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回復役(ヒーラー)なんぞやってられるか!  作者: こしひかり
【第一章】回復役(ヒーラー)、引退します。
12/50

誰が為に剣を取る ①

不覚。

なんたる不覚であろうか!

まさか…この僕が……マルコ=ライエルともあろう者が―――っ!!


「気持ち悪い…。」


鏡に写る真っ青な顔をした自分の姿。

酷い顔だ。こんな顔を他の団員に見せるわけにはいかない。

部屋に備え付けの時計をを確認。予定している集合まで残り1時間。この間になんとしてでも回復させなければ!


「こんな姿…姉上には見せられないな…。」


王国最強の聖騎士(パラディン)にして実の姉であるヴィクトリア=ライエル。

15歳という若さで騎士試験に合格。その後、僅か2年という異例の早さで聖騎士(パラディン)称号を賜った天才。

その実力は凄まじく、古より神々が集うと伝えられる偽りの塔へ挑むことを"神自ら"に許された者…。

そんな偉大な姉の弟が二日酔いでダウンしているなど誰に言えよう。


えぇい!後悔しても仕方ない!

姉上も言っていたではないか!『失敗は次に生かせばよい』と!


「とにかく…風呂に入って…うっぷ!?」


◆◆◆◆◆◆◆


「隊長…大丈夫ですか?」


そう声をかけてきたのは今回の遠征任務で僕が指名した騎士の1人であるサラ。

歳は僕の1つ下だが、弓技術は騎士の中でも評価が高い。まさに期待の新人だ。


「大丈夫だ…問題ない。」


「なぁに、心配するな。我等が隊長殿は常に完璧・完全で有名のヴィクトリア様が弟。心配など不要…そうだろ?」


「おはようございます、ウォードさん。」


礼儀正しく頭を下げるサラ。短く整えられた金髪がふわりと舞う。


「それにしても昨晩は大変でしたなマルコ殿。"色々"と。」


サラから見えないよう、背中からグッと親指を立てるウォードさん。

昨晩の失敗を知る唯一の人物。酒場で倒れた僕を部屋に送り届けてくれたのだ。

その体は大きく、性格は穏やか。騎士としての経験も長いので、僕も何度か相談事を聞いてもらっている。そんな頼りになる兄の様な人。


「なにかあったのですか!?」


「大したことではない。マルコ殿が食事をしていた店で少し騒動が起きたのだ。」


「騒動…まさか!」


「ま、いつものことだが魔術師がらみだな。」


「またですか…。だから私は、魔法が使えるというだけの理由で位を与える今の方針は好きにはなれないのです!」


腕を組み不満を表すサラ。

彼女の言い分も一理ある。魔法の力は強力だ。味方となれば頼もしいことこの上ない。

だが彼等の大半は後天的に魔法が使えるようになった者ばかり。

先天的に魔法が使える由緒正しき王宮魔術師とは違い、品格という面において問題がある。

王都では比較的大人しいが、騎士(われわれ)の目がなかなか届かない街での悪評は尽きることをしらない。

そんな彼等に頼らなければいけないほどに、魔物の数は増え続けているのだ。


「だがなサラ。今回はちょっと違ったんだ。」


「?」


「私が着いた時、騒動はほとんど終わっていた…。なぜだと思う?」


「それは勿論、隊長が魔術師を―――。」


「いいや違う。なんと、1人の格闘家が魔術師を気絶させてたんだ!しかも2人!いやー、あれには私も驚いた。」


「格闘家って…あの筋肉鍛えるしか脳のない連中ですか?」


「サラ。その言い方は格闘家(かれら) に失礼だよ。」


「す、すみません…。それにしても、よく格闘家が魔術師に勝てましたね。相当油断していたんじゃないですか?」


「かもな。」


そう言って二人は笑う。


違う。そうじゃない。


確かに初撃は不意をついたかもしれない。だがその後は魔術師達も本気だった……と思う。

なぜなら、彼等は1度も魔法を使うことなく倒されたのだ。

いや…"使わせてもらえなかった"と言ったほうがいいな。

魔術師達が詠唱を始めると、格闘家(かれ)はつま先をテンポよく鳴らしていた。

1回…2回…。

そして3回目が地面に当たる瞬間、魔術師達の背後を取っていたのだ。

その後は言うまでもない。

『子供と大人のケンカ』

そんな言葉がぴったりと言える。


「ウォードさん。その格闘家はどうしたんです?」


「そこは喧嘩両成敗ってやつさ。魔術師は私が街の外に放り出したし、格闘家は自警団に捕まりめでたしめでたし。」


「でも魔術師に挑むなんて、勇敢な格闘家ですね。隊長には及びませんけど!」


胸を張って言いきるサラに苦笑い。

でも…確かに彼は勇敢だった。酔っていたとはいえ、真っ先に動けなかった自分が情けない。

僕ももっと自身を鍛えなければ。


「雑談はここまでにしておいて…サラ。先見隊からの連絡は?」


「現在、ザックさんとリーリンさんが…。あ、戻られたようですね。」


外から足音が聞こえる。

だが妙だ。

その音は早く、そして荒い。

どうにも嫌な予感が――。


「た、大変です!隊長!!」


勢いよく扉が開くと、そこには息を切らしながら青ざめる2人の姿。


「何事だ!」


「アスタルクの街から北西約2k先に魔物の群を確認!大型種も混ざっているとの報告が!」


全員が息を飲む。

だが誰一人、瞳を曇らせる者はおらず。全員が覚悟を決めた表情で僕の返事を待つ。

いい騎士達(なかま)だ。


「癒し手捜索は一時中断。これより魔物討伐へと向かう!異論のある者は手を挙げろ!」


「「…。」」


「よし。では行くぞ!」


「「はっ!!」」

土日は冒険者が忙しいの更新は出来ないかもしれません。

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