メインタンクだ。タンクのやることはただ1つ!!


敵視(ヘイト)稼ぎでしょうがぁぁぁ!!」


俺の身体から黒いオーラが浮かび上がる。そしてそれは爆発するかのように半径50メートルの円を描き周りへと広がっていく。


攻撃スキル【闇の衝撃】


暗黒騎士が最初から覚えている攻撃

スキルの1つ。

自らを中心に円形の範囲攻撃を行う。ダメージ量は少ないもののヘイト上昇量は多く、道中の敵を"釣る"スキルだ。


ズザザッと急ブレーキをかけて回れ右。

予想通り。

敵のヘイトは俺に集まり、ゾロゾロとこちらへ向かってくる。その数およそ50。


(ちょっと釣り過ぎたか?)


いくら相手が雑魚とはいえ、数で攻められると長時間はもたないだろう。"モンク"で戦っていたのなら。

しかし暗黒騎士の今なら、雑魚の集団戦だろうと負けはしない!!


「はぁぁぁ!!」


再度【闇の衝撃】を放ち敵のヘイトをキープ。ここまで連続で使用した為、MPはほぼ0に近い。


「ストレートブレード!」


最も近いスケルトンを上から叩き斬る。HPが残り僅かだったのだろう、一撃でボロボロの灰となっていく。

すぐにターゲットを切り替えコンボを繋げる。


「クロススラッシュ!」


長剣を振り上げてるスケルトンの胴を横から払う。ここでチラリと自分のHPバーを確認。隙間なく被うフルプレートのおかげで痛みこそないが、HPバーは微量に減り続けている。予想以上に減りが早い。

さっさと"MP"の回復せねば。


「マインドイーター!!」


剣先が青白く光り、クロススラッシュの勢いそのままで3体目の魔物に剣を突き立てる。

すると、ボッという音と共に青い炎が剣から燃え上がり敵を消滅させた。

その炎は小さく収縮すると、吸い寄せられるかのように俺の方へと向かい身体の中へ"入ってくる

"。


MPバーを確認。

よし、これなら問題なく"アレ"が使える!


「ブラッドウェポン!」


スキル名を口にすると体温が一気に下がる。理由は分かっている。血が一気に抜かれ武器に集まったのだ。思った以上にキツいな…これ…。

赤黒く染まった剣を地面に突き立て、多少ふらつきながらも俺は大技の名前を口にする。


暗黒剣(あんこくけん)!」


言い終えるのと同時に地面から無数の剣が姿を現し、俺の辺り一面は剣山状態に。

周りを囲っていた魔物は全て黒い剣に貫かれ、絶命の叫びと共に次々と塵となって消えていく。

――が、先程のマインドイーターとは異なり空中には赤い玉がいくつも浮かんでいる。

そしてそれは、青い炎の時と同様に俺へと吸い寄せられ身体の中へ入ってきた。

指先が熱くなるのを感じる。もうろうとしていた意識も多少は回復した。


「ふぅ。使った血は回収出来たが…。」


予想以上にこれはツラい。

今のを繰り返せば楽勝だとは思うが、一気に血を失う感覚は体に悪すぎる。


攻撃スキル【マインドイーター】の効果は相手に与えたダメージ量の半分のMPを回復させるもの。

【ブラッドウェポン】は最大HPの25%を消費し、自身に【血の契約】というバフを付与させる。

【暗黒剣】はMPを消費する高火力高範囲の攻撃スキル。加えて、総ダメージ量の20%分のHPを回復するというものだ。

ただし、【血の契約】が付与されていないと使用不可能であり1度使用すると【血の契約】は消えてしまう。

敵の数が少ない時は連発して使うわけにはいかないが、今回のようにHP回復量が最大HPの25%以上だと見込める時は積極的に使うことが出来る。


のだが―――。


今までHPを大きく削られたことのない俺にとって最大値の25%を失うというのは想像以上の痛みだった。

おもいっきり頭を殴られたような感覚といえばいいだろうか。

頭では死なないことは分かっているが、死が迫ってくるという恐怖は拭うことが出来ない。

暗黒剣を連発して多くの敵を引き付け倒し、あぶれた敵を騎士団に任せようと考えていたが今の俺にそれを行う勇気はない。


「こりゃ地道にヘイト稼いで後ろから殴ってもらったほうがいいな…。」


多少効率は落ちるが仕方ない。安全第一で攻めよう。

幸い、後方支援には"ヒーラーとなった"アリアンナがいてくれる。初陣で任せっきりになるのは心苦しいが、頑張ってもらうしかない。


突き刺した剣を引き抜く。そして、先程と同様に【闇の衝撃】を放ちながら俺は敵陣の中へと突撃した。


◆◆◆◆◆◆◆


実力者とは聞いていた。

階級こそ低いが、ヴィクトリア聖騎士長の弟であるマルコが言うのだから間違いはないだろう。

だが所詮は冒険者に毛の生えた程度だろうと心のどこかで思っていた。


それがどうだ。


黒騎士は敵の第一波と衝突していた我々の隙間をぬって駆けていくのと同時に、肉眼で確認が出来る程の黒く濃い風を撒き散らしていった。

私も含め多くの部下が何らかの驚異があるのではと身構えたが、風は身体を通り過ぎるだけで痛みすらない。

なのにどういうわけか、魔物達は衝撃波でも受けたかのように吹き飛ばされる。

そして吹き飛ばされた魔物のほとんどが一目散に黒騎士の方へと向かっていった。


何が『邪魔にならないよう』だ。

どちらが足を引っ張っているかなど一目瞭然。洗練された動きに無駄はなく、太刀筋には迷いがない。

上には上がいる。それが奴だ。

まさかこの歳になって憧れを抱くとは…。


だが―――その憧れはすぐに違うものへと変わる。


数十体の魔物に囲まれた黒騎士は突如剣を地面に突き刺す。

するとどうだ。

無数の剣が天を貫くように姿を現し、一瞬で敵の群を消滅させるではないか。


なんだ!あの技は!?

あんなものは見たことがない!


唖然とする我々に目を止めることもなく、黒騎士は別の群へと再度駆け出す。


次元が違う。


ヴィクトリア聖騎士長を初めて目にした時のように感覚が全身を駆け抜ける。


【英雄】


それ以外に言葉が見つからない。


「皆の者!勝利は我らにある!!あの者へ続け!!」


異を唱える者など誰もいない。

この戦場にいる誰もが崇拝したと言っても言い。

圧倒的な力で敵をほふる黒騎士を。

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